日本大百科全書(ニッポニカ) 「核(地球)」の意味・わかりやすい解説
核(地球)
かく
地球の内部をゆで卵に例えたとき、卵の黄身(卵黄)にあたる部分を地球の核、中心核あるいはコアcoreという。核を構成する物質の主成分は金属鉄であり、卵の殻や白身に相当する部分が岩石質物質であるのと対照的である。核の半径は約3470キロメートル、マントルと核の境界面は地表から深さ2900キロメートルにある。核はさらに、地球の中心より半径約1390キロメートルの地点を境にして、内核、外核の二つの部分に分けられる。
地震学的研究により、外核は融(と)けた状態であるのに対し、内核は固体状態であることがわかっている。この違いは、核内部の温度と金属鉄の融点の変化の差によるものか、あるいは外核と内核を構成する物質の組成が多少異なっている(内核は鉄、ニッケル合金に近く、外核は鉄より軽い硫黄(いおう)などの軽元素に富む)ためと思われる。
外核では融けた金属鉄が対流していると考えられている。導電性の流体の運動により、核が巨大な発電機となる。この発電機の作用によって磁界が生じ、これが地球の磁場のもとになっている。
核がどのようにしてつくられたかについては現在二つの説が提唱されている。その一つは、地球が原始太陽系星雲の中で形成されるときに、金属鉄の核が最初につくられ、その後岩石質物質が付け加わって最終的な地球になったという考えである。もう一つは、地球がほぼ現在の大きさにまで成長したのちに、金属鉄が重力によって沈降して中心に集まったというものである。いずれの説もまだいくつかの不満足な点があり、その解明は将来の研究にゆだねられている。
[水谷 仁]