デジタル大辞泉
「立」の意味・読み・例文・類語
リットル【立】
メートル法の容積の単位。1リットルは1立方デシメートル。1964年までは、1気圧下で最大密度となるセ氏4度の純水1キログラムの体積とされ、1.000028立方デシメートルであった。記号L リッター。
たつ【立】
和船で、船体や上部構造に用いる柱状の部材の総称。垣立・車立・大立など。立つ木。
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たて【立】
- [ 1 ] ( 動詞「たてる(立)」の連用形の名詞化 )
- ① 酒宴。遊興。
- [初出の実例]「ムムそれに又其風呂敷は何じゃぞい。是か。こりゃ立に行く大尽衣装じゃ」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)長町)
- ② ( 転じて遊楽費の意から ) 他人におごってやること。おごり。
- [初出の実例]「其替りにはわたしが立(タテ)でござります。此煑売屋で一つ上(あが)って下さりませ」(出典:歌舞伎・韓人漢文手管始(唐人殺し)(1789)三)
- ③ 筋。筋道。おもむき。また、特色。呼びもの。
- [初出の実例]「ナアニそりゃア軍書の講釈だ。あっちのは立(タテ)が違はア」(出典:滑稽本・浮世床(1813‐23)初上)
- ④ 建前。掟(おきて)。規則。表向きのきまり。
- [初出の実例]「せんかうがたち切るとずいとかへるが深川のたて」(出典:洒落本・婦美車紫(1774)高輪茶屋の段)
- ⑤ 唄・三味線・囃子(はやし)の首位にいる者。「立者」「立唄」「立三味線」「立鼓」などの略称として用いられる。
- [初出の実例]「河東がくわゐにおれにきてくれろ、おめへがきてくれねヱけりゃアたてがねヱよふだといってよこした」(出典:洒落本・公大無多言(1781))
- ⑥ 「たてきょうげん(立狂言)」の略。
- [初出の実例]「春狂言の新しきも曾我をたてにし」(出典:洒落本・風俗問答(1776))
- ⑦ ⇒たて(殺陣)
- [ 2 ] 〘 接頭語 〙
- ① 人、役目などを表わす名詞の上について、その仲間での席次が第一位であることを表わす。「立女形(おやま)」「立行司」「立三味線」など。
- ② 浄瑠璃で、全部を通して上演する意を表わす。「立狂言」
- ③ 動詞の上に付いてその意味を強める。「たてくだす」「たてつづく」など。
- [ 3 ] 〘 接尾語 〙
- ① 勝負事などの回数を数えるのに用いる。
- [初出の実例]「又博奕(ばくえき)をして遊びけるに、一立(ひとタ)てに五貫十貫立てければ」(出典:太平記(14C後)三三)
- ② 歌舞伎で幕数を数えるのに用いる。
- ③ 立て続けの負けを数えるのに用いる。連敗。
- [初出の実例]「1‐0、3‐2と巨人は、二タテを食ったものの」(出典:話の味覚(1962)〈一龍斎貞鳳〉いかでその敵を討たんでは)
- ④ 動詞の連用形に付いて、その動作が終わって間もないことを表わす。
- [初出の実例]「きぬわをりたては白ぞ」(出典:玉塵抄(1563)六)
たち【立】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「たつ(立)」の連用形の名詞化 )
- ① 出発すること。旅立つこと。
- [初出の実例]「水鳥の多知(タチ)の急きに父母に物言(ものは)ず来(け)にて今ぞ悔しき」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三三七)
- 「明日出帆するところ、急にお上の御用が出来、立ちが二三日延びたゆゑ」(出典:歌舞伎・繰返開花婦見月(三人片輪)(1874)三幕)
- ② 時が経過すること。「月日のたちが早く感じられる」
- ③ 燃えつきること。「たちの早いろうそく」
- ④ 「たちまえ(立前)②」の略。
- [初出の実例]「『さあ今日の立前(タチ)だ』ト金を一分出して」(出典:歌舞伎・勧善懲悪覗機関(村井長庵)(1862)四幕)
- ⑤ 和船の水押(みよし)・小直(こなおし)・艫𦨞(おもてかわら)のように、傾斜した構成材の傾斜量をいう、船大工などの用語。
- [初出の実例]「かわら艫の次のたちの事」(出典:早船之木割(1657))
- ⑥ 囲碁で、上方(中央)に向かって立つような感じでのびる手。
- ⑦ =たちあい(立合)⑤
