普及版 字通 「当(漢字)」の読み・字形・画数・意味
当
常用漢字 6画
(旧字)當
13画
[字訓] あたる・かなう・まさに
[説文解字]
[金文]
[字形] 形声
旧字は當に作り、(尚)(しよう)声。に堂(どう)・棠(とう)の声がある。は神明を迎える窓。上部の八は神気の下る形。田は田土。もと農耕儀礼を示す字であったと考えられ、新嘗(にいなめ)の嘗とも、字形の上で関係がある。嘗は旨に従い、旨は詣(いた)るの意。その詣る神を迎えることを首(けいしゆ)といい、金文に、「稽首」に「首」の字を用いる。〔説文〕十三下に「田、相ひ値(あた)るなり」とは、抵当の意であろうが、その意には古く典を用い、金文の〔生(ほうせいき)〕に「格伯の田を典(てん)す」のようにいう。當ものちには「典当」の意にも用いるが、當は古くは嘗と通用することが多い。〔子、君子〕「先當(かつ)て賢ならば、子孫必ず顯(あら)はる」、〔子、性悪〕「當試(こころみ)(嘗試)に君上の勢を去らん」などの例がある。農耕では時宜によって祀ることが行われ、〔管子、宙合〕に「變に應じて失はざる、之れを當と謂ふ」とはその意であろう。時宜にあたること、それよりして時に当たり、所に当たる意となり、当面・順当・相当・当然・当為の意となったのであろう。
[訓義]
1. あたる、むかう、むきあう、あう。
2. かなう、つりあう、たぐう。
3. あたいする、ならぶ、なぞらえる。
4. ただしい、まさに~すべし、かならず、さだめて。
5. もし、あるいは、すなわち。
6. しちぐさ、典当。
7. そこ、杯の底。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕當 マサニ・~スベシ・アタツル・ツカサドル・ツネ・マホル・ムベ・ムベナリ・マカス・マサシ・ソコ・ムカフ・アツ・カナフ・ナホシ・ハタ/句當 イヒアハス 〔立〕當 マホル・ベシ・ツカサドル・ソナヘナホシ・ツネ・マサニ・ソノカミ・コリマカス・スベシ・アツ・ウヘ・マサシ・ムベナリ
[声系]
〔説文〕に當声として鐺など二字を収める。声、嘗声の字にも、声義の関係をもつものがある。
[語系]
當・襠・tangは同声。襠(とう)は両襠衣、一は胸に、一は背に当たる。また袴襠は旁の開いた袴。(とう)に遮る意があり、李白の〔蜀道難〕「一夫關に當る」は「關を(さへぎ)る」意。その字はまた(とう)に作る。丁tyeng、貞tiengは声近く、丁は釘の頭。そのうつ音を丁という。鐺tangは鼓鐘をうつ音である。貞は貞問、卜して貞(あた)る意。嘗zjiangは當と通用することがある。黨(党)tangは同声。これらの字の間に声義の関係がある。
[熟語]
当意▶・当為▶・当下▶・当該▶・当官▶・当関▶・当眼▶・当期▶・当御▶・当胸▶・当局▶・当家▶・当月▶・当権▶・当言▶・当午▶・当口▶・当行▶・当国▶・当今▶・当罪▶・当事▶・当時▶・当室▶・当日▶・当初▶・当処▶・当職▶・当心▶・当世▶・当税▶・当夕▶・当千▶・当先▶・当選▶・当然▶・当前▶・当代▶・当地▶・当中▶・当朝▶・当直▶・当天▶・当途▶・当塗▶・当当▶・当道▶・当年▶・当否▶・当舗▶・当報▶・当務▶・当面▶・当夜▶・当役▶・当陽▶・当膺▶・当来▶・当▶・当理▶・当梁▶・当令▶・当路▶・当鑪▶・当盧▶・当▶・当顱▶
[下接語]
允当・応当・穏当・過当・該当・敢当・幹当・勘当・均当・勾当・至当・失当・充当・順当・正当・相当・妥当・当・担当・丁当・当・的当・適当・典当・配当・必当・不当・別当・奉当・無当・郎当
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報