デジタル大辞泉
「真」の意味・読み・例文・類語
しん【真】
1 うそや偽りでないこと。にせものでないこと。本当。真実。ほんもの。「真の芸術」「真の勇気」
2 まじりけがないこと。本来の意味どおりであること。「真の紅」「真の正方形」
3 道理として正しいこと。真理。「真を究める」
4 まじめなこと。真剣なこと。また、そのさま。「真になって相談にのる」
5 論理学で、ある命題が事実と一致すること。また、そのさま。⇔偽。「逆もまた真なり」
6 「楷書」に同じ。「真、行、草」
7 (「心」とも書く)
㋐華道で、構成の中心となる枝。役枝。
㋑「真打」の略。
[類語]正・本当・真実・真個・真正・正真・正真正銘・まこと
ま【真】
[名]偽りがないこと。まこと。ほんとう。真実。
[接頭]名詞・動詞・形容詞・形容動詞などに付く。
1 うそいつわりのない、本当の、などの意を表す。「真人間」「真正直」
2 純粋である、まじりけがない、などの意を表す。「真水」「真新しい」
3 正確にその状態にある意を表す。「真北」「真下」「真四角」
4 動植物の名に付いて、その種の中での代表的なもの、標準的なものである意を表す。「真いわし」「真がも」「真竹」
5 りっぱな、美しい、などの意を表す。「真玉」「真杭」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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しん【真】
- 〘 名詞 〙
- ① ( 形動 ) いつわりでないこと。うそではないこと。正しいこと。また、そのさま。ほんとう。まこと。真実。
- [初出の実例]「真実者、聖体円備、非レ偽曰レ真。至徳凝然、無レ虚曰レ実」(出典:勝鬘経義疏(611)歎仏真実功徳章)
- 「エエおきなさい、真(シン)の事だの惚れたのと」(出典:歌舞伎・貞操花鳥羽恋塚(1809)四立)
- [その他の文献]〔後漢書‐馬援伝〕
- ② ( 形動 ) まじめなこと。真剣なこと。また、そのさま。
- [初出の実例]「しんな咄が有からマアすわりやナ」(出典:洒落本・穴可至子(1802))
- ③ 仮でないこと。常住不変であること。
- ④ 老荘思想で、天から賦与された本性をそのままに失わぬこと。自然。本然。本質。本体。
- ⑤ 仏教で、悟りによって得られた正しい道理。真実の道理。真理。妙理。〔荘子‐漁父〕
- ⑥ まじりけのないこと。純粋。〔荘子‐田子方〕
- ⑦ にせものではないこと。まことのもの。本物。
- [初出の実例]「真を移してもよしなし」(出典:海道記(1223頃)木瀬川より竹の下)
- ⑧ ( 行、草に対して ) 正式なもの。略したりしない正しい形式。特に、書で、楷書のこと。
- [初出の実例]「況復真行草書勢 絶而不レ継痛哉乎」(出典:菅家後集(903頃)傷野大夫)
- [その他の文献]〔東坡志林〕
- ⑨ 漢字のこと。真名(まな)。
- [初出の実例]「真で書て有るに依てよめぬ」(出典:虎寛本狂言・粟田口(室町末‐近世初))
- ⑩ 真影。真像。宗祖などの肖像画。
- [初出の実例]「掛二真於法堂上一」(出典:空華日用工夫略集‐至徳二年(1385)八月二八日)
- ⑪ 琵琶湖の丸子船の特徴的な船首材の呼称。一般和船の水押(みおし)に相当するが、独特の船首構造のために外板にかくれてあまり目立たないのが特徴。〔船舶仕法書(1882)〕
- ⑫ 役者評判記などの位付けで、上上吉の上位に置く文字の一つ。転じて、芸人などの仲間うちで、特にすぐれていると認められている者。
- [初出の実例]「真上上吉 豊竹氏太夫 肥前座 声のしこみもよく当り違はぬ両替町のごく印」(出典:評判記・評判鶯宿梅(1781))
- ⑬ 生け花で中心となる枝。→心④(ロ)。
- [初出の実例]「立姿高いも下いも嫌はれて 真に一本枝ふりの松」(出典:俳諧・西鶴大句数(1677)六)
- ⑭ 落語、講談、義太夫などを演じるとき、その中心となること。また、その人。真打(しんうち)。心(しん)。
- ⑮ 二値論理での真理値の一つ。⇔偽。
- [初出の実例]「若し一断定真なる時は他の断定は偽ならざるべからず」(出典:哲学階梯(1887)〈今井恒郎訳〉一)
ま‐こと【真・実・誠・信】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( ことば、事柄などの意を表わす「こと(言・事)」に、接頭語「ま(真)」の付いたもの )
- ① うそや偽りでないこと。本当であること。本物であること。真実。真理。事実。本質。
- [初出の実例]「葛飾の真間の手児奈を麻許登(マコト)かもわれに寄すといふ真間の手児奈を」(出典:万葉集(8C後)一四・三三八四)
- 「はかなきあだ事をも、まことの大事をも」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- ② 人に対して誠実で欺かないこと。偽りのない心。まごころ。真情。誠意。
