若しくは(読み)モシクハ

デジタル大辞泉 「若しくは」の意味・読み・例文・類語

もしく‐は【若しくは】

漢文訓読から生じた語》
[接]どちらか一方を選択するのに用いる語。あるいは。さもなければ。または。「行くか、若しくはやめるか」
賄賂を収受し又は之を要求―約束したるときは」〈刑法・一九七条〉
又は[用法]
[副]ひょっとして。もしかしたら。
「―御陵の内に犯し穢せる事もやあらむと」〈続後紀宣命
[類語]またはあるいはないしそれともはたはたまたもし仮にたとえもしかよしんばたといよしやもしも万一万一ばんいち万が一万万一もしやもしかしたらもしかするとひょっとするとひょっとしたらひょっとしてもしかしてどうかすると下手すると一つ間違えばことによるとあわよくばまかり間違うよもやまさか万万ばんばん夢かうつつ図らずもはしなくはしなくも思いがけず思いも寄らない思いのほか心外突然唐突案に相違する意表を突く意表予想外意想外ゆくりなくまぐれひょんなひょっとゆくりなし我にもなく期せずして悪くすると事と次第による事によるとともするとややもすれば何かにつけ何かと言えば折に触れて偶然たまさか時としてかも知れない思わず思わず知らず我知らず知らず知らず折もあろうに折悪しく慮外存外望外

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「若しくは」の意味・読み・例文・類語

もしく‐は【若は】

  1. ( 副詞「もし」に、副詞語尾「く」助詞「は」の付いてできたもの。漢文訓読から生じた )
  2. [ 1 ] 〘 副詞 〙 事柄が現実に生じたり存在したりする可能性があることを示す。もしかしたら。ひょっとして。
    1. [初出の実例]「若久波(もしクハ)御陵の内に犯し穢せる事もや在と巡察せしめむと為てなも」(出典:続日本後紀‐嘉祥三年(850)三月一四日・宣命)
  3. [ 2 ] 〘 接続詞 〙 ( 「は」を仮定の「ば」と誤って「もしくば」とも ) 前後の事柄のうち、どちらか一方が選択される関係、または、複数の事項が並立する関係にあることを示す。あるいは。または。もしは。
    1. [初出の実例]「審弁体は過去の事に就て論斥若くは弁解を述る者とし」(出典:明六雑誌‐二五号(1874)知説五〈西周〉)

若しくはの補助注記

( 1 )「もしくは」と「もしは」はともに漢文の訓読から生じたが、その前後関係は、「もしは」を前とする説(春日政治「西大寺本金光明最勝王経古点の国語学的研究」)、「もしくは」を前とする説(山田孝雄「漢文の訓読によりて伝へられたる語法」)がある。
( 2 )「もしくは」と「または」は法令用語の上で次のように使い分けられている。同じ程度の選択的事柄が並列される場合には「または」を用い、「もしくは」を用いない。選択的事柄のうちで大小段階がある場合には、大きいものに「または」を、小さいものに「もしくは」を用いる。たとえば、「学校教育法‐二二条」にみえる「これを小学校又は盲学校聾学校若しくは養護学校の小学部に就学させる義務を負う」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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