(読み)オリ

デジタル大辞泉 「折」の意味・読み・例文・類語

おり〔をり〕【折(り)】

[名]
折ること。また、折ったもの。「線にそって折りをつける」「九十九つづら折りの坂」
薄い木の板などで浅く箱型に作った容器。料理や菓子などを詰める。折り箱。また、それに食べ物を詰めたもの。折り詰め。「赤飯を折りに詰める」「和菓子折り
過ぎゆく時の中の、区切られたある時点。機会。「折りを見て伺います」「上京の折り
季節。時節。「お寒い折りから」
製本で、全紙1枚を印刷したものを16ページとか32ページとかになるよう折り畳んだもの。また、その作業。
連歌・俳諧で、懐紙の1枚(表・裏)をいう語。「名残の折り
ころ[用法]
[接尾]助数詞
折り重ねたものを数えるのに用いる。「半紙一折り
折り箱に入れたものや折り詰めにしたものなどを数えるのに用いる。「鰹節かつぶし折り」「四さお入りの羊羹折り
[類語](3場合ところ機会チャンス好機時節頃合い頃おいとき機運潮時しおどき潮合い時宜機宜好期適期時分時分どき商機勝機戦機千載一遇タイミングめった得難いまれかけがえのない希有けう盲亀もうき浮木ふぼく一期一会いちごいちえ見せ場決め所思いがけない思いがけず待てば甘露の日和ひよりあり折よく僥倖ぎょうこうここぞ一世いっせ一代最初で最後図らずも決定的瞬間契機

せつ【折】[漢字項目]

[音]セツ(漢) シャク(慣) [訓]おる おり おれる
学習漢字]4年
〈セツ〉
おり曲げる。おれる。「右折曲折屈折骨折左折
二つに分け離す。「折衷折半
途中でくじける。くじく。「折衝挫折ざせつ
死ぬ。「夭折ようせつ
責めとがめる。「面折
〈シャク〉くじく。「折伏しゃくぶく
[難読]折敷おしき

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精選版 日本国語大辞典 「折」の意味・読み・例文・類語

おりをり【折】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 動詞「おる(折)」の連用形名詞化 )
    1. [ 一 ] 時の折目、時点をいう。
      1. 時節。季節。ころ。
        1. [初出の実例]「季冬(しはすふゆ)の節(ヲリ)にして、風亦烈(はげ)しく寒(さむ)し」(出典:日本書紀(720)允恭元年一二月(図書寮本訓))
      2. 機会。場合。際。時。
        1. [初出の実例]「さて七度めぐらむをり引きあげて、其をり子安貝はとらせ給へ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. [ 二 ] 物を折ること。また、そのもの。
      1. 折り目。折れ目。
        1. [初出の実例]「着なれける衣の袖のをりまでもただその人を見る心ちして」(出典:建礼門院右京大夫集(13C前))
      2. 全紙を横に二つ折りにしたもの。とくに、連歌、連句に用いる折紙の懐紙の一枚をいう。百韻には四折、歌仙(三六句)には二折を用い、第一の折を初折(しょおり)、ついで二の折、三の折、最後の折を名残(なごり)の折と呼ぶ。
        1. [初出の実例]「連歌ひとをりかみせむとて発句はせさせおはします」(出典:弁内侍日記(1278頃)建長四年七月二六日)
      3. 製本で、全紙一枚印刷したものを、折りたたんで一六ページとか三二ページとかに仕立てること。また、そのもの。折丁(おりちょう)
        1. [初出の実例]「教科書の『折り』がたて込んでくれば徹夜作業が二三日続くかも知れぬ」(出典:青電車(1950)〈永井龍男〉B)
      4. 薄い板で作った容器。折櫃(おりびつ)折箱、折の物、折詰など。
        1. [初出の実例]「饅頭折一合、茶子折色々六合」(出典:看聞御記‐永享四年(1432)五月一六日)
        2. 「道理で羊羹の折(ヲリ)が大きかったとおもった」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)初)
    3. [ 三 ] 何回も繰り返すこと。「やしおおり(八塩折)」の形で、酒を何回もかもすこと、また、刀を何回も鍛えること。→八塩折
      1. [初出の実例]「船毎に其の八塩折(やしほをり)の酒を盛りて」(出典:古事記(712)上)
    4. [ 四 ] 果物や食物を盛る、高い脚と縁の付いた木の食卓もしくは膳(日葡辞書(1603‐04))。
    5. [ 五 ] 明治時代の商人用語で、元値の倍の利益があること。かくべえ。
  2. [ 2 ] 〘 接尾語 〙
    1. 重ねて折った紙の束などを数える助数詞。
      1. [初出の実例]「小半紙壱折手にわたしける」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)四)
    2. 折箱に入れたものや、折詰にしたものなどを数える助数詞。
      1. [初出の実例]「四棹入の羊羹二折(ヲリ)」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉中)

