(読み)ジュウ

デジタル大辞泉 「十」の意味・読み・例文・類語

じゅう【十】[漢字項目]

[音]ジュウジフ)(呉) ジッ(慣) [訓]とお と そ
学習漢字]1年
〈ジュウ〉
数の名。とお。「十両十二支/数十・五十音
十番目。「十月
とたび。「十念
全部そろっている。「十全十分
〈ジッ〉とお。とたび。「十回・十干十指十中八九
[補説]「ジッ」は「ジュウ(ジフ)」の入声にっしょう音pの変化したもの。平成22年(2010)に見直しが行われた常用漢字本表では、備考欄で「ジュッ」の読みも認められている。
〈とお〉「十日とおか
〈と〉「十重二十重とえはたえ十月十日とつきとおか十人十色じゅうにんといろ
[名のり]かず・しげ・ただ・とみ・ひさし・みつ・みつる
難読十六夜いざよい十八番おはこ十姉妹じゅうしまつ十露盤そろばん九十九つくも二十はたち二十歳はたち二十日はつか三十日みそか

じゅう〔ジフ〕【十/拾】

数の名。9の次の数。とお。と。そ。
十番目。第十。
[補説]「拾」は、金銭に関する文書などで間違いを防ぐため、「十」の代わりに特に用いる。
[類語]ゼロ一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ九つとお

とお〔とを〕【十】

数の名。九つの次の自然数。じゅう。
10歳。
[類語]じゅうゼロ一つ二つ三つ四つ五つ六つ七つ八つ九つ

つづ【十】

二十歳のことを言うのに「つづ(十)やはたち(二十)」と用いられたところから誤って》19歳。
「いくら利口のようでも、やっぱり―や二十歳はたち処女むすめでございますよ」〈紅葉・二人女房〉
とお。じゅう。〈日葡
《弓の勝負一度に二矢ずつ五度で決するところから》射た矢がすべて的に当たること。
矢所やつぼ一寸ものかず、五度の―をし給ひければ」〈太平記一二

そ【十】

[語素]他の語と複合して、とお・じゅうの意を表す。「みそひと文字」「じ」

と【十】

数の、とお。じゅう。多く、名詞の上に付けて用いる。「つき十日とおか」「十人いろ

じっ【十】[漢字項目]

じゅう

シー【十】

《〈中国語〉》数の10。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「十」の意味・読み・例文・類語

じゅうジフ【十・拾】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 数の名。一から数えて、九の次にあたる数。数の十進法で、一のすぐ上の単位。と。とお。また、第一〇番目。
    1. [初出の実例]「亡せにける妻の子たちとて、十よばかりなる有るを」(出典:落窪物語(10C後)四)
    2. 「この院のみかどは、十の御子にぞ、おはしましける」(出典:源氏物語(1001‐14頃)橋姫)
  3. 一〇歳。

十の補助注記

「十」の日本の本来の漢字音は単独ではジフ(これがジウ→ジュウとなった)だが、「十本」「十個」「十銭」「十哲」のような語では古くは例外なくジッとなり、「ジッポン」「ジッコ」「ジッセン」「ジッテツ」と言った。これは「十」のように古くは末尾の音がpであった漢字は、後に無声子音で始まることばが来ると促音化したためである(類例、「合(ガフ)」の「合掌(ガッショウ)」「合併(ガッペイ)」)。右のような語は、NHKのアナウンサーはほとんど皆「ジッ‐」と発音しており、多くの国語辞典も「ジッ‐」の形のみを記しているが、現実には、若年層では「ジュッ‐」の形が圧倒的である。本辞典では「ジッ‐」の形で立項・解説し、「ジュッ‐」の形は空見出しとして立項した。


とおとを【十】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 数の一〇。また、年齢の一〇歳。→と(十)
    1. [初出の実例]「挿櫛(さしぐし)は 多宇(タウ)まり七つ ありしかど」(出典:催馬楽(7C後‐8C)挿櫛)
    2. 「とおにあまりぬる人はひひなあそびはいみ侍ものを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)紅葉賀)
  3. 物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの一〇。と。
    1. [初出の実例]「手を折りてあひ見し事をかぞふればとおといひつつ四つは経にけり」(出典:伊勢物語(10C前)一六)

十の補助注記

名詞・助数詞に直接つくときは「と」となるのが普通だが、「とお」の形がついた例として平安時代に「とおつら(十列)」がある。


と【十】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「とお」の変化した語 )
  2. 数のとお。じゅう。名詞・助動詞の前に直接つけて用いる。「十重二十重(とえはたえ)」「十人十色」「十年(ととせ)
    1. [初出の実例]「桜人 その舟止め 島つ田を 止万知(トまち)つくれる」(出典:催馬楽(7C後‐8C)桜人)
  3. 物の数を、声に出して順に唱えながら数えるときの一〇。
    1. [初出の実例]「一二三四五六七八九十をひふとて、手に石ふたつをもちてかはりかはりたまにとるに、ひふみよいむなやことといへるは」(出典:名語記(1275)四)

とおらいとをらい【十】

  1. 〘 名詞 〙 江戸時代、拳(けん)で、数の十(とお)をいう。
    1. [初出の実例]「おなじこと梅の花、とうらいきうご五うりうすう」(出典:歌謡・松の落葉(1710)五・かんふうらん替り)

そ【十】

  1. 〘 造語要素 〙 とお。じゅう。「みそ(じ)」「よそ(じ)」「いそ(じ)」「むそ(じ)」「みそひともじ(三十一文字)」「そしろ(十代)」など。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「十」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 2画

[字音] ジュウ(ジフ)
[字訓] とお

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 指事
算木に用いる縦(たて)の木の形。〔説文〕三上に「數の(そな)はれるなり。一を東西と爲し、(こん)を南北と爲す。則ち四方中央備(そな)はれり」とするが、卜文・金文の字形は、横画によって一、縦画によって十、×によって五をあらわす。金文ではのち、縦画の下方に肥点を加え、十の字となった。

[訓義]
1. とお、数の十。
2. 十(と)たびする、十倍する、十分する。
3. 数の全体、完全、すべて、一切。
4. 十でまとまるもの、什。

[古辞書の訓]
立〕十 ミチヌ・カル・タレス・ハテ・モロモロ・カナフ・サイハヒ・ヲサム 〔字鏡集〕十 ミツ・サシチガフ・ヲハンヌ・トヲ・カズ・ヲハリ

[部首]
〔説文〕〔玉〕に(丈)・千・(博)・(ろく)・廿など八字を属する。は杖をもつ形。千は人の下部に肥点を加えた形。いずれも十の形とは関係がない。の初文はで干(たて)に従い、干を以て搏(う)つ意。三上は「材十人なり」とするも、十分の一の意。指にはさんで数えるときの端数をいう。廿は合文。卅・のような表記法もある。

[声系]
〔説文〕に十声として什・汁を収める。十部のうちにもなど、形声とみるべきものがある。

[語系]
十・什zjipは同声。五人を伍、十人を什といい、また詩は十を合わせて什という。品物にもそのような数えかたをする。・集dzipは声近く、dziutもその系統の語で、みな集合の意がある。

[熟語]
十幹・十干・十紀・十景・十載・十際・十思・十死・十室・十洲・十成・十・十卒・十率・十輩・十髪・十半・十夫・十歩・十方・十悪・十一・十雨・十駕・十具十日・十旬・十醸・十仞・十稔・十全・十代・十奴・十年・十分・十翼

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