- [初出の実例]「信(マコト)は是れ義(ことわり)の本なり。事毎に信有るべし」(出典:日本書紀(720)推古一二年四月(図書寮本訓))
- ③ 文学や芸術に現われる真情、真実味。真実の感動。
- [初出の実例]「僧正遍昭は、歌のさまはえたれども、まことすくなし」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
- [ 2 ] 〘 副詞 〙 間違いなくその状態であることを強調する語。じつに。本当に。実際。
- [初出の実例]「聞きしごと真(まこと)たふとくくすしくも神(かむ)さびをるかこれの水島」(出典:万葉集(8C後)三・二四五)
- [ 3 ] 〘 感動詞 〙 話題を転じるときや、話の途中でひょいと思い当たったことを言い出したりする時、念を押す気持を込めて用いる語。ほんにまあ。たしかそう。そうそう。まことに。
- [初出の実例]「まこと、人知れず心一つに思給へあまること侍れ」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)四)
ま【真】
- [ 1 ] 〘 接頭語 〙 名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞などの上に付いて、完全である、真実である、すぐれているなどの意を加え、また、ほめことばとしても用いる。
- ① 完全に揃っている、本格的である、まじめであるなどの意を添える。「ま心」「ま人間」「ま袖」「ま鉏(さい)」「ま旅」など。
- ② 純粋にそれだけで、まじりもののない、全くその状態であるなどの意を添える。「ま白」「ま青」「ま新しい」「ま水」「ま潮」「ま冬」など。
- ③ 正確にその状態にある意を添える。「ま東」「ま上」「ま四角」「まあおのき」など。
- [初出の実例]「伊藤の是は大将ま牛角なる侍に」(出典:幸若・和田宴(室町末‐近世初))
- ④ 動植物の名に付けて、その種の中での標準的なものである意を添える。「ま竹」「まいわし」「ま鴨」など。
- ⑤ 立派である、美しいなどの意を込めて、ほめことばとして用いる。「ま玉」「ま杭(ぐい)」「ま麻(そ)」「ま葛(くず)」など。
- [初出の実例]「島隠(がく)り我が漕ぎ来れば羨(とも)しかも大和へのぼる真(ま)熊野の船」(出典:万葉集(8C後)六・九四四)
- [ 2 ] 〘 名詞 〙 本当。真実。→まこそに・真に受ける
まん【真】
- 〘 接頭語 〙 ( 接頭語「ま」に撥音「ん」を添えた形 ) ほんとうの、の意をそえる。「まん中」「まん丸い」など。
- [初出の実例]「要害もまんもとのままで」(出典:史記抄(1477)五)
まっこと【真・実・誠】
- 〘 副詞 〙 ( 「まこと(真)」の変化した語 ) 「まこと」を強めたいい方。
- [初出の実例]「彼等がていにては、まっことの時は御旗を立申事は成間敷」(出典:三河物語(1626頃)三)
まっ【真】
- 〘 接頭語 〙 ( 接頭語「ま」の下に促音の挿入された形 ) 名詞、形容詞、形容動詞などの上に付いて、語勢を強める。「まっ黒い」「まっ四角」「まっただ中」「まっ裸」など。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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「真」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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真
しん
truth; Wahrheit
真偽が問われるのは判断およびそれを文章化したものとしての命題である。アリストテレス・トミズムにおいては真理は判断と対象が適合することと規定され,真理の基準として判断相互間の整合性をとる立場,すなわち整合説が出てくる (カントや新カント派) 。しかし相互に整合的だが全体がまったく虚構であるような判断の体系は真とはいえないから,どこかで実在との接点がなくてはならない。プラグマティズムでは真理はそれが行動を規制する有用性であるとした。またなんらかの意義深い判断のみを真理とする傾向は実存主義にも顕著である。また判断の名に値するのが価値判断 (→価値判断論争 ) であるとするなら,対応説の内部でもこれをイデアとの適合とする存在の真理を考えねばならない。これはプラトン,アウグスチヌスの伝統に立ってトマスが認識の真理に対して第2の真理としたもので,存在者はそれが神のうちにある原型的イデアと一致するとき真である。キリスト教において真なる神とか真理としてのキリストとかいわれるのはこの意味である。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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