精選版 日本国語大辞典 「野暮」の意味・読み・例文・類語
やぼ【野暮】
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野夫(やぶ)の転とも,藪医者の意ともいうが,語源は未詳である。〈野暮〉は当て字。屋暮,家暮などの表記もある。近世を通じて,〈粋(すい)〉〈通〉〈いき〉などの美的生活理念がもてはやされたが,それらと対立的な概念が〈野暮〉〈月(がち)〉である。世態人情の機微に通じず,言動がすべてにわたって洗練されていない人,遊里の事情に不案内な人のことをいう。〈野暮〉と〈通〉はその世界を全く異にしているため,修行しだいでは〈野暮〉から〈通〉への変化も可能だが,〈半可通(はんかつう)〉は〈通〉の範疇の中にありながら目ざす方向が〈通〉とは逆であるため,かえって〈通〉から遠ざかることになる。洒落本の世界では,より滑稽な存在として,〈野暮〉よりも〈半可通〉に関心が持たれることが多く,その人物像も生彩に富んでいる。
執筆者:中野 三敏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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