デジタル大辞泉
「入」の意味・読み・例文・類語
しお〔しほ〕【▽入】
[接尾]助数詞。染色のときに染料に布を浸す度数を数えるのに用いる。また、古く、酒を醸造するとき、酒を醸む回数を数えるのにも用いる。
「紅の八―の衣」〈万・二六二三〉
「八―折の酒を醸み」〈記・上〉
「眉は漆にて百―塗ったる如にして」〈太平記・二三〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
いり【入】
① 中にはいること。外から、ある建物や場所、社会の内に移動すること。
② 日や月が沈むこと。
※俳諧・流川集(1693)「日の入の雲吹きはらへむら樗(あふち)〈露川〉」
③ ある期間の最初の日。ある時期の始まり。「
梅雨の入り」「
土用の入り」
※建内記‐嘉吉元年(1441)四月紙背「夏の入にて候はては、なにともしかたく候はんすれとも」
④ 受け取って自分のものとする
金銭。収入。「月々の入り」
⑤ 代金や借金の一部として払う金銭。うちいり。
※
咄本・軽口五色紙(1774)上「『是
(これ)其処(そこ)へ入
(イリ)にして置きや』と金子五十両渡さるれば」
⑥ (「要」をあてることもある) あることをするのに必要な金銭。費用。「収入も多いが、いりも多い」
※
不在地主(1929)〈小林多喜二〉一「米ば運ぶに大した費用
(イリ)だ」
⑦ 人や物のはいる
分量。また、はいり具合。容量や入場者数。
※俳諧・大坂独吟集(1675)下「耳のあか取梶はらではやるらし やすさに入のある
芝居銭〈
重安〉」
※
蓼喰ふ虫(1928‐29)〈
谷崎潤一郎〉二「小屋は相当の広さであるのに四分通りしか入りがないので」
⑧ (名詞の下に付いて)
(イ) その物がはいっている、含まれていることを示す。
※くれの廿八日(1898)〈
内田魯庵〉三「先日
新調(でき)た宝石篏入釦鉏
(たまイリぼたん)の属
(つ)いた
吾妻コート」
(ロ) その分量が入ることを示す。
※説経節・説経苅萱(1631)中「三斗三升いりのおけに、みつをいれいただいて、二十三やの月をこそはおまちある」
⑨ 引っ込んだ奥の所。
※東関紀行(1242頃)湯本より鎌倉「なにがしのいりとかやいふ所に、あやしの賤が庵をかりてとどまりぬ」
⑩
謡曲や
義太夫節で、高い音階へ突くように声を張り上げる節。
にゅう ニフ【入】
〘名〙
① あるものの中へ、はいること。「出入」
② いれること。
※
文明論之概略(1875)〈
福沢諭吉〉五「費散者は出を量りて入を制するに非ず」
③ 仏語。真理をさとること。〔大乗義章‐一〕
しお しほ【入】
〘接尾〙 色を染めたりする時に、染料などに浸す度数を数えるのに用いる。古く、酒の醸造のとき、醸(か)む程度などにもいう。
※古事記(712)上「汝等は、八塩(しほ)折の酒を醸(か)み、亦(また)垣を作り廻(もとほ)し」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報