寂しい(読み)サビシイ

デジタル大辞泉 「寂しい」の意味・読み・例文・類語

さびし・い【寂しい/×淋しい】

[形][文]さび・し[シク]《「さぶし」の音変化で、動詞「びる」に対応する形容詞
心が満たされず、物足りない気持ちである。さみしい。「―・い顔つき」「懐が―・い(=所持金が少ない)」「口が―・い」
仲間相手になる人がいなくて心細い。「一人―・く暮らす」
人の気配がなくて、ひっそりとしている。さみしい。「―・い夜道
[派生]さびしがる[動ラ五]さびしげ[形動]さびしさ[名]
[類語](1わびしい物悲しいさみしい物寂しいうら寂しいこころ寂しい人恋しい孤愁人懐かしい物恋しい小寂しい哀感徒然つれづれ徒然とぜんすがれるうらぶれるさびれるしみじみたそがれ萎靡いび愁いさむざむセンチメンタル落日廃れるうら悲しいしんみりむせぶ哀愁悲愁憂愁衰勢物哀れ落ちぶれる物思わしい切ない衰退衰残哀切諦観春愁幽愁秋風索漠愁思秋思愁然衰亡孤独盛者必衰やるせない(「―と」「―たる」の形で)寂寥せきりょう寂寞せきばく索莫さくばく落莫らくばく蕭然しょうぜん蕭蕭しょうしょう蕭条しょうじょう蕭殺しょうさつ寥寥りょうりょう荒涼寥寥りょうりょう寂然じゃくねん・せきぜん/(2徒然つれづれ徒然とぜん手持ち無沙汰退屈所在ない持て余す無聊ぶりょうひま手透き手明き用無し閑散開店休業

さみし・い【寂しい/×淋しい】

[形][文]さみ・し[シク]さびしい」の音変化。
「生まれて初めて―・い正月をしました」〈蘆花思出の記
[補説]近世以降、「さびしい」「さみしい」両形用いられてきたが、現在は放送用語などで「さびしい」を標準形とする。
[派生]さみしがる[動ラ五]さみしげ[形動]さみしさ[名]
[類語]さびしい物寂しいうら寂しいこころ寂しいわびしい人恋しい孤愁人懐かしい物恋しい小寂しい哀感寂寥せきりょう寂寞せきばく寂寞じゃくまく索漠落莫らくばく蕭然しょうぜん蕭蕭しょうしょう蕭条しょうじょう蕭殺しょうさつ寥寥りょうりょう徒然つれづれ徒然とぜんすがれるうらぶれるさびれるしみじみたそがれ萎靡いび愁いさむざむセンチメンタル落日廃れるうら悲しいしんみりむせぶ哀愁悲愁憂愁物悲しい衰勢物哀れ落ちぶれる物思わしい切ない衰退衰残哀切諦観春愁幽愁秋風索漠愁思秋思愁然衰亡孤独盛者必衰やるせない

さむし・い【寂しい/×淋しい】

[形][文]さむ・し[シク]《「さぶし」の音変化》さびしい。
「たった一人で―・くって堪らないから」〈漱石行人
[類語]さびしいわびしい物悲しいさみしい物寂しいうら寂しいこころ寂しい(「―と」「―たる」の形で)寂寥せきりょう寂寞せきばく索莫さくばく落莫らくばく蕭然しょうぜん蕭蕭しょうしょう蕭条しょうじょう蕭殺しょうさつ寥寥りょうりょう荒涼寥寥りょうりょう寂然じゃくねん・せきぜん

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「寂しい」の意味・読み・例文・類語

さみし・い【寂・淋】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]さみ〘 形容詞シク活用 〙
  2. さびしい(寂)
    1. [初出の実例]「こなたのやうにゆふてはきゃく衆も見さげらるべし。品をかへてさみしひとお申あれ」(出典:咄本・かの子ばなし(1690)中)
  3. さびしい(寂)
    1. [初出の実例]「此さみしい景色をみるにつけて、故郷を思出して」(出典:唐詩選国字解(1791)五言古)
  4. 見ていてあさましい感じである。さびしい。さもしい。〔天正本節用集(1590)〕
    1. [初出の実例]「エエ見さげ果(はて)たる淋(サミ)しい根情」(出典人情本・人情廓の鶯(1830‐44)後)

寂しいの語誌

( 1 )上代の「さぶし」が平安時代に「さびし」となり、それがさらに変化した語。近世以降「さびし」「さみし」は並んで用いられ、のち「さむしい」「さぶしい」の形もみられる。
( 2 )現代「さびしい」「さみしい」は同じように用いられるが、古くからあった「さびしい」を標準的語形とみる考えが有力で、放送などでは「さびしい」が採用されている。

寂しいの派生語

さみし‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙

寂しいの派生語

さみし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

寂しいの派生語

さみし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

寂しいの派生語

さみし‐み
  1. 〘 名詞 〙

さびし・い【寂・淋】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]さび〘 形容詞シク活用 〙
  2. 本来あるべき状態になく、また、本来備わっているはずのものが欠けていて、満たされない気持を表わす。物足りない。不満足、不景気、憂鬱、物悲しさなどを表わす。さぶし。さみしい。
    1. [初出の実例]「帰りてのち、家のさびしきをながめて」(出典:宇津保物語(970‐999頃)楼上下)
    2. 「世の中さびしく思はずなることありとも」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若菜下)
  3. 人の気配がなく心細い。ひっそりしている。静かで心細いほどである。また、人が住まずに荒れている。さみしい。
    1. [初出の実例]「むぐらおひ荒たる宿のさびしきはかりにもおきのすだくなりけり」(出典:阿波国文庫旧蔵本伊勢物語(10C前)五八)
    2. 「ふる雪にたくもの煙かき絶えてさびしくもあるかしほがまの浦〈九条兼実〉」(出典:新古今和歌集(1205)冬・六七四)
  4. さみしい(寂)

寂しいの補助注記

上代では心情を表わすのに「さぶし」の形が用いられている。

寂しいの派生語

さびし‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙

寂しいの派生語

さびし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

寂しいの派生語

さびし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

寂しいの派生語

さびし‐み
  1. 〘 名詞 〙

さむし・い【寂・淋】

  1. 〘 形容詞口語形活用 〙
    [ 文語形 ]さむ〘 形容詞シク活用 〙さびしい(寂)
    1. [初出の実例]「妹迄にくろうをかけさむしい勤をさせたゆへに」(出典:洒落本・二筋道三篇霄の程(1800)三)
    2. 「二郎、御前が居なくなると、宅は淋(サム)しい上にも淋(サム)しくなるが」(出典:行人(1912‐13)〈夏目漱石〉帰ってから)

寂しいの派生語

さむし‐が・る
  1. 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙

寂しいの派生語

さむし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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