落(読み)ラク

デジタル大辞泉 「落」の意味・読み・例文・類語

らく【落】[漢字項目]

[音]ラク(呉)(漢) [訓]おちる おとす
[学習漢字]3年
1 物がおちる。上から下に位置が下がる。「落下・落花・落差・落日・落馬・落葉・落雷・落涙/下落・墜落・低落・騰落・剝落はくらく・崩落・暴落」
2 しっかりしていたものが存立の基盤を失う。「落城・落胆・落魄らくはく/陥落・堕落・没落・淪落りんらく・零落」
3 抜けて、なくなる。基準に達しないで外れる。「落伍らくご・落選・落第・落丁/及落・欠落・脱落・当落」
4 物事が最終の段階まで来て定まる。「落手・落成・落着」
5 人々が集まり定着する所。「群落・集落・村落」
6 かきね。「籬落りらく」
7 わだかまりのないこと。「洒落しゃらく・磊落らいらく」
8 梵語の音訳字。「奈落」
[名のり]おち
[難読]落魄おちぶれる・落人おちゅうど・瓦落がら・落葉松からまつ・杮こけら落とし・洒落しゃれ・落籍ひかす・虎落もがり

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精選版 日本国語大辞典 「落」の意味・読み・例文・類語

おち【落】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おちる(落)」の連用形の名詞化 )
  2. ① 勢いよく下へ動くこと。落下。
    1. [初出の実例]「かみなりもしきりになるは、おちはせまいか」(出典:狂言記・針立雷(1700))
  3. ② ついていたものがとれること。また、とれたもの。特に、抜けた毛髪。落ち毛。落ち髪。髪の落ち。
    1. [初出の実例]「人の髪のをちをとりあつめてうる者ここらにもあるぞ」(出典:玉塵抄(1563)二〇)
  4. ③ 入れるはずのものが漏れること。また、その漏れたもの。特に、不注意でぬかすこと。手落ち。
    1. [初出の実例]「幾許(いくばく)のおちあるとても、幼少なれば、いふにたらず」(出典:評判記・赤烏帽子(1663)松本右京)
  5. ④ ( 名詞の下に付いて造語要素的に用いる ) ある場所からひそかに逃げて行くこと。「平家‐七」の「一門都落」「福原落」など。
  6. ⑤ 地位や品格などが下がること。おちぶれること。また、その人。
    1. [初出の実例]「女郎は堀江のおち塩町の仕かへなど往来し」(出典:洒落本・浪花色八卦(1757)檜扇卦)
  7. ⑥ 同類の中で品質の劣ったもの。特に、魚や菜についていう。
    1. [初出の実例]「女郎のおちをかしらへつけてうり」(出典:雑俳・柳多留‐一六(1781))
  8. ⑦ 落語などで、話の結びの部分。しゃれや意外な結末などで、人を笑わせたりして効果的に話を終わらせることば。さげ。
    1. [初出の実例]「間が抜けて咄の落の知れかねて」(出典:雑俳・ふでりきし(1797))
  9. ⑧ よい結果。よい評判。喝采(かっさい)。→おちが来る・おちを取る。
    1. [初出の実例]「人がらを繕れば、却ておちを失ひ」(出典:洒落本・当世気どり草(1773))
  10. ⑨ 物事が進んで最後にゆきつく点。落着するところ。結末。
    1. [初出の実例]「此身(おゐら)ア大かたこんな落(オチ)になるだらうと思って」(出典:人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)五)
  11. ⑩ 謡曲で、一段階音声を下げて謡うこと。また、その部分。落ち節、落ちゴマのところ。落とし。
  12. ⑪ ( 刀身に塗った粘土が焼き入れのとき落ちることが原因であるところから ) 日本刀で、刃文のむらになっているもの。
    1. [初出の実例]「刀剣を鑒定(みる)お方ですから、先づ中身(なかご)の反張工合(そりぐあひ)から焼曇(ヲチ)の有無より〈略〉何や彼や吟味いたしまするは」(出典:怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一)
  13. ⑫ 二人ずつの組み合わせを作るとき、奇数のために残った一人をいう。
  14. ⑬ 清算取引で、転売や買い戻しをして建玉(たてぎょく)を取引所の帳簿から除くこと。また、その玉。〔取引所用語字彙(1917)〕
  15. ⑭ 魚が産卵や冬ごもりなどのため、上流から下流へ、または浅場から深場へと移動すること。
  16. ⑮ 弓道の団体競技で最後に射るもの。ふつうは一番優秀な射手がなる。せき。⇔大前(おおまえ)。
  17. ⑯ ( 天気が落ち目の意から ) 曇り。雨模様。

