悲壮(読み)ヒソウ

デジタル大辞泉 「悲壮」の意味・読み・例文・類語

ひ‐そう〔‐サウ〕【悲壮】

[名・形動]悲しい中にも雄々しくりっぱなところがあること。また、そのさま。「悲壮な決意」
[派生]ひそうさ[名]
[類語]猛烈強烈激烈鮮烈凄烈凄絶壮烈壮絶激しい過激ラジカルすさまじい熾烈しれつ苛烈激甚急激峻烈しゅんれつ激越矯激ファナティック先鋭烈烈痛烈辛辣シビア強いきついどぎついひどい手ひどいすごいものすごい厳しい手厳しいはなはだしい桁外れ桁違い並外れ格段著しい厳格厳重厳酷厳正冷厳峻厳しゅんげん苛酷鋭いこっぴどい強力強大無敵最強力強い手強い荒荒しい荒っぽい大荒れ猛然荒らか威烈猛に

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精選版 日本国語大辞典 「悲壮」の意味・読み・例文・類語

ひ‐そう‥サウ【悲壮】

  1. 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 悲しい中にりりしさのあること。悲痛な気持を内にひめた勇ましさ。また、そのさま。
    1. [初出の実例]「其沈鬱悲壮の音は恰も今日露国の現状を描写するに適当なるを」(出典:将来之日本(1886)〈徳富蘇峰〉三)
    2. [その他の文献]〔後漢書‐禰衡伝〕

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改訂新版 世界大百科事典 「悲壮」の意味・わかりやすい解説

悲壮 (ひそう)
tragic

滑稽(喜劇美)と対をなす美的範疇で,悲劇に認められる特質を語ろうとする概念。〈悲劇美〉〈悲劇性〉〈悲劇的なるもの〉などとも呼ばれる。悲劇はギリシア以来ながく西洋の敬重してきた芸術形式ゆえ,悲劇観の変遷に応じて悲壮の概念も多義だが,ことにドイツ観念論以降この概念は悲劇という芸術形式を超えて人生の万般に広く適用されるようになり,世界観的態度と結ばれる精神的意義を深めて今日にいたっている。一般には,価値あるものが侵害を受け没落の過程や結末に激しい苦悩をなめるが,同時にこれを見守る者にはいよいよたっとぶべき価値の強化が感得されるとき悲壮が成り立つという。価値あるものとしては究極のところ人間の尊厳を置くのが妥当であり,ここから悲壮を倫理的範疇とする見解(M. シェーラー)も生じる。しかし現実界の悲壮も,芸術表現にもたらされてはじめてその本質を十全に開示できることを思えば,やはり悲壮は美的範疇にとどめおくべきであろう。
滑稽
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「悲壮」の意味・わかりやすい解説

悲壮
ひそう
the tragic

美学上の用語。通常滑稽の対立概念とされる美的範疇の一つ。本来は悲劇のなかにその純粋な発現がみられるが,その他の芸術や日常世界にもみられる。悲哀とも似るが単純な悲しさではなく,価値ある人物の没落に関係する。すなわち悲劇の主人公が,彼を侵害し,破滅させようとするもろもろの原因より高い価値のにない手であり,かつ彼の没落が人間や世界の本質的構造から必然的に生じ,いかなる力をもってしてもこれをとどめえない場合や,没落が超越者介入によって生じるときに現れる。罪なき破滅や悲運も悲壮なものとして現れる。悲壮は広義の崇高に包括されることもあり,A.ショーペンハウアーは「最大度の崇高」を「悲壮」とみなした。

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普及版 字通 「悲壮」の読み・字形・画数・意味

【悲壮】ひそう(さう)

雄々しく悲しい。唐・杜甫〔閣夜〕詩 五鼓角、聲悲壯 三峽の星河、影動搖す

字通「悲」の項目を見る

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