精選版 日本国語大辞典 「思・想・憶・懐」の意味・読み・例文・類語
おも・う おもふ【思・想・憶・懐】
〘他ワ五(ハ四)〙 何か具体的な考えや感情を心にいだく。
※万葉(8C後)四・七二三「小金門(をかなと)に 物悲しらに 念有(おもへり)し 吾(あ)が子の刀自(とじ)を」
(イ) あることについて、これこれだと考える。判断する。思慮する。
※万葉(8C後)一五・三七七二「帰りける人きたれりといひしかばほとほと死にき君かと於毛比(オモヒ)て」
(ロ) そうだと深く信じこむ。また、自信をもつ。
※竹取(9C末‐10C初)「世の中に見えぬ皮衣のさまなれば、是をとおもひ給ひね」
※平家(13C前)四「われとおもはん人々は寄りあへや」
(ハ) ある事の起こる前に、その事について想像する。予想する。また、こうだろうと推量する。
※万葉(8C後)五・九〇四「於毛波(オモハ)ぬに 横しま風の にふふかに おほひ来ぬれば」
※平家(13C前)一〇「これまでくだるべしとは、かけてもおもはざりき」
(ニ) 過ぎてきたことをふりかえって心に浮かべる。回想する。追想する。
(ホ) 物事に対して、自然にある感情をいだく。感慨をもよおす。感じる。
※古事記(712)中・歌謡「道の後(しり) 古波陀嬢子(こはだをとめ)は 争はず 寝しくをしもぞ 愛(うるは)しみ意母布(オモフ)」
③ ある対象に心を向ける。そちらへ強く心がひかれる。
(イ) こうしたいと願う。希望する。こうしようと決心する。決意する。
※古事記(712)中・歌謡「枕(ま)かむとは 吾(あれ)はすれど さ寝むとは 吾は意母閇(オモへ)ど」
(ロ) 物事を心にとめる。気にかける。また、あれこれと心配する。心を悩ませる。
※万葉(8C後)一七・三九六七「山峡(やまがひ)に咲ける桜をただ一目君に見せてば何をか於母波(オモハ)む」
※平家(13C前)三「是程国の恥をおもふ大臣、上古にもいまだきかず」
(ハ) 慕わしく感じる。恋しがる。愛する。また、大切にする。
※万葉(8C後)一五・三七三八「於毛比(オモヒ)つつ寝(ぬ)ればかもとなぬばたまのひと夜もおちず夢(いめ)にし見ゆる」
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