おとし【落】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おとす(落)」の連用形の名詞化 )
  2. ① 物体を下へ落とすこと。落下。
  3. ② 入れるはずのものをもらすこと。うっかりぬかすこと。落ち。
    1. [初出の実例]「之読み侍らぬところどころ、文字おとしぞ侍らむ」(出典:紫式部日記(1010頃か)消息文)
  4. ③ 鳥獣などをはまりこませて捕らえるしかけ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  5. ④ 「おとしあな(落穴)」の略。転じて、比喩的に、人をだましてはまるようにしむけるたくらみ。
    1. [初出の実例]「爰(ここ)かしこに落(ヲト)しを堀り」(出典:源平盛衰記(14C前)二四)
  6. ⑤ 桟を作りつけ、しめるとき敷居の穴にさしこんで、戸が開かないようにするしかけ。
    1. [初出の実例]「橛はくさびなりくるろのをとしのことなり」(出典:玉塵抄(1563)二一)
  7. ⑥ =おとしがけ(落懸)③
    1. [初出の実例]「銅(あか)の落(オト)しの長火鉢」(出典:歌舞伎・廓曠着紅葉裲襠(子持高尾)(1873)序幕)
  8. ⑦ 地面に直接穴を掘って入れるようにした便所。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  9. ⑧ 「おとしぎんちゃく(落巾着)」の略。
  10. ⑨ うさぎの糞。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  11. ⑩ 布を裁断した残り。裁ち落とし。あまりぎれ。
    1. [初出の実例]「帯は羽織のおとしと見えて物哀(ものあはれ)にほそく」(出典:浮世草子・好色五人女(1686)三)
  12. ⑪ 話などが進んで最後にゆきつく所。話の結末。また、落語などの話の最後につく滑稽やしゃれ。おち。
    1. [初出の実例]「お敵さまへのもれての御申分は、こちはぞんじませぬなどといふが十五(かこひ)女郎のかならずおとしなり」(出典:浮世草子・好色一代女(1686)二)
  13. ⑫ 声を低くしてものを言うこと。
    1. [初出の実例]「口跡(こうせき)もったいありて、しかも実なる所、詞のおとし思入はづみ」(出典:浮世草子・風流曲三味線(1706)一)
  14. ⑬ 謡曲で、今までうたっていた音階から一段さげてうたったり、また、おさえてうたったりすること。また、その節。おち。
  15. ⑭ 三味線を用いる音曲で、強く訴えるときに用いるさまざまな曲節。大おとし、中おとし、文彌おとしなど種類が多い。
  16. ⑮ 多量に鉱石を含み、帯状に細長く続いている鉱脈。
  17. ⑯ 寄席の客で、中入り後に来た者。

おっこち【落】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おっこちる(落)」の連用形の名詞化 )
  2. ① 恋におちいること。情人関係になること。また、その相手。情人。
    1. [初出の実例]「もう来さうなものじゃがと馬鹿がおっこちを待つやうに〈略〉待ち居たれば」(出典:黄表紙・福徳果報兵衛伝(1793))
  3. ② 「おっこちしぼり(落絞)」の略。
    1. [初出の実例]「おっこちも石垣も大かた縮緬の紅ぞめ也」(出典:随筆・ききのまにまに(1853頃か)弘化四年丁未)

落の補助注記

三田村鳶魚「浴衣のいろいろ」によれば、天保九年(一八三八)一一月、江戸浅草の御厩河岸の渡し船が転覆し、多数の人が死んだ事件の後、この語が特に流行したという。

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普及版 字通 「落」の読み・字形・画数・意味

落
常用漢字 12画

(旧字)
13画

[字音] ラク
[字訓] おちる・くだる・やむ・しぬ・にわ

[説文解字]

[字形] 形声
声符は洛(らく)。〔説文〕一下に「そ艸には零と曰ひ、木にはと曰ふ」と零落を区別するが、零は雨露についていう字である。木葉の落ちる意から、衰落の意となる。またものを制作して、しあがるときの儀礼をという。〔左伝、昭四年〕に鐘を鋳上げたとき「大夫をして以て之れを(らく)せん」とあり、牲血をそそいで(きん)の儀礼をした。また〔昭七年〕「楚子、の臺をす。願はくは侯と之れをせん」とは、落成の式をいう。〔詩、小雅、斯干〕は新室の室寿ぎの詩で、〔箋〕に「にりて之れをし、斯干の詩を歌うて以て之れをす」とあり、落成にも礼を用いた。のち、まがきのある庭を、院落という。

[訓義]
1. おちる、ちる。
2. くだる、さがる、ぬける、へる。
3. やむ、おわる、すたる。
4. やぶれる、しぬ。
5. おさまる、しあがる。
6. まがき、にわ。
7. やしき、すみか、むら。
8. 落々は、おおどか、大きい。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕 オツ・オトロフ・トモガラ・フル・ソソグ・シヌ・ツラヌ・ハジメ・ミチ/錯 ―トマジハレリ/魄 オチブル

[語系]
・・露lakは同声。雨露には・露という。零・・靈(霊)lyengも同系の語である。

[熟語]
落意▶・落英▶・落景▶・落影▶・落駅▶・落霞▶・落下▶・落華▶・落花▶・落款▶・落雁▶・落暉▶・落局▶・落句▶・落空▶・落月▶・落伍▶・落後▶・落紅▶・落交▶・落紅▶・落坐▶・落索▶・落子▶・落紙▶・落歯▶・落日▶・落手▶・落絮▶・落照▶・落城▶・落場▶・落職▶・落色▶・落飾▶・落錐▶・落成▶・落勢▶・落生▶・落籍▶・落▶・落雪▶・落然▶・落想▶・落葬▶・落胎▶・落第▶・落托▶・落拓▶・落度▶・落託▶・落脱▶・落胆▶・落地▶・落著▶・落潮▶・落得▶・落年▶・落梅▶・落魄▶・落泊▶・落薄▶・落▶・落▶・落漠▶・落髪▶・落筆▶・落帽▶・落木▶・落墨▶・落末▶・落脈▶・落葉▶・落落▶・落涙▶
[下接語]
囲落・院落・栄落・花落・開落・廓落・豁落・闊落・刊落・陥落・墟落・群落・下落・落・灑落・錯落・散落・種落・集落・聚落・井落・落・村落・堕落・落・拓落・落・脱落・断落・黜落・著落・潮落・墜落・低落・転落・落・踏落・那落・奈落・擺落・剝落・髪落・藩落・漂落・飄落・擯落・部落・碧落・暴落・没落・邑落・揺落・羅落・磊落・里落・籬落・流落・寥落・淪落・零落・歴落

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