(読み)ハズ

デジタル大辞泉 「筈」の意味・読み・例文・類語

はず【×筈/×弭/×彇】

弓の両端弓弭ゆはず
矢の端の、弓の弦につがえる切り込みのある部分矢筈やはず
相撲で、親指と他の指を広げ、矢筈の形にした手。これで相手のわきを押しつけて攻める。「―にかかる」「―押し」
《矢筈と弦とがよく合うところから》
㋐当然そうなるべき道理であることを示す。また、その確信をもっていることを示す。「君はそれを知っている―だ」「来ない―はない」
㋑その予定であることを示す。「今日届く―になっている」
[類語](1)(2弓矢/(4強いて敢えてむりやり努めてできるだけ極力なるたけなるべく可及的必ずきっと絶対是非何としてもどうしても何が何でも是が非でも押してたってどうぞどうかくれぐれも願わくはなにとぞなんとかぜひともまげてひとつ必ずや必然必定不可避誓っててっきり違いない決まってすなわち否が応でも否でも応でも無理必死いやでもいやとも無理算段無理無体無理押し無理強制的強引強気強行独断独断的理不尽強硬頑強問答無用強要力尽く力任せ腕尽くごり押し断固一刀両断横柄威圧的否応無し頑として横紙破り横紙を破る有無を言わせず腕力に訴える横車を押す押し付けがましいねじ伏せる首に縄を付ける遠慮会釈もない遠慮高圧的高飛車頭ごなし押し通す押し付ける一方的豪腕

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精選版 日本国語大辞典 「筈」の意味・読み・例文・類語

はず【筈・弭・彇】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 弓の両端。弓の弦を受けるところ。木弓の材質から上方末弭(うらはず)、下方を本弭(もとはず)という。弓弭(ゆはず)
    1. [初出の実例]「乃ち金色(こかね)の霊鵄(あやしきとひ)有りて飛来りて皇弓の弭(ハス)に止れり」(出典:日本書紀(720)神武即位前(熱田本訓))
  3. 矢の上端で、弓の弦をかける部分。矢筈(やはず)
    1. [初出の実例]「征箭一千四百九十隻。〈略〉鏃塗金漆。筈塗朱沙」(出典:延喜式(927)四)
  4. ( と弦とはよく合うところから ) 物事が当然そうなること。道理。理屈。筋道。転じて、予定・てはず・約束などの意にもいう。
    1. [初出の実例]「於遅引者、東北之筈可相違候、定為公儀様躰可仰出候条、御分別此節候」(出典:吉川家文書‐(天正三年)(1575)一一月二〇日・本願寺光佐書状)
    2. 「此のかさをくれふはつはないが」(出典:狂言記・秀句大名(1700))
    3. 「かふいふてからは筈(ハヅ)を違はす男ではないぞ」(出典:浮世草子・傾城禁短気(1711)五)
  5. 和船帆柱の先端をいい、ふつうは蝉挟みの先端が蝉の頂部より両側に若干突き出している所をいう。〔和漢船用集(1766)〕
  6. 相撲の押し手で、親指と人差指との間を矢筈の形に開き、相手の腋(わき)の下や胸、肩口などにあてて押すこと。〔相撲講話(1919)〕
  7. 楊弓大弓で、銭を賭け物にするとき、一銭をいう隠語餓鬼。〔随筆・一話一言(1779‐1820頃)〕
  8. 綿を引き延ばすのに用いる道具。矢筈。〔和漢三才図会(1712)〕
    1. 筈<b>⑦</b>〈和漢三才図会〉
      〈和漢三才図会〉

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普及版 字通 「筈」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 12画

(異体字)括
9画

[字音] カツ(クヮツ)
[字訓] やはず・ゆはず・はず

[字形] 形声
声符は舌(かつ)。舌の初形は(かつ)。氏はもと(けつ)(把手のある曲刀)の形に従い、ものを(刮)(けず)る意。筈は弓矢の先を削って弦にかけるところ。弓の上端を末弭(うらはず)、下端を本弭(もとはず)、矢筈をやはずという。字はまた括に作る。

[訓義]
1. やはず、ゆはず、はず。
2. 国語で、予定される意の、はず、道理、当然にあるべきこと。

[古辞書の訓]
名義抄〕筈 ヤサキ・ヤハズ・ハタ

[下接語]
羽筈・機筈・弦筈・矢筈・筈・鏃筈・脱筈・竹筈・鋒筈

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【弓道】より

…なお弦は,古くから一貫して麻が使用されてきたが,近年になり化学繊維のものもある。矢は篦(の)(矢軸,簳(やがら)),筈(はず),矢羽,鏃(やじり)から構成されている。篦は多く矢篦竹(やのちく)が使用されるが,現代ではジュラルミン製,グラスファイバー製のものもある。…

※「筈」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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