核(物理)(読み)かく

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

核(物理)
かく

一般に物や現象およびその認識の中心に位置するもののことであって、原子核や細胞核のように、核の文字を添えて、これら中心にあるものを表す。以下、原子核、細胞核、凝結核、天体核を例に説明する。
 原子核は、原子の中心に位置する中性子・陽子の集まりで、その大きさは半径1兆分の1センチメートル以下である。その結合エネルギーは原子内電子に比して著しく大きく、このため原子核の状態は周りの電子の運動の影響をほとんど受けない。
 細胞核は、細胞の中心にあって、遺伝情報を担うデオキシリボ核酸の大部分やタンパク質合成に必要な諸器官を含み、生命体としての細胞の中核的存在である。ただ生命誕生の初期の細胞はまだ細胞質と細胞核とに分かれていなかった。やがて細胞内に核が形成され、真核細胞の出現となった。
 凝結核は、大気中の水蒸気が凝結する場合、凝結過程で凝結の芯(しん)の働きをする微粒子であって、凝結現象のなかで中心の役割を演ずるものである。
 これに対し天体核は、天体の中心にある何かの存在ではなく、天体核現象の略称として用いられることがある。天体核現象とは、天体から生ずるエネルギーの重要な部分が天体内の原子核反応に基づいていることに注目し、天体現象を特徴づけてよぶ通俗的な名称である。この点で他の用語と比べると、核の用い方が異なっている。
 このほか、液体および固体から析出した微粒子が境界値以上の大きさに成長して安定になったものを析出核という。また、放出核が、原子核反応の結果、放出された原子核をいうように、原子核や細胞核の略称として核を付することもある。[田中 一]
『M・シュミット、G・バービッジ他著、谷川安孝訳、中村誠太郎編監訳『宇宙の歴史と天体核物理』(1973・講談社) ▽阿部龍蔵・川村清監修、永江知文・永宮正治著『原子核物理学』(2000・裳華房) ▽水野重樹・丹羽修身・広瀬進・米田悦啓・木南凌編『細胞核研究の最先端――核の機能構造とダイナミックス』(2001・共立出版) ▽市村宗武・坂田文彦・松柳研一著『原子核の理論』(2001・岩波書店) ▽高田健次郎・池田清美著『原子核構造論』(2002・朝倉書店) ▽竹安邦夫・米田悦啓編『細胞核のダイナミクス』(2004・シュプリンガー・フェアラーク東京)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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