(読み)グ

デジタル大辞泉 「愚」の意味・読み・例文・類語

ぐ【愚】

[名・形動]おろかなこと。ばかげたこと。また、そのさま。「を犯す」「な男」
尾鰭おひれを附けて―な評判をしておった」〈魯庵社会百面相
[代]一人称人代名詞自分のことをへりくだっていう語。
「―案ずるに何様いかさま小姑というものは」〈紅葉・二人女房〉
[類語]愚か愚かしい低能馬鹿わたくしわたしあたくしあたしあたいあっしわらわあちき自分おれ俺等おいらおらわし当方此方こちらこっちこちとら吾人ごじん我がはい手前てめえ・愚輩・拙者身共それがし不肖ふしょう小生愚生迂生うせい

ぐ【愚】[漢字項目]

常用漢字] [音](呉)(漢) [訓]おろか
おろか。ばか。「愚痴愚鈍愚民愚問愚劣暗愚頑愚
ばかにする。「愚弄ぐろう愚民政策
おろかな者。「下愚賢愚衆愚凡愚
自分に関する物事に添えて謙遜けんそんを表す語。「愚見愚妻愚生愚息

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精選版 日本国語大辞典 「愚」の意味・読み・例文・類語

ぐ【愚】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 形動 ) 知能の働きがにぶいこと。また、そのさま。おろか。ばか。
    1. [初出の実例]「愚自作愚賢自賢、詳愚詐忌未玄玄」(出典田氏家集(892頃)下・読老子)
    2. 「此れ汝が愚の三也」(出典:太平記(14C後)四)
    3. [その他の文献]〔詩経‐大雅・抑〕
  2. [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 ( 「おろかな私」の意から ) 自称。自分を謙遜していう語。男性が用いる。
    1. [初出の実例]「愚が義ならば、上からではなうて、下から始るぞ」(出典:史記抄(1477)一八)
    2. 「東武へひろめて愚之手柄に仕度候」(出典:木因宛芭蕉書簡‐天和二年(1682)二月上旬)
    3. [その他の文献]〔諸葛亮‐前出師表〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「愚」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 13画

[字音]
[字訓] おろか

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
声符は禺(ぐ)。禺は〔説文〕九上に「母猴の屬なり」とあり、また愚字十下には「(おろ)かなるなり。心に從ひ、禺に從ふ。禺は猴の屬、獸の愚かなるなり」とする。禺は然(ぎようぜん)として頭の大きなものの形であるが、字の構造は禹に近く、禹は二竜相交わる形。禺もおそらくその形で、竜蛇の類であるらしく、禺(ぐちゅ)は東海の海神、禺彊(ぐきょう)は北海の海神の名。然として動作のゆるやかな状態は機略に乏しく、愚鈍の意に用いる。

[訓義]
1. おろか、かたくな。
2. おろかもの、おろかな心、ばか。
3. ばかにする。
4. 愚直。
5. 自分の謙称

[古辞書の訓]
〔名義抄〕愚 オロカニ・オロカナリ 〔字鏡集〕愚 オロカナリ・オロソカナリ・カタクナシ

[熟語]
愚闇・愚案・愚暗・愚意・愚・愚下・愚愚愨愚悍愚款・愚管愚頑・愚計・愚慧・愚見・愚狷・愚険・愚瞽・愚固・愚考・愚・愚悃・愚策・愚士・愚志・愚質・愚者・愚主・愚懦・愚衆・愚冗・愚心・愚臣・愚人・愚誠・愚生愚拙・愚説・愚浅愚賤・愚・愚僧・愚息・愚俗・愚存愚惰・愚滞・愚短愚誕・愚知・愚痴・愚忠愚衷愚佻・愚直・愚駑・愚・愚・愚禿・愚頓・愚鈍・愚衲・愚薄・愚鄙・愚・愚夫・愚婦・愚誣・愚物・愚・愚暴・愚・愚朴・愚樸・愚笨・愚昧・愚民・愚冥・愚・愚・愚野・愚庸・愚濫・愚慮・愚劣・愚魯・愚弄・愚陋・愚老・愚論・愚惑
[下接語]
暗愚・愚・下愚・頑愚・帰愚・賢愚・昏愚・守愚・衆愚・愚・純愚・上愚・真愚・尽愚・大愚・痴愚・樸愚・凡愚・迷愚・庸愚

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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