是非(読み)ゼヒ

デジタル大辞泉 「是非」の意味・読み・例文・類語

ぜ‐ひ【是非】

[名](スル)
1 是と非。正しいことと正しくないこと。また、正しいかどうかということ。「是非を論じる」「是非を問う」
2 物事のよしあしを議論し判断すること。批評すること。
「新聞が全紙面を埋めて是れを―する位じゃないか」〈荷風・ふらんす物語〉
[副]
1 どんな困難も乗り越えて実行しようとするさま。どうあっても。きっと。「計画を是非やり遂げたい」
2 心をこめて、強く願うさま。なにとぞ。「是非おいでください」
3 ある条件のもとでは必ずそうなると判断できるさま。必ず。きまって。
「尾端の所から喰ふ様にすると、―跡へよい所が残る」〈松翁道話・一〉
[類語](1)正否・当否・可否・可不可・良否・理非・正邪・善悪・曲直きょくちょく・優劣・よしあし/(1)(2)強いて・敢えて・むりやり・努めて・できるだけ・極力・なるたけ・なるべく・可及的・必ず・きっと・絶対・何としても・どうしても・何が何でも・是が非でも・押して・たって・どうぞ・どうか・くれぐれも・願わくは・なにとぞ・なんとか・まげて・ひとつ・必ずや・必然・必定・必死・不可避・誓って・てっきり・違いない・はず・決まって・すなわち・否が応でも・否でも応でも・否いやでも・否いやとも・是非とも・なにぶん・平に・心しんから・心こころから・衷心・返す返す・無理・無理算段・無理無体・無理押し・無理強じい・強制的・強引・強気・強行・独断・独断的・理不尽・強硬・頑強・問答無用・強要・力尽く・力任せ・腕尽く・ごり押し・断固・一刀両断・横柄・威圧的・否応無し・頑として・横紙破り・横紙を破る・有無を言わせず・腕力に訴える・横車を押す・押し付けがましい・ねじ伏せる・首に縄を付ける・遠慮会釈もない・無ぶ遠慮・高圧的・高飛車・頭ごなし・押し通す・押し付ける・一方的・豪腕

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精選版 日本国語大辞典 「是非」の意味・読み・例文・類語

ぜ‐ひ【是非】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ① 是と非。道理があることと道理がないこと。よいことと悪いこと。善悪。正邪。
      1. [初出の実例]「聖人之教雖二復時移易一レ俗、不レ能レ改二其是非一」(出典:勝鬘経義疏(611)序)
      2. 「進退惟(これ)きはまれり。是非いかにも弁へがたし」(出典:平家物語(13C前)二)
      3. 「我未だ法律を学ばざる故に是非を争ふこと能はざるなり」(出典:小学読本(1874)〈榊原・那珂・稲垣〉五)
      4. [その他の文献]〔礼記‐曲礼上〕
    2. ② ( ━する ) 是と非とを判断すること。ものごとのよしあしを判断すること。批評すること。是を是とし、非を非とすること。品評。
      1. [初出の実例]「其職掌者。差二発京及畿内兵馬一。捜下捕結レ徒集レ衆。樹レ党仮レ勢。劫二奪老少一。圧二略貧賤一。是二非時政一。臧二否人物一。邪曲冤枉之事上」(出典:続日本紀‐天平三年(731)一一月癸酉)
      2. 「それもろもろの道理をまもりて是非すとも」(出典:発心集(1216頃か)六)
      3. 「新にアカデミーの会員に選ばれると云へば、全都全国の新聞が全紙面を埋めて是れを是非(ゼヒ)する位ぢゃないか」(出典:ふらんす物語(1909)〈永井荷風〉再会)
      4. [その他の文献]〔孟子‐公孫丑・上〕
  2. [ 2 ] 〘 副詞 〙 ( 「是非共(とも)に」の意から )
    1. ① 事情がどうあろうとも、あることを実現しよう、実現したいという強い意志や要望を表わす語。是が非でも。どうあっても。きっと。ぜひとも。
      1. [初出の実例]「是非(セヒ)げざんにいるるぶきゃうなかりしあひだ」(出典:蒙古襲来絵詞(1293頃))
      2. 「其時ぜひのまふと云て、こしらへる時」(出典:虎明本狂言・米市(室町末‐近世初))
      3. 「是非仕舞迄精読しなくてはいかん」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉八)
    2. ② 相手に、軽くまたは儀礼的に行為を求めるさまを表わす語。なにとぞ。どうぞ。ぜひとも。
      1. [初出の実例]「さらばこなたから連歌を被レ成。いやまづなされまいか。是非(ゼヒ)こなた被レ成」(出典:狂言記・連歌毘沙門(1700))
    3. ③ ある条件のもとでは、必ずそういう結果になると断定する意を表わす語。きまって。かならず。
      1. [初出の実例]「長兵衛なんぼ気の強ひ客達でも町人衆と侍のお客なればぜひせきが出てカウ出さうなものと」(出典:洒落本・初葉南志(1780))
      2. 「理論上認めます! 理論上是非然ういふ結論に至るので」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春)

し‐ひ【是非】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「し」は「是」の漢音 ) =ぜひ(是非)
    1. [初出の実例]「是非(シヒ)弁(わか)ちがたければ」(出典:読本・神伝‐後編(1809)二)

ぜっ‐ぴ【是非】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「ぜひ(是非)」の変化した語 ) 「ぜひ」を強めた、俗な表現。どんなことがあっても。なにがなんでも。かならず。きっと。〔かた言(1650)〕
    1. [初出の実例]「わしもハア是ほどまでに工夫のウして、ぜっぴ(是非)まふかるべいとおもった事が、つっぱづれ申たから」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)二)

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普及版 字通 「是非」の読み・字形・画数・意味

【是非】ぜひ

善悪。〔礼記、曲礼上〕夫(そ)れ禮は、親を定め、疑(けんぎ)を決し、同異を別ち、是非をらかにする以(ゆゑん)なり。

字通「是」の項目を見る。

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世界大百科事典(旧版)内の是非の言及

【四端】より

…中国,儒教の主張の一つ。孟子によれば,人の身体に四つの手足があるように,心のなかにも惻隠(そくいん)(あわれみいたむ心),羞悪(しゆうお)(悪を恥じ憎む心),辞譲(譲りあう心),是非(よしあしを見わける心)の四つが本来的に備わっていて,これら四つの芽生え(四端)を,それぞれ仁,義,礼,智という完全な徳へとたいせつに育てあげねばならないという(《孟子》公孫丑上篇)。朱熹は仁義礼智を〈性〉(本性)とし,〈四端〉とはそれらが〈情〉として外に現れ出た〈緒〉(端緒,いとぐち)だと解釈する(《孟子集注(しつちゆう)》)。…

※「是非」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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