称名寺(奈良市)(読み)しょうみょうじ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「称名寺(奈良市)」の意味・わかりやすい解説

称名寺(奈良市)
しょうみょうじ

奈良市菖蒲池(しょうぶいけ)町にある西山浄土(せいざんじょうど)宗の寺。山号は日輪山。もともとの本尊阿弥陀如来(あみだにょらい)。寺伝によれば、1265年(文永2)興福寺の学僧尊英(そんえい)・琳英(りんえい)兄弟が京都三鈷寺(さんこじ)の澄忍(ちょうにん)とともに常行念仏の道場として創建したという。古くは興福寺別院として四宗(浄土、法相(ほっそう)、天台、律)兼学であった。茶祖村田珠光(じゅこう)は11歳で得度して当寺に住み、のち茶禅一味の境地に達して茶室独盧庵(どくろあん)(珠光庵)を設けた。室町時代には大いに栄え、広大な境内に諸堂を擁したが、1704年(宝永1)、1762年(宝暦12)の二度の大火ですべてを焼失、1802年(享和2)本堂と独盧庵のみ復興された。本尊阿弥陀如来立像のほか、釈迦(しゃか)如来坐像、薬師如来立像、阿弥陀如来坐像、地蔵菩薩(ぼさつ)像、増長天像などが国の重要文化財に指定されている。石仏千体地蔵尊は厄除(やくよけ)千体地蔵として信仰されている。珠光忌(5月15日)には茶会が盛大に行われる。

[大鹿実秋]

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