態と(読み)ワザト

デジタル大辞泉 「態と」の意味・読み・例文・類語

わざ‐と【▽態と】

[副]《名詞「わざ(業)」+格助詞「と」から》
1 意識して、また、意図的に何かをするさま。ことさら。故意に。わざわざ。「態と負ける」
2 とりわけ目立つさま。格別に。
「―深き御敵と聞こゆるもなし」〈源・葵〉
3 正式であるさま。本格的に。
「―の御学問はさるものにて」〈源・桐壺〉
4 事新しく行うさま。
「―かう立ち寄り給へること」〈源・若紫〉
5 ほんのちょっと。少しばかり。
「ではござりませうが、―一口」〈伎・上野初花〉
[類語]故意・殊更・作意・作為・意識的・意図的・計画的・作為的・未必の故意・積極的・能動的・自発的・わざわざ・殊の外・殊に・好んで・わざとらしい・こと新しい・あえて・せっかく・とりわけ・奮って・主体的・意欲的・精力的・自主的・活動的・進取・前向き・強いて・たって・乗り気・求めて・進んで・我勝ち・我先・我も我も・喜んで・喜ぶ・しゃかりき・しゃにむに・どしどし・アクティブ・アグレッシブ・ポジティブ・自ら・手ずから・直直じきじき・直接・直接的・直じかに・身を以て・ダイレクト・えいやっと・我劣らじと・わざとらしい・止やむに止やまれぬ・及ばずながら・献身的・強気・強引・押して・努めて・曲げて・断固・断然・思い切って・伸のるか反るか・思う様・思う存分・存分・思いのまま・力一杯・精一杯・率先・果敢・惜しみない・意気込む・本腰・本腰を入れる・入れ込む・ひたむき

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精選版 日本国語大辞典 「態と」の意味・読み・例文・類語

わざ‐と【態と】

  1. 〘 副詞 〙
  2. ① こうしようという、ある意図や意識をもって事を行なうさまを表わす語。現在では、そうしなくてもいいのにしいてするさまにいう場合が多い。わざわざ。意識的に。わざっと。
    1. [初出の実例]「わざとにはあらで、時々物いひふれ侍ける女の」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋二・六一三・詞書)
    2. 「其日を最後とやおもはれけん、わざと甲(かぶと)は着給はず」(出典:平家物語(13C前)四)
  3. ② 状態がきわだつさま、格別に目立つさまを表わす語。とりわけ。特に。
    1. [初出の実例]「心地いとあしうおぼえて、わざといと苦しければ」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
    2. 「わざとめでたき草子ども、硯の箱の蓋に入れておこせたり」(出典:更級日記(1059頃))
  4. ③ 正式であるさまを表わす語。本格的に。
    1. [初出の実例]「わざとの妻(め)にもあらざなり」(出典:落窪物語(10C後)二)
  5. ④ 事新しく行なうさまを表わす語。あらためて。
    1. [初出の実例]「わざと消息し、よびいづべきことにはあらぬや」(出典:枕草子(10C終)八)
    2. 「この度は、おほやけの御使なり。すみやかにのぼり給て、またわざと下り給て、習ひ給へ」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)九)
  6. ⑤ ほんの形ばかりであるさまを表わす語。ほんのちょっと。少しばかり。わざっと。
    1. [初出の実例]「樽は唯わざとばかりの祝言に よひあかつきにくるしみぞ有」(出典:俳諧・野集(1650)五)
    2. 「生鯛一折、酒一樽、態(ワザ)と祝ひて軽少ながら進上」(出典:浮世草子・世間御旗本容気(1754)四)

わざっ‐と【態と】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「わざと(態━)」の変化した語 )
  2. ① =わざと(態━)⑤
    1. [初出の実例]「百旦那わざっとどらをあいしらい」(出典:雑俳・柳多留‐一四(1779))
  3. ② =わざと(態━)①
    1. [初出の実例]「どうせ出来ない相談なら、私へ態(ワザ)っと話すには及ばない」(出典:細君(1889)〈坪内逍遙〉二)

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