(読み)カイ

デジタル大辞泉 「怪」の意味・読み・例文・類語

かい〔クワイ〕【怪】

[名]
あやしいこと。不思議、あるいは不気味なこと。「自然界の」「古井戸
化け物変化へんげ。「古猫の
[接頭]漢語名詞に付いて、あやしい、うさんくさい、不思議な、などの意を表す。「文書」「人物」「事件」
[類語]不思議不可思議不可解不審奇妙面妖めんようみょうへんなぞ奇異奇怪幻怪怪奇怪異神秘霊妙霊異玄妙あやかしミステリーミステリアス奇天烈摩訶不思議けったいおかしい

かい【怪】[漢字項目]

常用漢字] [音]カイ(クヮイ)(漢) ケ(呉) [訓]あやしい あやしむ
カイ
不思議な。あやしい。「怪異怪火怪奇怪死怪談怪盗怪物怪文書奇怪醜怪
並外れている。「怪童怪腕
不思議な事柄。「怪力乱神幻怪妖怪
〈ケ〉あやしい。あやしむ。「怪訝けげん変怪へんげ
[補説]「恠」は俗字
[難読]怪我けが勿怪もっけ

け【怪/×恠】

あやしいこと。不思議なこと。怪異。
「かやうの―ども、未然に凶を示しけれども」〈太平記・二〇〉
もののけ。たたり。
「この男も生頭痛なまかしらいたくなりて、女は喜びつれどもそれが―のするなめり、と思ひて」〈今昔・二七・二〇〉

け【怪/芥/懈】[漢字項目]

〈怪〉⇒かい
〈芥〉⇒かい
〈懈〉⇒かい

しるまし【怪/徴】

奇怪な前兆。不吉な前触れ
「今是の―を視るに、甚だかしこし」〈仁徳紀〉

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精選版 日本国語大辞典 「怪」の意味・読み・例文・類語

かいクヮイ【怪・恠】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 現実にありえないと思われるような不思議なこと。あやしいこと。怪異。
    1. [初出の実例]「難波宮鎮恠。庭中有狐頭断絶而無其身。但毛屎等散落頭傍」(出典:続日本紀‐天平一三年(741)閏三月己巳)
    2. [その他の文献]〔荘子‐逍遙遊〕
  3. ばけもの。変化(へんげ)。妖怪(ようかい)
    1. [初出の実例]「猫の怪(クヮイ)十二単衣の姿、老女の拵らへにて」(出典:歌舞伎独道中五十三駅(1827)二幕)
    2. [その他の文献]〔博物志‐雑説上〕

けしかる【怪】

  1. ( 形容詞けし」の補助活用連体形 )
  2. あやしい。異様である。えたいが知れない。
    1. [初出の実例]「今はけしかるかきすゑ屋形舟に大幕ひかせ、見もなれぬ兵共(つはものども)にぐせられて」(出典:平家物語(13C前)二)
    2. 「内には、いつしかけしかる物など住みつきて」(出典:増鏡(1368‐76頃)一五)
  3. いっぷう変わっていて、おもしろい。悪くはない。
    1. [初出の実例]「これもけしかるわざかなとて、御衣(おんぞ)ぬぎてかづけさせ給ふ」(出典:増鏡(1368‐76頃)一)

け【怪】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 不思議なこと。あやしいこと。
    1. [初出の実例]「加様(かやう)の怪(ケ)共、未然に凶を示しけれ共」(出典:太平記(14C後)二〇)
  3. ばけもの。
    1. [初出の実例]「怪(ク)と人の申すことどものさせることなくてやみにしは」(出典:大鏡(12C前)六)

あやしみ【怪】

  1. 〘 名詞 〙 ( 四段動詞「あやしむ(怪)」の連用形名詞化 ) 怪しむこと。不審。疑い。
    1. [初出の実例]「貫首以下あやしみをなし、『〈略〉布衣の者の候ふはなに者ぞ。狼藉なり。罷り出でよ』と六位をもって言はせければ」(出典:平家物語(13C前)一)

あや‐し【怪】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙あやしい(怪)

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