何分(読み)ナニブン

デジタル大辞泉 「何分」の意味・読み・例文・類語

なに‐ぶん【何分】

[名]
はっきりしない内容を漠然と表す。なんらか。「いずれ何分沙汰があるだろう」
あまり多くない数量を漠然と表す。いくらか。なにがし。「何分の御寄付をお願いいたします」
[副]
適切な処置を依頼するときに用いる。どうぞ。何とぞ。「何分よろしくお願いします」
どんな事情よりも優先する事柄を述べて、弁解などをするときに用いる。何しろ。何せ。「何分この天気ですので、船は出せません」
[類語]1平になにとぞ是非どうぞどうか願わくはくれぐれもなんとかぜひともまげてひとつしんからこころから衷心返す返す強いて敢えて努めてできるだけなるたけなるべく可及的必ずきっと絶対何としてもどうしても是が非でもたって必ずや必定否が応でも否でも応でもいやでもいやとも是非ともとくととっくり重ね重ね2とにかく何しろ何せ何分にもなんにせよともかくともかくもともあれとまれとにもかくにもそれはともあれ畢竟ひっきょう結局矢張り所詮しょせんどの道何れにしても結句ついとどの詰まり詰まるところ帰するところせんずるところ要するにいずれどうせつまりとうとういよいよ挙げ句挙げ句の果て差し詰め究竟きゅうきょう果ては何と言ってもどっち道もはや遅かれ早かれ善かれ悪しかれすんでにほとんどすんでのことすんでの所どうにかこうにかどうにかやっとようやくなんとかかろうじてからくもやっとこさ間一髪危なくあわやすれすれようやっとどうかこうかかつがつどうやらこうやら曲がりなりにもやっとの事でまだしもまだえんやらやっとようよう危うく九死に一生を得るまあまあまあよっぽどかなりなかなかわりあいわりかたわりかし割に比較的まずまずかすかすどうやらなんとかかんとかそこそこそれなり増し次善セカンドベストベター及第無難ほどほど捨てたものではない満更まんざらでもないいまだしいま不徹底不十分及ばずながら不全不完全どうなりこうなり一応急場しのぎ当座しのぎ一時しのぎその場しのぎ

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「何分」の意味・読み・例文・類語

なに‐ぶん【何分】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙
    1. 事態の雑多なさまを表わす。いろいろと。さまざまに。なんとも。
      1. [初出の実例]「何分御やっかいに成まして」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)二)
    2. これと断定はできないが漠然と、あるいは、あえてぼかしながら、自らの判断を述べるときに用いる。どうやら。どうも。
      1. [初出の実例]「其スウススウとすすり込む音が何分気障(きざ)だ」(出典滑稽本浮世風呂(1809‐13)四)
    3. 他のことよりも優先する事柄、いかんともしがたい事情を述べて、弁解などをするときに用いる。何しろ。何せ。
      1. [初出の実例]「何分学浅識隘候間、棟撓み可申存候」(出典:椿椿山宛渡辺崋山書簡‐天保一一年(1840)一一月三日)
    4. 相手の判断・裁量にまかせて依頼・懇願する気持を表わす。どうかしかるべく。なにとぞ。
      1. [初出の実例]「何分売払ってくれろとの頼み」(出典:歌舞伎・お染久松色読販(1813)序幕)
  2. [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 「なにぶんの」の形で )
    1. 特定しない事柄を漠然と示す。なんらか。「なにぶんの指示があろう」
    2. わずかな数量を漠然と示す。なにがし。「なにぶんの寄付をする」

なん‐ぶん【何分】

  1. 〘 副詞 〙 「なにぶん(何分)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「作右衛門お中を分度と申候て、尤なんふんにもと申候間」(出典:梅津政景日記‐慶長一七年(1612)八月二六日)

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