おれをれ【折】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おれる(折)」の連用形の名詞化 )
  2. 折れたもの。きれはし。部分。
    1. [初出の実例]「立ちて、のどかに袖かへす所を、ひとをれ気色ばかり舞ひ給へるに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)花宴)
    2. 「土大根の折(オレ)を買(かっ)て来て」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)前)
  3. 軸物に折れ目のあるもの。

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普及版 字通 「折」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 7画

(異体字)
10画

[字音] セツ
[字訓] たつ・おる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
初形はに作り、両(てつ)+斤。両(草)を手にもつ形は芻(すう)で、の初文。斤を加えて草木を折断することを折という。〔説文〕一下に「斷つなり。斤もて艸を斷つに從ふ」とあり、金文の字形と合う。金文に「大巫司誓」を「大無折(しせい)」に作り、折は誓と声義の通ずる字。草木などを折ることが、誓約に関する行為であった。「矢誓」というときの矢は「矢(ちか)う」とよみ、その誓の初文は、矢を折る形にしるす。

[訓義]
1. たつ、おる、草木を折りたつことをいう。
2. ちかう、さだめる。
3. くじく、かぶる、そこなう、くだく。
4. なじる、そしる。
5. くだす、へる、つぐなう。
6. しぬ、わかじに。
7. 祭壇、葬具(壙中に用いるたな)。
8. 晢と通じ、明らか。

[古辞書の訓]
名義抄〕折 クダク・ワル・ヲル・ヘグ・ワヅカニ・ワカツ・ワカル・サダム・タツ・トドム・キル・ヲサム・ノコル・サク・クジク・カガマル・ツマビラカニ・ツバビラカニ・アカツ・ツブサニ・ツイヅ・カク

[声系]
〔説文〕に折声として哲・(逝)・誓・など十一字を収める。哲は知、は敬、折は誓約に関する行為であるから、折声の字に心性に関するものが多い。

[語系]
折tjiat、誓zjiatは声義近く、草木を折ることが誓約の一方法であった。哲・tiatは折の声義を承ける語である。

[熟語]
折伏・折・折意・折鋭・折易・折閲・折貨・折壊・折角・折馘・折檻・折関折簡折愧・折拒・折巾・折銀・折桂・折契・折券・折減・折口折肱・折獄・折骨・折挫・折札・折産・折算・折枝・折歯折衄・折首・折衝折訟・折証・折畳・折譲・折色折贖折辱・折声・折税・折席・折節折旋・折・折還折俎・折租・折損・折兌・折短・折断・折中・折衷・折徴・折鼎・折跌・折転・折当・折撓・折頭・折罰・折半・折鼻・折服・折変・折乏・折俸・折鋒・折北・折磨・折腰・折拉・折柳
[下接語]
一折・折・紆折・檻折・毀折・逆折・九折・朽折・曲折・玉折・屈折・骨折・挫折・摧折・心折・短折・廷折・棟折・撓折・破折・排折・半折・攀折・百折・面折・夭折・陵折

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改訂新版 世界大百科事典 「折」の意味・わかりやすい解説

折 (おり)

薄板を折り曲げてつくった箱。折櫃(おりびつ)/(おりゆうず),折箱と呼ぶこともあり,おもに食物を入れるのに用いる。折櫃の名は奈良時代から見え,食器の収納にも用いた。《延喜式》には〈著足折櫃〉と足つきのものも見える。〈檜の薄板を折り曲げて筥(はこ)に作る也,是は餅類肴などを盛りフタをして,四隅に作り花などを立てゝ飾る也,俗に折と云も同物也〉と伊勢貞丈のいうように,ふたつきの曲物(まげもの)が基本で,1合2合と〈合〉を単位として数えた。形は四角,六角,八角などにつくり,白木のもののほか絵をかき彩色したものも多かった。折の語は室町時代から見られ,酒のさかなや菓子を盛って宴席に進め,あるいは贈答に用いられた。江戸後期には笹折(ささおり)がよく使われるようになった。《嬉遊笑覧》がいうように〈ささやかな折〉の意と思われるが,料亭で飲食した残りの料理を,京坂ではタケの皮に包み,江戸では笹折に詰めて持ち帰ると《守貞漫稿》は書いている。現在では笹折は,スギ板を用いた杉折以外の,トウヒ,エゾマツなどを材料とするものとされている。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【製本】より

…紙葉を順序正しくまとめて本の形にすることであるが,具体的には紙葉をページ順に折りたたんで折丁とし,これを順序よくそろえて(丁合(ちようあい))とじ,表紙をつけ,その平(ひら)や背などに装飾をおこなうことをいう。製本は和装本(和綴(わとじ))と洋装本(洋綴)に大別されるが,現在ではほとんど後者だけで,一般に〈製本〉といえば洋装本を意味するほどである(図1)。…

【折納】より

…中国の税制用語。税法上に本来納付すべきものと指定されている銭物を本色(ほんしき)といい,本色に代えて納めるものを折色(せつしき)という。折は換算,換算交換を意味する。…

※「折」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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