素(読み)ソ

デジタル大辞泉 「素」の意味・読み・例文・類語

そ【素】[漢字項目]

[音]ソ(漢) ス(呉) [訓]もと もとより
[学習漢字]5年
〈ソ〉
1 染めてない絹。白絹。「素絹/縑素けんそ」
2 白い。白。「素衣・素雪/緇素しそ」
3 生地のままで手を加えてない。飾りけがない。「素材・素質・素朴/簡素・質素」
4 物事を成り立たせるもと。根本になるもの。「素因・素地・素粒子/元素・色素・毒素・要素」
5 もとからの。ふだんの。「素行・素志・素養/平素」
6 伴うべきものがない。「素餐そさん・素封家」
7 簡単な。「素読・素描」
8 元素の名に用いる語。「塩素・酸素・水素・炭素」
〈ス〉
1 地のままで何もつけていない。「素足・素顔・素手・素肌・素面すめん」
2 地位など何も持っていない。「素町人・素浪人」
[名のり]しろ・すなお・もと
[難読]素湯さゆ・素面しらふ・素人しろうと・素麺そうめん・素見ひやかす

す【素】

[名]
1 装わないで生地きじのままであること。また、他のものが加わらないでそのものだけであること。「化粧せず素のままで店に出る」
2 日本の音楽・舞踊・演劇などの演出用語。芝居用の音楽を芝居から離して演奏会風に演奏したり、長唄を囃子はやしを入れないで三味線だけの伴奏で演奏したり、舞踊を特別の扮装ふんそうをしないで演じたりすること。「素で踊る」「素で浄瑠璃を語る」
[接頭]
1 形容詞に付いて、非常に、ひどく、の意を表す。「素ばしこい」「素早い」
2 名詞などに付く。
㋐平凡な、みすぼらしい、などの意を表す。「素浪人」「素町人」
㋑ただそれだけの、ありのままの、純粋な、などの意を表す。「素顔」「素足」「素うどん」

す【素/蘇】[漢字項目]

〈素〉⇒そ
〈蘇〉⇒そ

そ【素】

1 染めてない絹。白絹。
2 数学で、二つの数・式の一方がそれぞれ他で整除できない関係にあること。

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精選版 日本国語大辞典 「素」の意味・読み・例文・類語

す【素】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ① 他の要素がつけ加わらない、ありのままのさまをいう。そのままであること。他の語と複合して、「素肌」「素手」「素足」「素顔」「素焼」などと用いることもある。
      1. [初出の実例]「何によらずかざりつくろひのなきを、すのままなど云、素の字也」(出典:志不可起(1727))
      2. 「素(ス)で貸しては、踏まれる事が、みすみす見えてあるわいの」(出典:歌舞伎・三千世界商往来(1772)口幕)
    2. ② 邦楽用語。本式の演出に対する略式の演出。芝居用の音楽を芝居から離して純演奏会風に演奏したり、鳴物入りの長唄を三味線だけの伴奏で演奏したり、伴奏入りの声曲を無伴奏でうたったりすること。→素語り・素謡(すうたい)・素唄。
    3. ③ 日本舞踊で、特別な扮装(ふんそう)をせず、黒の紋付に袴(はかま)、または着流しで踊ること。素踊り。
  2. [ 2 ] 〘 接頭語 〙 名詞などの上に付けて用いる。
    1. ① 多く人を表わす語に付いて、平凡である、みすぼらしいなど軽べつの意を添える。「素町人」「素浪人」など。
      1. [初出の実例]「す奴め邪魔ひろぐか。そこ退て勝負させい」(出典:浄瑠璃・新うすゆき物語(1741)下)
    2. ② ただ、それだけである、他の要素が加わらない意を添える。「素一分」「素一本」など。
    3. ③ 状態や様子を示す語の上に付けて、そのさまを強調する意を添える。「素寒貧」「素早い」「素頓狂」など。

そ【素】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① 彩色を施してない生地。しろぎぬ。生絹。
    1. [初出の実例]「時による・素を引事も浦の網」(出典:雑俳・軽口頓作(1709))
    2. [その他の文献]〔古詩‐為焦仲卿妻作詩〕
  3. ② 白色。白。
    1. [初出の実例]「素片還慙芳意素、紅房温対酔顔紅」(出典:菅家文草(900頃)一・翫秋花)
    2. [その他の文献]〔詩経‐召南〕
  4. ③ かざりけのないこと。いつわりのないこと。また、素直なこと。
  5. ④ もって生まれたもの。本質的なもの。どだい。したじ。たち。
    1. [初出の実例]「女教の素あるを暁り、育児の法をも知るに足るべし」(出典:華族の海外留学を奨励し給へる勅諭‐明治四年(1871)一〇月二二日)
    2. [その他の文献]〔呂氏春秋‐審分覧〕
  6. ⑤ 平生。つね。日常。平素。
    1. [初出の実例]「客星変異之時上奏、先年若其事黙止者、此時可レ被レ遂歟、於二旨趣一者、偏在二叡慮一、但政道之反レ素、是其肝心也」(出典:玉葉‐寿永二年(1183)六月九日)
  7. ⑥ 数学で、数または整式の関係の一つ。いくつかの数または整式のどの二つの最大公約数も1のとき、それらの数または整式は互いに素であるという。

