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悲壮 ひそうthe tragic

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

悲壮
ひそう
the tragic

美学上の用語。通常滑稽の対立概念とされる美的範疇の一つ。本来は悲劇のなかにその純粋な発現がみられるが,その他の芸術や日常世界にもみられる。哀とも似るが単純な悲しさではなく,価値ある人物の没落に関係する。すなわち悲劇の主人公が,彼を侵害し,破滅させようとするもろもろの原因より高い価値のにない手であり,かつ彼の没落が人間や世界の本質的構造から必然的に生じ,いかなる力をもってしてもこれをとどめえない場合や,没落が超越者の介入によって生じるときに現れる。罪なき破滅や悲運も悲なものとして現れる。悲壮は広義の崇高に包括されることもあり,A.ショーペンハウアーは「最大度の崇高」を「悲壮」とみなした。

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デジタル大辞泉の解説

ひ‐そう〔‐サウ〕【悲壮】

[名・形動]悲しい中にも雄々しくりっぱなところがあること。また、そのさま。「悲壮な決意」
[派生]ひそうさ[名]

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世界大百科事典 第2版の解説

ひそう【悲壮 tragic】

滑稽(喜劇美)と対をなす美的範疇で,悲劇に認められる特質を語ろうとする概念。〈悲劇美〉〈悲劇性〉〈悲劇的なるもの〉などとも呼ばれる。悲劇はギリシア以来ながく西洋の敬重してきた芸術形式ゆえ,悲劇観の変遷に応じて悲壮の概念も多義だが,ことにドイツ観念論以降この概念は悲劇という芸術形式を超えて人生の万般に広く適用されるようになり,世界観的態度と結ばれる精神的意義を深めて今日にいたっている。一般には,価値あるものが侵害を受け没落の過程や結末に激しい苦悩をなめるが,同時にこれを見守る者にはいよいよたっとぶべき価値の強化が感得されるとき悲壮が成り立つという。

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大辞林 第三版の解説

ひそう【悲壮】

( 名 ・形動 ) [文] ナリ 
悲しい中にも勇ましく雄々しいところがある・こと(さま)。また、悲痛な思いを胸に秘めた勇ましさをいう。 「 -の最期」 「 -な覚悟」 → 悲愴(補説欄)
[派生] -さ ( 名 )

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