デジタル大辞泉
「南風」の意味・読み・例文・類語
なん‐ぷう【南風】
1 南から吹く風。特に、夏季に南から吹く風。みなみかぜ。はえ。《季 夏》
2 南方の歌謡。南方の風習をうたった歌謡。
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なん‐ぷう【南風】
- 〘 名詞 〙
- ① 南から吹く風。特に夏、南方から吹いてくる風。みなみかぜ。はえ。《 季語・夏 》
- [初出の実例]「北極垂拱、南風解慍」(出典:性霊集‐七(835頃)僧寿勢為先師入忌日料物願文)
- 「女護の嶋人は、南風(ナンフウ)に吹れて孕むとかいへど」(出典:読本・椿説弓張月(1807‐11)後)
- [その他の文献]〔尸子‐綽子〕
- ② 鈍感な人物をいう。あほう。
- [初出の実例]「太鞁持の口からは、是でこそお長者と南風(ナンフウ)に吹立られて」(出典:浮世草子・西鶴伝授車(1716)二)
- ③ 南方の歌謡。南方の風習をうたった歌謡。
みなみ‐かぜ【南風】
- 〘 名詞 〙
- ① 南から吹いて来る風。みなみ。《 季語・夏 》
- [初出の実例]「みなみ風ふけば北になびき、北風ふけば南になびき」(出典:更級日記(1059頃))
- ② 転じて、なまぬるいこと。まのぬけていること。のろま。
- [初出の実例]「身上よき人のあまり利発過ぎたるも心もとなし。少し南風(ミナミカゼ)の方こそ」(出典:浮世草子・好色敗毒散(1703)四)
ようず【南風】
- 〘 名詞 〙 南海道地方で、主に春の夕方に吹く南風をいう。なまぬるい雨もよいの風で、物を腐らせたり頭痛を起こさせたりすると考えられていた。所によって、少しずつ違う点がある。《 季語・春 》
- [初出の実例]「Yôzu(ヨウズ)」(出典:ロドリゲス日本大文典(1604‐08))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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南風(みなみかぜ)
みなみかぜ
南方から吹いてくる風。日本では夏の季節風が南風であるが、これは冬の北寄りの季節風よりは概して弱い。しかし台風のような熱帯低気圧に伴われる場合は一時的に南風の暴風となる。南風がとくに強いときは大南風(おおみなみかぜ)。南風は地方により「はえ」「まじ」「まぜ」などの呼称があるが、主要な方言は次のようなものである。
おき・おくれまじ・きぜ・くだり・さがり・したけ・だし・ふえー・まえかぜ・やまじ・ながし・ふじおろし・まぜ・わかぜ・わて。
ギリシアでは南風は風神ノトスNotosで表される。ノトスは薄着をした若者の神で、手には逆さにした水瓶(みずがめ)をもつ。すなわち雨をもたらす神で、蒸し暑いときに活躍し、作物をだいなしにしたり、病気をもたらしたりする気まぐれな神である。
[根本順吉]
南風(はえ)
はえ
沖縄では南の方位を「はえ」という。これより、主として西日本で、南寄りの風を「はえ」または「はい」という。他の風向とあわせて正南風(まばえ)、南東風(はえごち)、沖南風(おきばえ)、南西風(はえまじ)などの表現がある。また季節を考え、5~6月ごろの梅雨(つゆ)どき、雨を伴って吹く南風(はえ)を黒南風(くろはえ)、梅雨明け後の真夏の晴天時に吹く風を白南風(しらはえ)という。また荒れ模様の天気を伴う場合は荒南風(あらばえ)である。梅雨明けごろ、この風が吹き続くと海が荒れ、五斗の米を食べ終わるまで出漁できないといういわれから「五斗食い風」(福岡県志賀島)、また「六俵バエ」(佐賀県東松浦半島)などといわれている。
[根本順吉]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「南風」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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なんぷう【南風】
沖縄の泡盛。酒名は一般公募で決められたもの。3年熟成の古酒。原料はタイ米、黒麹。アルコール度数25%、30%、35%。販売元の「沖縄県酒造協同組合」は昭和51年(1976)県下46酒造所が生産する泡盛のなかから良質な泡盛を長期貯蔵し、古酒として安定的に供給するために設立。所在地は那覇市港町。
出典 講談社[日本酒・本格焼酎・泡盛]銘柄コレクションについて 情報
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南風(なんぷう)〔小説〕
出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報
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世界大百科事典(旧版)内の南風の言及
【風】より
…日本では大阪湾,東京湾,伊勢湾,有明湾などが高潮の起こりやすい地域とされている。【花房 竜男】
【神話】
ギリシア神話では[風神]はまず,西風ゼフュロスZephyros,北風ボレアスBoreas,南風ノトスNotosに区別され,曙の女神エオスとアストライオスがその父母とされている。ボレアスは,アテナイの王エレクテウスの王女オレイテュイアを自分の本拠地のトラキアにさらってきて,双子の息子カライスKalaisとゼテスZētēsを産ませた。…
※「南風」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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