すっ【素】

  1. 〘 接頭語 〙 名詞・動詞・形容動詞の上に付いて、下にくる語の意味を強調する。東京語はじめ関東で多く用いられる俗な言い方。「すっとんきょう」「すっ影」「すっとぶ」など。

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普及版 字通 「素」の読み・字形・画数・意味

素
常用漢字 10画

[字音] ソ
[字訓] しろぎぬ・もと・もとより

[説文解字]
[金文]

[字形] 象形
糸を染めるとき、束の上部の結んだ部分が白く染め残される。その部分を素という。糸の上部は、その結んだところ。〔説文〕十三上に「白の緻(きめこま)かき(きぬ)なり。糸と垂とに從ふ。其の澤あるを取るなり」とするが、垂に従う字ではない。染め残されたところが本来の色であるので、すべて手を加えない以前の状態をいう。

[訓義]
1. しろ、しろぎぬ、むじ。
2. もと、もとのいろ、もとの状態。
3. もとより、まえから、あらかじめ、つね。
4. たち、本来の性質、まこと、ただしい、すなお。
5. むなしい、いたずら、何も加えない、無位。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕素 キヌ・シロシ・カナフ・モトヨリ・ムナシ・ワヅラフ・ミサホナリ・スナホニ・キオツ 〔字鏡集〕素 キヌ・キオツ・キヨシ・ワヅラフ・ムナシ・モト・アヅカル・タダシ・カナフ・ミサホナリ・ヲキヌノ・スナホニ・シロシ・モトヨリ

[部首]
〔説文〕に(しやく)・(かん)など四字を属し、〔玉〕に彝(い)の字を加える。はのち綽綰(しやくわん)に作り、緩やかにする意。彝は鶏を羽交いに締めて鶏血をとる象形の字であるから、素の字形を含むものではない。素に従う字は、もと染色に関する字であった。

[語系]
素sa、索sheakは声近く、素は糸を染めるとき、その糸束の上部を結んで漬す。索はその結ぶところに横木をつけ、ねじて索縄とすることをいう。

[熟語]
素足▶・素堊▶・素衣▶・素帷▶・素意▶・素位▶・素一▶・素隠▶・素羽▶・素雲▶・素▶・素栄▶・素影▶・素謁▶・素艶▶・素王▶・素娥▶・素懐▶・素官▶・素冠▶・素館▶・素簡▶・素▶・素顔▶・素願▶・素几▶・素気▶・素肌▶・素旗▶・素輝▶・素▶・素仇▶・素旧▶・素業▶・素琴▶・素錦▶・素襟▶・素▶・素契▶・素景▶・素▶・素霓▶・素結▶・素月▶・素軒▶・素検▶・素絢▶・素絹▶・素▶・素臉▶・素故▶・素交▶・素光▶・素行▶・素侯▶・素構▶・素毫▶・素彩▶・素材▶・素▶・素札▶・素▶・素粲▶・素▶・素士▶・素糸▶・素志▶・素瓷▶・素歯▶・素肆▶・素地▶・素辞▶・素識▶・素室▶・素質▶・素車▶・素手▶・素修▶・素秋▶・素書▶・素粧▶・素裳▶・素尚▶・素情▶・素色▶・素食▶・素心▶・素身▶・素親▶・素人▶・素誠▶・素毳▶・素石▶・素昔▶・素雪▶・素節▶・素賤▶・素蟾▶・素饌▶・素▶・素膳▶・素▶・素族▶・素▶・素湍▶・素端▶・素朝▶・素波▶・素白▶・素魄▶・素髪▶・素幡▶・素描▶・素貧▶・素膚▶・素服▶・素幅▶・素冕▶・素封▶・素抱▶・素望▶・素樸▶・素木▶・素朴▶・素明▶・素面▶・素門▶・素約▶・素友▶・素誉▶・素養▶・素来▶・素里▶・素履▶・素流▶・素練▶・素廉▶・素論▶
[下接語]
華素・雅素・愨素・寒素・閑素・簡素・素・虚素・軽素・潔素・倹素・謙素・元素・後素・皓素・縞素・緇素・色素・質素・宿素・純素・素・情素・心素・尺素・太素・道素・徳素・貧素・平素・抱素・朴素・要素・養素

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改訂新版 世界大百科事典 「素」の意味・わかりやすい解説

素 (す)

日本の音楽や舞踊で用いることば。〈素〉の意味はもともと,飾り気がなく,それ自身ということで,音楽の面では〈素唄(すうた)〉〈素謡(すうたい)〉〈素浄瑠璃〉〈素語り〉〈素で演奏する〉などと用いられる。長唄に関していえば,芝居から離れた純演奏会様式のものを〈素唄〉といい,また囃子なしで,三味線の伴奏だけで奏することを〈素〉ともいう。能では伴奏なしにうたうことを〈素謡〉と称するし,浄瑠璃では,人形芝居や歌舞伎から離れ,演奏会様式で純粋に音楽を味わうものを〈素浄瑠璃〉,三味線の伴奏なしに浄瑠璃を語ることを〈素語り〉などと呼ぶ。また,舞踊では特別な衣装をつけず,普通の服装のままで踊ることを〈素踊〉という。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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