至(漢字)

普及版 字通 「至(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 6画

[字音]
[字訓] いたる・はなはだ

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
矢の倒形+一。一は矢の到達点。矢の至るところをいう。〔説文〕十二上に「鳥飛んで高きよりし、下りて地に至るなり。一に從ふ。一はほ地のごときなり。象形」といい、鳥が地に下る象とする。この字解は、不字条十二上に「鳥飛んで上し、下り來(きた)らざるなり。一に從ふ。一はほ天のごときなり。象形」とあるものと対応するものであるが、不は柎(がくふ)の象。そのふくらむものは胚胎(はいたい)の丕(ひ)、実ってはじけるのは剖判(ほう)。不・丕・否は一系をなす字である。至は矢の至るところによって地を卜し、そこに建物などを営んだ。それで室・屋・臺(台)などの字は至に従い、また一系をなす。〔説文〕は不・至の両部を連ね、字義に関連があるとするが、字の初形に即するものではない。

[訓義]
1. いたる、いたりつく、およぶ、とどく。
2. きわまる、ゆきわたる、この上ない、きわめて、はなはだ。
3. 暦の上で、最長・最短の日。冬至夏至

[古辞書の訓]
名義抄〕至 イタル・ムネ・シゲシ・ヨシ 〔字鏡集〕至 トホシ・シケシ・イタル・キハム・アキラム・オホイナリ・ヨシ・ムネ

[部首]
〔説文〕に到・臻・臺・(じつ)など五字を属し、〔玉〕になお四字を加える。室・屋も至の字義に従う字で、いずれも神を祀るところをいう。

[声系]
〔説文〕に至声として室・窒・致・など十九字を収める。致の金文は攴(ぼく)ではなく人に従い、その場に至り、また致送することをいう。は禾(か)を穫るかま、これで穫ることを(か)るといい、ともにその擬声語である。

[語系]
至tjiet、tjieiは声義近く、(てい)とはその根底に達することをいう。致tietは至の他動詞的な語であろう。室sjiet、窒tietは至の声義を承け、神聖のために占地して、その室屋を設けることをいう。

[熟語]
至愛・至悪・至安・至闇・至意・至易・至異・至一・至遠・至恩至戒至概・至覚・至楽至諫至歓至艱・至観・至・至願・至貴・至機・至義・至急・至虚至彊・至・至教・至極・至近至緊・至愚・至訓・至計・至敬・至健・至賢・至言・至公至交・至行・至孝・至厚・至剛・至困・至細・至材・至・至策・至察・至事至慈至識至悉・至若・至熟・至純・至順・至上・至情至嘱・至心・至神・至慎・至深・至親・至人・至仁・至数・至性・至聖・至誠・至精・至正・至清至戚至賤・至善・至足・至尊・至大・至達・至治・至智・至知・至忠・至通・至貞・至適・至当・至道・至徳至悳・至難・至薄・至微・至美至眇・至貧・至富・至物・至忿・至文・至平・至宝・至望・至謀・至樸・至味・至妙・至務・至明・至夜・至約・至友・至游・至誉・至要・至陽・至理・至隆・至慮・至霊・至礼・至労・至陋・至論
[下接語]
飲至・謁至・款至・虚至・至・夏至・四至・始至・時至・情至・神至・臻至・親至・長至・冬至・乃至・二至・日至・必至・鳳至・両至・至・累至

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報