ぐっと

精選版 日本国語大辞典「ぐっと」の解説

ぐっ‐と

① 力をいれて、また、一に事を行なうさまを表わす語。ぐいと。
※名語(1275)五「ぐっとのむといへる、ぐっ如何。かみつれば、必ずのむ心也」
浄瑠璃・用明天皇職人鑑(1705)二「長刀取延べ障子越し、ぐっと通して一ゑぐり」
物事がさしせまっているさま、物事にゆきづまるさまを表わす語。
※多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「『聞いて何に為(す)る』柳之助は呷(グッ)と塞(つま)って」
③ 物事のすみずみにまで及ぶさまを表わす語。すっかり。ことごとく。じゅうぶんに。
※闇斎敬斎箴講説(17C後)「敬一つでぐっとすむぞ。かう緊(きつ)ふ敬心をえとらぬ」
④ 他の状態や物事と大きくへだたりのあるさまを表わす語。一段と。はるかに。ずっと。ぐんと。
※咄本・蝶夫婦(1777)当世眉毛「いかにしても、眉毛がそでねへ。ぐっと細くしやれ」
※青春(1905‐06)〈小栗風葉〉夏「寝起の姿に比ぶればグッと身奇麗になったが」
⑤ 時間をあまりおかないで行なうさまを表わす語。そのまますぐに。たちまち。
落本・遊子方言(1770)発端「『何にもせよ参りましょ』『そんなら、ぐっとを帰しがよかろを』」
⑥ 心に強い衝撃を受けるさまを表わす語。
※人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)五「ト言はれてお園はグットせしが態(わざ)と笑ひに紛らして」
⑦ 苦しい時や不満のある時などに、小さな声を洩らすさまを表わす語。多く、打消を伴って用いる。
※浄瑠璃・最明寺殿百人上臈(1699)ふくみ状「殿の継がせ給はんに、誰がぐっ共申べき」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉「ぐっと」の解説

ぐっ‐と

[副]
瞬間的に力を入れるさま。また、物事をひと息に行うさま。「両手ぐっと押す」「酒をぐっと飲み干す」
感動や激しい感情がこみあげてくるさま。「ぐっときた」「怒りをぐっとこらえる」
息や言葉などが急につまるさま。
「だしぬけにこんな事を言われて、僕は―詰まったのである」〈蘆花思出の記
状態の程度が今までと大きく隔っているさま。一段と。ぐんと。「値段は去年に比べてぐっと高い」
ちょっとものを言うさま。
「ぴったり釘を打たれて、―も云えず」〈二葉亭浮雲
すっかり。ことごとく。
「何のなにがしといはるる女郎も、の内での鼻歌などで―愛想の尽きることだ」〈洒・傾城買指南所
[類語]ずっとさらますますもっと一層はるかに段違いに余程よほど大分だいぶ・だいぶんうんとぐんといよいよよりも少しまだもう少しなおなおさら一段と弥が上にもうあと余計然も今一つもう一ついまいち今少しもそっとましていわんや数段層一層しのぐひとしおうたた尚尚なおなおなお以て更なるひときわいや増すなお且つかてて加えてそれどころそればかりかしかのみならずのみならず加うるにおまけにまた且つまた且つこの上その上しかもさてはさなきだに

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