有(読み)ユウ

デジタル大辞泉 「有」の意味・読み・例文・類語

ゆう【有】[漢字項目]

[音]ユウ(イウ)(漢) ウ(呉) [訓]ある もつ たもつ
[学習漢字]3年
〈ユウ〉
1 …がある。存在する。「有益・有害・有効・有罪・有志・有望・有名・有利・有料・有力/烏有うゆう・固有・通有・万有」
2 持っている。「含有・共有・具有・国有・私有・所有・占有・保有・領有」
3 さらに加えて。「有余/一年有半」
4 語調を整える助字。「有司・有虞氏ゆうぐし」
〈ウ〉
1 ある。存在する。「有情・有無・有象無象・有頂天/希有けう・未曽有みぞう」
2 仏教で、存在すること。生存。「三有さんぬ・中有」
[名のり]あり・すみ・とお・とも・なお・なり・みち・もち・ゆ
[難読]有職ゆうそく

ゆう〔イウ〕【有】

1 あること。存在。「無から有を生じる」⇔無む。
2 持っていること。所有すること。「敵の有に帰する」
3 ⇒存在2
4 数字とともに用いて、さらに、その上また、の意を表す。「十有余年」

う【有/優】[漢字項目]

〈有〉⇒ゆう
〈優〉⇒ゆう

う【有】

《〈梵〉bhavaの訳。生じること、あることの意》仏語。生存。存在。また、その場所。生死・輪廻りんねの根源となるもの。

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精選版 日本国語大辞典 「有」の意味・読み・例文・類語

う【有】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① ( [梵語] bhava の訳語 ) 仏語。有情としての存在、その存在の仕方、生存などの意。三有、四有、二十五有などや、十二因縁の中の一つなどとしてあり、果(か)を招く業(ごう)、あるいはその業の果としてあるものなどをいう。
    1. [初出の実例]「むすぶ、早玉の両所権現、〈略〉八万四千の光を和げ、六道三有(ろくだうさんう)の塵に同じ給へり」(出典:平家物語(13C前)二)
    2. [その他の文献]〔大乗義章‐八〕
  3. ② あること。所有すること。また、その所有物。ゆう。
    1. [初出の実例]「欲界の衆生を悉く我有(ウ)に成さんとする時、諸天善神、善法堂に集て、般若を講じ給ふ」(出典:太平記(14C後)二三)
    2. 「奥州も鎌倉殿の有(ウ)となりし事を聞き涙を流しける」(出典:菅江真澄遊覧記(1784‐1809)迦須牟巨麻賀多)
  4. ③ 哲学用語。存在。
  5. ④ ⇒ゆう(有)

ゆうイウ【有】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ① あること。あるもの。存在。
      1. [初出の実例]「英の being (体)なり。此ビイーンなる語は有なる字にして、その有とするものは体なるが故に、今之を体と称するところに用ひしなり」(出典:百学連環(1870‐71頃)〈西周〉二上)
      2. [その他の文献]〔老子‐四十章〕
    2. ② 所有すること。自分の物とすること。また、その所有物。〔文明本節用集(室町中)〕
      1. [初出の実例]「既に一銭の有をも尽して、債主に賠(つぐの)ひたれば」(出典:西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一三)
    3. ③ ⇒う(有)
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 「さらに」「その上また」の意をあらわす。
    1. [初出の実例]「十有三春秋、逝者已如レ水」(出典:山陽詩鈔(1833)一・癸丑歳偶作)
    2. [その他の文献]〔論語‐為政〕

あ【有】

  1. ( ラ変動詞「あり」の連体形「ある」(一説に終止形「あり」)が、助動詞「べし」「めり」「なり(伝聞・推定)」を伴うとき、撥音便化して「あん」となり、その撥音が表記されなかったもの。主として平安時代に行なわれた表記法 )
  2. ① =ある〔動詞〕
    1. [初出の実例]「この女は蔵にこもりながら、それにぞあなるとは聞けど」(出典:伊勢物語(10C前)六五)
  3. ② =ある〔補助動詞〕
    1. [初出の実例]「目かるれば忘れぬべきものにこそあめれ」(出典:伊勢物語(10C前)四六)

あろ【有】

  1. 〘 動 〙 動詞「ある(有)」の連体形の上代東国方言。
    1. [初出の実例]「たくぶすま白山風の寝なへども子ろが襲着(おそき)の安路(アロ)こそえしも」(出典:万葉集(8C後)一四・三五〇九)

ありい【有】

  1. 〘 感動詞 〙 「ありがとう」の省略「あり」をのばした言い方。威勢のいい商売でいう。「毎度ありい」
    1. [初出の実例]「ありいといはないうちが千両だ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉九)

あろ【有】

  1. 〘 連語 〙 動詞「ある(有)」の未然形に推量の助動詞「う」の付いた「あろう」のつづまったもの。
    1. [初出の実例]「是々、万事皆聞てであろ」(出典:浄瑠璃・生玉心中(1715か)中)

