常楽寺(滋賀県)(読み)じょうらくじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「常楽寺(滋賀県)」の意味・わかりやすい解説

常楽寺(滋賀県)
じょうらくじ

滋賀県湖南(こなん)市西寺(にしてら)にある天台宗の寺。山号は阿星山(あせいざん)。本尊は千手観世音菩薩(せんじゅかんぜおんぼさつ)。聖武(しょうむ)天皇の紫香楽宮(しがらきのみや)の背後に位置し、和銅(わどう)年中(708~715)金蕭(こんしょう)菩薩(または良弁(ろうべん))が開創した阿星山三千(または五千)坊の随一と伝える。同市にある長寿寺(東寺(ひがしでら))に対して西寺(にしでら)と称する。元明(げんめい)・聖武・桓武(かんむ)天皇などの御願寺(ごがんじ)で、藤原、橘(たちばな)、源氏、平氏、佐々木、足利(あしかが)、織田(おだ)など各氏の信仰を得た。本堂(国宝)は1360年(正平15・延文5)観慶によって建てられ、室町時代の和様本堂の代表的遺構の一つである。三重塔(国宝)は1400年(応永7)の竣工(しゅんこう)。寺宝に千手観世音菩薩坐像、二十八部衆立像、釈迦如来(しゃかにょらい)像、絹本着色浄土曼荼羅(じょうどまんだら)などの国指定重要文化財がある。

[田村晃祐]


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