(読み)ヨウ

デジタル大辞泉 「用」の意味・読み・例文・類語

よう【用】[漢字項目]

[音]ヨウ(漢) ユウ(呉) [訓]もちいる
学習漢字]2年
使う。もちいる。「用意用語用心用途用法愛用悪用応用慣用起用客用共用軍用兼用採用使用借用信用専用通用適用内用日用薬用利用流用
物の働き。「用言器用効用作用妙用無用有用
必要な金や物。元手もとで。「用具用紙用地用度入用費用
やっておくべき仕事。「用件用事用務急用公用雑用私用社用所用商用
大小便をする。「用便小用こよう・しょうよう
[名のり]ちか・もち

よう【用】

必要にこたえる働きのあること。役に立つこと。また、使い道。用途。「をなさない」「のなくなった子供服」
なすべき仕事。用事。「を言いつけられる」「急ぎので出掛ける」「君にはない」
小便をすること。用便。「小
費用。入費。ついえ。「家計に充てる」
事物の本体に対して、作用。働き。
「今一身を分かちて二つの―をなす」〈方丈記
用言。また、その作用。
「水辺や又山類の体―は連歌のごとく用ゆべきなり」〈新増犬筑波集
体言に格助詞「の」の付いた形で、または用言に助動詞「う」の付いた形で、動作の目的や理由を表す。
「何の―にかあらむと申す」〈竹取
名詞の下に付いて、…のために使用するもの、…が特に使用するもの、…で使用するもの、などの意を表す。「作業の机」「紳士セーター」「保存ディスク」
[類語](1用途効用やく役割働き使い道使い方使い先使途/(2用事用向き用件所用用務小用こよう・しょうよう野暮用雑用雑事私用公用社用商用急用多用主用変事大事だいじ大事おおごと小事細事些事世事俗事私事しじ私事わたくしごと

ゆう【用】

仏語。働き。作用。受用じゅゆう。「体、相、

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「用」の意味・読み・例文・類語

よう【用】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. [ 一 ]
      1. 用いるべきこと。必要なこと。入り用。
        1. [初出の実例]「人のようあらば、このひとをつかひ給へ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開下)
        2. 「それだに聞けば這奴(しゃつ)に用(ヨウ)なし」(出典読本・椿説弓張月(1807‐11)残)
      2. 役に立つこと。役立たせること。有用。→用に立つ用に立てる
        1. [初出の実例]「今聞、諸国甲冑稍経年序、悉皆渋綻、多不用」(出典:続日本紀‐宝亀一一年(780)八月庚戌)
        2. [その他の文献]〔史記‐秦始皇本紀〕
      3. つかいみち。用いどころ。用途。
        1. [初出の実例]「西国はみな九郎大夫判官にせめおとされぬ。今はなんのようにか逢ふべき」(出典:平家物語(13C前)一一)
        2. [その他の文献]〔荘子‐人間世〕
      4. 必要な仕事。しなければならない仕事。所用。用事。用件。
        1. [初出の実例]「又朋友之中、頗有要須之人。適依用、入在簾中」(出典:菅家文草(900頃)七・書斎記)
        2. 「用をしまふのは日の暮方まで掛りませう」(出典:真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉六三)
      5. 物を求めたり、ことをするのにあてたりする金銭や物品。費用。
        1. [初出の実例]「於山階寺、毎年皇太后忌日、講梵網経、捨京南田以供其用」(出典:続日本紀‐天平宝字五年(761)六月辛酉)
        2. [その他の文献]〔論語‐学而〕
      6. 大便や小便をすること。用便。
        1. [初出の実例]「道にして用を調ふる所を、後より首打落しけり」(出典:仮名草子・浮世物語(1665頃)三)
      7. 物事の本体に対してその作用。はたらき。ききめ。→ゆう(用)
        1. [初出の実例]「今、一身をわかちて、二の用をなす。手の奴、足の乗り物、よくわが心にかなへり」(出典:方丈記(1212))
        2. 「睡眠とは身体精神共に其の用を休止する時を云ふなり」(出典:小学読本(1884)〈若林虎三郎〉五)
        3. [その他の文献]〔易経‐繋辞上〕
      8. ( ことばの表わすものについて ) 事物の本体に対してその作用、はたらき。事物の作用についての表記上の取扱い。また、動詞形容詞などの表わす内容。→ゆう(用)
        1. [初出の実例]「これはむす也。蒸也。むしは惣名也。躰也。むすはその用也」(出典:名語記(1275)四)
      9. 生け花で、中段の役枝のこと。
    2. [ 二 ] 形式名詞として用いる。行為の目的や理由を表わす。ため。ゆえ。
      1. (イ) 体言に助詞「の」を介して付く場合。
        1. [初出の実例]「つばくらめの巣くひたらば告げよ、とのたまふを承て、なしの用にかあらんと申答えて」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
      2. (ロ) 用言に助動詞「う」「まい」の付いた語に付く場合。
        1. [初出の実例]「取我財人に予らるるは我を安せう用ぢゃほどに」(出典:漢書列伝竺桃抄(1458‐60)爰盎鼂錯第一九)
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙 名詞に付けて、…のために使用するもの、…において使用するもの、…が使用するものなどの意味を表わす。「実験用」「学校用」「生徒用」など。

ゆう【用】

  1. 〘 名詞 〙
  2. はたらき。作用。応用。よう。
    1. [初出の実例]「是がけいこにて候。まことの時、其ゆふにてきられ候はず候」(出典:禅鳳雑談(1513頃)中)
  3. 仏語。
    1. (イ) 本体に対し、それに備わるはたらき(力用(りきゆう))をいう。本体の絶対に対する相対的分野。また体・相・用の三大の一つとして、真如のはたらきとする。
      1. [初出の実例]「夫常位有三重義、体相用是」(出典:天台法華宗牛頭法門要纂(805))
      2. [その他の文献]〔三論玄義〕
    2. (ロ) 目的、教示の理由などをいう。
    3. (ハ) ( 受用の意 ) 布施を受けて、これを用いること。〔中論‐三〕
  4. 連歌・俳諧の付合で、あらゆる事物にそなわる作用的、属性的なもの。海の体に対しての波、舟など。→体用(たいゆう)。〔連理秘抄(1349)〕
  5. 能楽論で、本体から生ずる働き。また、本体の応用。
    1. [初出の実例]「さるほどに、音曲は体なり。風情はゆふなり」(出典:風姿花伝(1400‐02頃)六)
  6. よう(用)[ 一 ][ 一 ]
    1. [初出の実例]「躰の字にふしなし、ゆふの字にふし有」(出典:わらんべ草(1660)二)

もち‐い‥ゐ【用】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「もちいる(用)」の連用形名詞化 )
  2. もちいること。使用すること。役に立てること。また、役に立つこと。つかいみち。
    1. [初出の実例]「われをのみ世にももちゐの鏡草さきさかえたる影ぞうかべる」(出典:散木奇歌集(1128頃)春)
  3. 良いものとして認めること。よしとして取り上げること。
    1. [初出の実例]「音曲の懸・風躰に、りゃうやうあり。人のもちゐもしなあり」(出典:風曲集(1423頃))
  4. 尊敬して重んじること。尊重
    1. [初出の実例]「クンシノ カルガルシイワ mochijga(モチイガ) スクナイ」(出典:天草版金句集(1593))

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