- [初出の実例]「伊勢ノ浜は、立(タチ)の綺麗な江戸っ児魂で名高い力士である」(出典:相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉駒ケ嶽の凋落と太刀山の独舞台)
- [ 2 ] 〘 接頭語 〙 ( 動詞の上に付く ) 下の動詞の意味を強めたり、やや改まった感じを表わしたりする。「たちさかゆ」「たちさわぐ」「たちまさる」「たちまじる」など。
だち【立】
- [ 1 ] 〘 造語要素 〙 ( 動詞「たつ(立)」の連用形から )
- ① 名詞に付いて出生地やおいたちを示す。
- [初出の実例]「此辺の海賊は、定めて熊野だちの奴原にてこそあるらめ」(出典:古今著聞集(1254)一二)
- 「陸奥国三の戸立(タチ)の馬」(出典:源平盛衰記(14C前)三四)
- ② 車などにつける牛馬の数や船の艪の数、また、絵像などの人数に付いて、それだけの数でなりたっていることを示す。「八挺立ちの船」「四頭立ちの車」など。だて。
- ③ 名詞に付いて、そのつくりのさまを表わす。「顔立ち」「面立ち」「目鼻立ち」など。
- [初出の実例]「美人だちの顔ではないが、いかにも心の美しさうな〈略〉少女だった」(出典:潮風(1920‐21)〈里見弴〉八)
- [ 2 ] 〘 名詞 〙 ( 「たち」とも ) 縁日・祭礼などで働くすりをいう、盗人仲間の隠語。
- [初出の実例]「初め人の後に立って之を伺ひ、遂に繞って前に出づる、手を其の間に下す。之を立(〈注〉ダチ)と謂ふ」(出典:江戸繁昌記(1832‐36)五)
たてり【立】
- 〘 名詞 〙 ( 「たていり(立入)」の変化したものか )
- ① =たていれ(立入)②
- [初出の実例]「蚊柱のたてりを見るやさがり蛛〈重方〉」(出典:俳諧・懐子(1660)九)
- ② 「たてりあきない(立商)」の略。
- [初出の実例]「此ごろの好色本共にも、雲売と書てはた商とよませ、化人(あだびと)と書て立りともよませたり」(出典:浮世草子・立身大福帳(1703)四)
- ③ 立っている姿。姿勢。
- [初出の実例]「其身は立者気(たてものぎ)になって、わる身のたてりも能(よい)と誉め」(出典:洒落本・遊客年々考(1757))
リットル【立】
- 〘 名詞 〙 ( [フランス語] litre )[ 異表記 ] リトル メートル法で、容積・体積の単位。一リットルは一気圧のもとで摂氏四度の水一キログラムが占める体積で、一〇〇〇・〇二八立方センチメートルに相当するが、普通、一〇〇〇立方センチメートルを一リットルと定めている。記号 l リッター。
- [初出の実例]「仏の『リットル』 『デシメートル』立方の量 は、我三十五立方寸六にて、即ち五合五勺なり」(出典:米欧回覧実記(1877)〈久米邦武〉例言)
立の語誌
中央気象台では、明治一五年(一八八二)にメートル法を採用したが、その後メートル法が尺貫法とともに法定の度量衡となったために「リットル」を「立」と表記するように定め、「センチリットル」「デシリットル」なども「竰」「竕」という国字を作って表わすことになった。しかし、昭和二一年(一九四六)に当用漢字が制定されてからは、片仮名やcl、lなどの記号による表記が一般的となる。
たと【立】
- 動詞「たつ(立)」の連体形「たつ」の上代東国方言。
- [初出の実例]「うべ児なは我(わぬ)に恋ふなも多刀(タト)月(つく)のぬがなへ行けば恋(こふ)しかるなも」(出典:万葉集(8C後)一四・三四七六)
だたし【立】
- 〘 接尾語 〙 ( 形容詞型活用 ) ( 接尾語「だつ(立)」をシク活形容詞的に活用させたもの ) 名詞に付いてそのような様子を見せる意を表わす。
- [初出の実例]「右のすけも声加へ給へや、いたう客人(まらうど)だたしや」(出典:源氏物語(1001‐14頃)匂宮)
たし【立】
- 動詞「たつ(立)」の連用形「立ち」にあたる上代東国方言。
- [初出の実例]「足柄の御坂に多志(タシ)て袖振らば家(いは)なる妹はさやに見もかも」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四二三)
たっち【立】
- 〘 名詞 〙 立つことをいう、幼児語。たった。
- [初出の実例]「まだやっと障子につかまってたっちする位しか出来なかったあの赤ちゃん」(出典:竹沢先生と云ふ人(1924‐25)〈長与善郎〉竹沢先生の家)
