デジタル大辞泉
「割」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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わり【割】
- 〘 名詞 〙
- [ 一 ] ( 動詞「わる(割)」の連用形の名詞化 )
- ① 割ること。分割。割ったもの。→割りの粥(かゆ)。
- [初出の実例]「
(ワリ)が漸く通る病人じゃ 米を挽割為レ粥也 再飯(ふたたびめし)よりもまだ重き病人なるべし 令レ啜程也」(出典:譬喩尽(1786)二)
- ② 「わりむぎ(割麦)」の略。
- [初出の実例]「養生に斗り江戸っ子わりを喰」(出典:雑俳・柳多留‐八九(1826))
- ③ 割りあて。分配。分けて配られる金額や分量。割りまえ。
- [初出の実例]「割(ワリ)さへかからぬ事でござらばと」(出典:浮世草子・傾城歌三味線(1732)一)
- 「『これ親方、早く割をくんなせえな』『〈略〉八人に一両づつ』」(出典:歌舞伎・敵討噂古市(正直清兵衛)(1857)序幕)
- ④ 寄席などの出演料。割銭。
- [初出の実例]「寄席のワリ(出演料)では、食って行けない現状だから」(出典:いろは交友録(1953)〈徳川夢声〉し)
- ⑤ 幅を広くするために、布を裁って間に他の布を入れること。また、その入れる布。
- [初出の実例]「肩へわりの入たる袖なし羽織、前だれのこしらへ」(出典:滑稽本・戯場粋言幕の外(1806)下)
- ⑥ 「わりどこ(割床)①」の略。
- [初出の実例]「『いくら引け過ぎでもこれでお泊りなら下のお部屋で…』『ふざけるねえ。ワリなんかをかしくって…』」(出典:普賢(1936)〈石川淳〉)
- ⑦ 「わりこみ(割込)②」の略。
- [初出の実例]「今に押されて来りゃあ、割も立見もごっちゃ交ぜだ」(出典:歌舞伎・有松染相撲浴衣(有馬猫騒動)(1880)三幕)
- ⑧ 仲裁すること。また、仲裁をする人。
- ⑨ ( 「理(ことわり)」から ) 物事がそうなる道理。わけ。また、ぐあい。
- [初出の実例]「かみやげひしゃがねへとって女郎買が出来ねへといふ割(ワリ)でもねへが」(出典:洒落本・無陀物語(1781))
- ⑩ 相撲の取組表をいう。
- ⑪ 干潮。潮のわり。〔日葡辞書(1603‐04)〕
- [ 二 ] ( 出挙(すいこ)の利息をいう「把利(わり)」から )
- ① 歩合算の単位。一〇分の一。分の一〇倍、厘の一〇〇倍。
- [初出の実例]「於二京都一五わりのさんようにしやくよう申候」(出典:伊達家文書‐永正一五年(1518)一一月三日・頤神軒存奭算用状)
- ② 物と物との比率。ある数量の、他の数量に対する比。割合。
- [初出の実例]「つまる所は一ふくで何分づつのわりを以て、謝礼をせしめる計にて」(出典:談義本・根無草(1763‐69)前)
- 「此国の人口男子一人に女子百人といふ比例(ワリ)にもあらざれば」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中)
- ③ さいころばくちで胴元が勝った客に支払う金の、賭金(かけきん)に対する倍数をいう語。
- [初出の実例]「大ぜい鉄火打をあつめ、四わり八分を七わりぐらいにして胴をとり」(出典:黄表紙・莫切自根金生木(1785)中)
- ④ 他と比べてみたときの、損得のぐあい。→割りがいい・割りが悪い・割りが合う・割りに合う。
- ⑤ 他と比べて損になること。→割りを食う。
- [初出の実例]「上十五日があなたの娘、下十五日がわしが娘、其替り小の月はわしが方で割をききます」(出典:歌舞伎・鶴千歳曾我門松(野晒悟助)(1865)中幕)
- ⑥ ( 形動 ) 他と比べて得になること。割合のよいさま。
- [初出の実例]「打たれぬ内に手を突いてあやまる方が割だらう」(出典:歌舞伎・黄門記童幼講釈(1877)序幕)
- ⑦ =わりまし(割増)
- ⑧ ある人や物事の性格、状態などから当然想像、推測される程度。「…割りに(は)」の形で、…に応じた程度よりはの意に用いる。
- [初出の実例]「宿料も廉、其割(ワリ)には坐舗も清潔」(出典:浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三)
割の補助注記
( [ 二 ]について ) 「割」の字が用いられるのは近世以降である。これは、分割・分配の意の「割」との同音でかつ意味上近い関係が感じられたためであろう。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「割」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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