箱・筥・函・篋・匣(読み)はこ

精選版 日本国語大辞典 「箱・筥・函・篋・匣」の意味・読み・例文・類語

はこ【箱・筥・函・篋・匣】

[1] 〘名〙
① 物をおさめるための器。多く蓋(ふた)と身とから成る。木、紙、金属、皮革、プラスチックなどで作り、直方体のものが多い。
書紀(720)宣化元年五月(北野本訓)「白玉千(ち)(ハコ)ありとも、何ぞ能(よ)く冷(こい)を救(すく)はむ」
※源氏(1001‐14頃)胡蝶はこのふたなる御くだものの中に、橘のあるをまさぐりて」
大便を受ける容器。しのはこ。転じて、大便。糞。→はこ(箱)する
今昔(1120頃か)三〇「筥に為入(しいれ)らむ物は、我等と同様にこそ有らめ」
三味線を入れる容器。転じて、三味線。また、三味線を入れた容器を持って芸者に従って行く男や芸者をもいう。はこや。
※洒落本・擲銭青楼占(1771)水雷屯「はこをまくらはまさなごと三味せんいらずのはやさんやう」
④ 「はさみばこ(挟箱)」の略。
⑥ 鉄道の客車や路面電車の車両。
※肱の侮辱(1907)〈国木田独歩〉「同じ車室(ハコ)の中に」
⑦ 四角形。箱形。
※滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)五「はこにしたいろりのよふなものの中へ」
川床の両側が切り立った岩になっている地形。
⑨ 「はこいり(箱入)③」の略。
※雑俳・青木賊(1784)「笑ふまい御留主居の箱聞く仲居
※雑俳・柳多留‐二(1767)「こたつでは箱が這入るとさむく成」
⑪ 女性の陰部。女陰
浄瑠璃・源頼家源実朝鎌倉三代記(1781)六「此マアお姫様(さん)は、よっぽど箱が和らこいわい」
仮名草子・都風俗鑑(1681)一「君が住む二階に至り、箱(ハコ)上り階踏みて」
[2] 〘接尾〙 (一)①の形をしたものを数えるのに用いる語。
※雑俳・柳多留‐八(1773)「一箱をむす子拾度に盗出し」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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