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普及版 字通
「立」の読み・字形・画数・意味
立
常用漢字 5画
[字音] リツ・リュウ(リフ)
[字訓] たつ・のぞむ・つくる・たてる
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
大+一。大は人の立つ正面形。一はその立つところの位置を示す。〔説文〕十下に「(とど)まるなり。大に從ひ、一の上に立つなり」とあり、一定の位置に定立することをいう。金文に「中に立つ」、また「立(位)にく」のように、字を両義に用いる。〔周礼、春官、小宗伯〕「國の位を掌る」の〔注〕に、「位を故書に立に作る」とあり、また〔春官、肆師〕「牲をに用ひ、則ち位を爲す」の〔注〕に「故書に、位を(り)字と爲す」とみえ、立・位・は一系の字で通用することがあった。位に(のぞ)むということから、立法・立制など、すべてものの端緒をなし、創建し、秩序を定め、基調を確立するなどの意に用いる。
[訓義]
1. たつ、正しくたつ。
2. たてにする、おこす、おく。
3. のぞむ、位につく、その場にゆく、とどまる。
4. つくる、あらたにつくる、はじめる、たてる。
5. たちどころに。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕立 ワタル・タツ・タチドコロ・サダム 〔立〕立 タツ・トコロ・ナル・トドマル
[部首]
〔説文〕に端・竦・竢・竭・竣など十八字、〔玉〕に竚(ちよ)・(こう)・竜などを加えて、四十八字を属する。(たん)は巫祝の象で、端は端坐の意。立はおおむね儀礼の場所を示す。竜はの略字であるが、上部は古く辛の形に作り、神聖な鳥獣の冠飾の形。鳳の初文もそのような冠飾をもつ鳥の形であった。もと立に従う字ではない。
[声系]
〔説文〕に立声として翊・笠・粒・泣・颯など十字を収めるが、翊(よく)・颯(さつ)などは声が異なる。
[語系]
立lipは(・)lietと声近く、・はその場所にんでこれを修祓する意の字とみられる。位hiutも同系の語であろう。
[熟語]
立案▶・立意▶・立異▶・立飲▶・立垣▶・立枷▶・立家▶・立饋▶・立脚▶・立教▶・立極▶・立勲▶・立計▶・立決▶・立憲▶・立券▶・立言▶・立元▶・立戸▶・立後▶・立功▶・立后▶・立号▶・立国▶・立刻▶・立冊▶・立志▶・立嗣▶・立事▶・立侍▶・立時▶・立春▶・立身▶・立人▶・立錐▶・立談▶・立断▶・立地▶・立▶・立嫡▶・立馬▶・立辟▶・立便▶・立坊▶・立名▶・立命▶・立約▶・立論▶
[下接語]
介立・確立・鶴立・岳立・起立・屹立・却立・虚立・共立・凝立・玉立・群立・勁立・孑立・兼立・孤立・骨立・建立・冊立・削立・立・嗣立・而立・自立・侍立・峙立・樹立・豎立・竦立・新立・人立・正立・成立・設立・創立・立・造立・存立・対立・卓立・端立・中立・佇立・直立・挺立・鼎立・倒立・特立・独立・廃立・並立・併立・壁立・擁立・乱立・両立・林立・列立・連立・聯立
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立
たて
日本音楽用語。清元(きよもと)節、常磐津(ときわず)節などの浄瑠璃(じょうるり)や長唄(ながうた)の場合、その首席奏者を「立」(とくに長唄では「立唄(たてうた)」)、「立三味線(たてじゃみせん)」「立小鼓(こつづみ)」などと称する。これから転じて、演奏者の階級をさすこともある。次席者は「脇(わき)」または「二枚目」、その次の者は「ながれ」または「三枚目」とよばれる。
山田流箏曲(そうきょく)でも、箏二面以上、三味線一挺(ちょう)の編成で合奏するが、箏の第一奏者を「タテ」、第二奏者を「ワキ」という。歌は全員で弾き歌いをするが、「歌い分け」の部分では、歌本に「シテ」とある箇所をタテが、「ワケ」の箇所をワキ以下が、それぞれ分担して弾きながら独唱する。
[柴田典子]
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立【たて】
日本音楽用語。主役の意味。2人以上で演奏する場合に,その主席奏者を,声楽,伴奏,助奏それぞれについて〈立〉という。立唄,立三味線,立鼓などとも。主として歌舞伎音楽の用語で,長唄,常磐津節,清元節などで使っている。
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