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普及版 字通 「有」の読み・字形・画数・意味

有
常用漢字 6画

(旧字)
6画

[字音] ユウ(イウ)・ウ
[字訓] ある・もつ・たもつ・したしむ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
(又)(ゆう)+(肉)。肉を持って、神に侑薦する意。〔説文〕七上に「宜しくるべからざるなり」とし、「春秋傳に曰く、日(の字は衍)之れをするり」の文を引いて、とは異変のある意とし、字は「に從ひ、聲」とするが、月に従う字ではない。卜文には有無の字にを用い、金文にを用いる。〔玉〕に「不無なり、果なり、得なり、取なり、質なり、(しん)なり」の訓がある。

[訓義]
1. すすめる、のち侑に作る。
2. ある、存在する。
3. もつ、たもつ、おおい。
4. したしむ。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕 アリ・マシマス・アマリ・アマル・タモツ・モハラ・アルイハ・マス・カクス・イマス・ヲサム・マタ 〔立〕 ウルナリ・イル・モハラ・カクス・マシマス・アルイハ・マス・アリ・アラハス・タモツ・コハシ・マジハル・アマリ・ヲサム・キハマル

[部首]
〔説文〕〔玉〕に(いく)など二字を属する。はまた郁に作り、に作る。がその本字である。

[声系]
・・友・右・佑・(祐)hiuは同声。にその諸義を含む。また侑・宥も同声、みな一系の語である。

[熟語]
有象▶・有亡▶・有無▶・有意▶・有位▶・有為▶・有益▶・有縁▶・有夏▶・有害▶・有間▶・有奇▶・有期▶・有機▶・有旧▶・有窮▶・有極▶・有▶・有形▶・有頃▶・有慶▶・有隙▶・有験▶・有限▶・有功▶・有行▶・有効▶・有恒▶・有志▶・有司▶・有事▶・有時▶・有辞▶・有識▶・有守▶・有終▶・有衆▶・有情▶・有職▶・有数▶・有生▶・有成▶・有政▶・有声▶・有節▶・有素▶・有徴▶・有土▶・有道▶・有徳▶・有年▶・有能▶・有方▶・有朋▶・有名▶・有命▶・有用▶・有僚▶・有力▶・有倫▶・有礼▶・有零▶
[下接語]
烏有・奄有・掩有・官有・含有・共有・享有・具有・希有・兼有・固有・国有・私有・所有・崇有・占有・専有・大有・特有・万有・富有・撫有・併有・保有・無有・妙有・領有

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改訂新版 世界大百科事典 「有」の意味・わかりやすい解説

有 (う)

ウパニシャッドの思想家ウッダーラカ・アールニによれば,この宇宙ははじめ〈有sat〉のみであったが,それがみずからの意思で火を,火は水を,水は食物(=地)を創造した。〈有〉はその3者の中にアートマン(自我,本体)として入り,3者を混合して名称と形態(現象界)を開展した。熟睡時と死時には逆をたどって〈有〉に帰入するが,凡人はそれを知らないで世界の多様性に翻弄される。この〈有〉は一般にはブラフマン(梵)と称され,上述のごとく実はアートマンと同一である。なお,後世のベーダーンタ学派では,仏教の中観派の用法をまねて,ブラフマン(=アートマン)を勝義(真実)有,現象界のものを世俗有と言い分ける。仏教一般では,生死輪廻する主体としての〈有bhava〉を想定し,特に死後再生するまでの間を〈中有(中陰)〉という。またヒンドゥー教の聖典であるプラーナ文献でも,ウッダーラカ・アールニの〈有〉をうけて,天地開闢の始源的存在を〈有〉に帰している。
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世界大百科事典(旧版)内の有の言及

【ウッダーラカ・アールニ】より

…その思想はおもに《チャーンドーギヤ・ウパニシャッドChāndogya‐upaniṣad》の特に第6章に,わが子シュベータケートゥへの教えというかたちで伝えられている。それによれば,太初,宇宙は〈有(う)sat〉のみであったが,〈有〉は火・水・食物を創造し,その3者の中にアートマン(自我)として入りこみ,3者を混合して名称nāmaと形態rūpa(現象界)を開展したという。人が死ねば,この逆をたどって〈有〉に帰入するという。…

【仏教】より

…紀元前5世紀ころインドに出たシャーキャムニ,すなわち釈迦(しやか)によって創唱された教えで,キリスト教,イスラムと並ぶ世界三大宗教の一つ。現在,(1)スリランカ,タイなどの東南アジア諸国,(2)中国,朝鮮,日本などの東アジア諸国,(3)チベット,モンゴルなどの内陸アジア諸地域,などを中心に約5億人の教徒を有するほか,アメリカやヨーロッパにも教徒や思想的共鳴者を得つつある。(1)は前3世紀に伝道されたスリランカを中心に広まった南伝仏教(南方仏教)で,パーリ語仏典を用いる上座部仏教,(2)はインド北西部から西域(中央アジア)を経て広まった北伝仏教で,漢訳仏典を基本とする大乗仏教,(3)は後期にネパールなどを経て伝わった大乗仏教で,チベット語訳の仏典を用いるなど,これらの諸地域の仏教は,歴史と伝統を異にし,教義や教団の形態もさまざまであるが,いずれもみな,教祖釈迦をブッダ(仏)として崇拝し,その教え(法)を聞き,禅定(ぜんじよう)などの実践修行によって悟りを得,解脱(げだつ)することを目標とする点では一致している。…

※「有」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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