普及版 字通 「命(漢字)」の読み・字形・画数・意味
命
常用漢字 8画
[字訓] いいつけ・いのち・うまれつき・さだめ
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
令(れい)+口。令は礼帽を著けて、いて神の啓示を受ける形。口は祝詞を収める器の(さい)。神に祈って、その啓示として与えられるものを命という。〔説文〕二上に「ふなり。口に從ひ、令に從ふ」とし、口を以て使令する意とするが、もと神意を意味する字である。卜文・金文に令を命の意に用い、令がその初文。周初の金文〔大盂鼎(だいうてい)〕に「天のする大令(命)を受(さづ)けらる」とあり、のち〔賢(けんき)〕に「、事を命ず」のように、命の字を用いる。天命の思想は〔大盂鼎〕をはじめ、〔也(やき)〕などにも「顯たる受令(命)」とあって、周王朝創建の理念として掲げられたものであった。人の寿夭も天与のものであるから、列国期の金文に「永命眉壽」を祈る語を著けるものが多い。金文にまた賜与の意に用い、〔献(けんき)〕「厥(そ)の臣、獻(人名)に金車を令(たま)ふ」のように用いる。天の命ずるところであるから、人為の及ばないところをすべて命といい、君子は命を知るべきものとされた。
[訓義]
1. おおせ、いいつけ、神のお告げ、おしえ、あたえる。
2. いのち、うまれつき、さが、神よりうけたもの。
3. さだめ、運命、めぐりあわせ。
4. お上のいいつけ、命令、おきて。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕命 ヲシフ・イノチ・ノタマフ・マコト 〔字鏡集〕命 ツカヒ・マコト・ナヅク・ヲシフ・イノチ・イフ・ナ
[語系]
命mieng、令liengはもと一字。周初には大命・受命を大令・受令としるし、令を命の字義に用いる。
[熟語]
命案▶・命意▶・命運▶・命戒▶・命窮▶・命▶・命蹇▶・命限▶・命誥▶・命賜▶・命士▶・命氏▶・命書▶・命詔▶・命臣▶・命数▶・命世▶・命秩▶・命中▶・命途▶・命薄▶・命婦▶・命服▶・命分▶・命脈▶・命名▶・命理▶・命令▶
[下接語]
俟命・委命・威命・違命・遺命・一命・殞命・運命・永命・延命・捐命・恩命・下命・嘉命・改命・革命・官命・帰命・基命・寄命・貴命・休命・救命・拒命・教命・矯命・業命・命・寓命・君命・眷命・憲命・懸命・顕命・厳命・顧命・抗命・耿命・誥命・国命・佐命・策命・司命・死命・使命・賜命・自命・時命・辞命・失命・主命・殊命・寿命・受命・授命・宿命・駿命・順命・助命・承命・将命・詔命・上命・職命・申命・身命・人命・尽命・正命・生命・制命・性命・旌命・誓命・惜命・絶命・宣命・尊命・存命・大命・待命・短命・誕命・治命・知命・致命・長命・朝命・徴命・命・勅命・通命・定命・帝命・挺命・天命・伝命・特命・内命・任命・拝命・配命・薄命・反命・非命・微命・品命・稟命・符命・賦命・復命・文命・辟命・返命・方命・亡命・本命・奔命・末命・密命・明命・面命・有命・優命・余命・用命・落命・乱命・立命・霊命・禄命
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報