(読み)お

精選版 日本国語大辞典 「緒」の意味・読み・例文・類語

【緒】

〘名〙
① 糸やひもなど細長いもの。物を結びとめるもの。
古事記(712)上・歌謡太刀が遠(ヲ)も 未だ解かずて」
楽器、弓などの弦。〔大治本新華厳経音義(奈良末)〕
※宇津保(970‐999頃)嵯峨院「穴あるものは吹き、をあるものは弾き」
履き物につけて、足にかけるひも。鼻緒
※小川本願経四分律平安初期点(810頃)「六群比丘、帯〈ヲ反〉多き革屣を著けり」
物事の長く続くこと。また、その続いているもの。
万葉(8C後)一五・三七七五「あらたまの年の乎(ヲ)長くあはざれど異(け)しき心は吾(あ)が思(も)はなくに」
⑤ (④から転じて、あるいは玉(魂)をつなぐものの意から) いのち生命。玉の緒。
※古事記(712)中・歌謡「御真木入日子はや 己(おの)が袁(ヲ)を 盗み殺(し)せむと 後(しり)つ戸よ い行き違(たが)前つ戸よ い行き違ひ」

しょ【緒】

〘名〙
① 細いひも。糸。また、糸の端。お。〔張衡‐南都賦〕
② 物事が始まったり解決したりする、そのきっかけや手がかり。いとぐち。はじめ。ちょ
※文明本節用集(室町中)「窺仁義之原、探礼楽之緒(ショ)〔独楽園記〕」
国語のため(1895)〈上田万年〉今後の国語学「弖爾乎波仮字遣につきての研究其の緒を開きしよりは、六百数十年も後なり」 〔北史‐李謐伝〕

ちょ【緒】

〘名〙 (「ちょ」は「緒」の慣用読み) いとぐち。手がかり。しょ

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「緒」の意味・読み・例文・類語

しょ【緒】

物事の糸口。はじめ。ちょ。
[類語]端緒糸口はじめ始まり起こりもと発端ほったん濫觴らんしょう嚆矢こうし権輿けんよ起源根源源流本元物種温床源泉とば口取っ掛かり手掛かり足掛かり道を付けるまず最初第一一次原初手始め事始め優先一番しょぱないの一番真っ先先立ち先頭当初初期初頭始期早期劈頭へきとう冒頭出出でだ滑り出し初手出端ではなはなはし口開け取っ付きあたまのっけスタート取り敢えず差し当たりひとまず当座序の口皮切り第一歩第一声始まる始めるトップ初発開始幕開き開幕立ち上がり口切り最優先何をおいても何はさておき何はともあれ口火を切る先ず以て

しょ【緒】[漢字項目]

常用漢字] [音]ショ(漢) チョ(慣) [訓] いとぐち
〈ショ〉
物事のはじまり。発端。いとぐち。「緒言緒戦緒論端緒由緒
ある事から引き起こされる思い。「情緒心緒
〈チョ〉に同じ。「緒言情緒
〈お〉ひも・糸の類。「鼻緒
[名のり]つぐ

お〔を〕【緒】

繊維をよった細長い線状のものの総称。糸やひもなど。「堪忍袋が切れる」
履物につけて足にかけるひも。鼻緒。「下駄げたをすげる」
楽器や弓に張る糸。げん。「琴の
長く続くこと。また、そのもの。「息のが絶える」
命。生命。
「おのが―をおほにな思ひそ庭に立ち笑ますがからに駒に逢ふものを」〈・三五三五〉

ちょ【緒】[漢字項目]

しょ

ちょ【緒】

いとぐち。はじめ。端緒。しょ。

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【ひも(紐)】より

… 紐は,その特徴によっていろいろに使い分けられる。組紐は古来,紐の本命と考えられたものであり,直衣(のうし)の緒(お),鎧冑の縅(おどし)糸,太刀の緒や柄(つか)糸,帯締め,羽織紐などに使われる。織紐のうちで代表的なものは真田(さなだ)紐(真田織)で,平たい形状なので箱物の紐,掛軸の吊(つり)紐に適しており,真田幸村の考案になるものと伝えられている。…

※「緒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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