陳(漢字)

普及版 字通 「陳(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

[字音] チン
[字訓] つらねる・のべる・ひさしい

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
(ふ)+東(とう)。東は(たく)の象形字。神の陟降する神梯()の前に、多くの(ふくろ)を陳設して祀る形。〔説文〕十四下に「宛丘なり。の後、滿(きまん)の封ぜられしなり」とし、「に從ひ、木に從ひ、申(しん)の聲なり」とするが、申声説は古文の形によっていうもので、字の本形ではない。金文の二形があり、田斉の陳氏は、舜の後である陳・の陳はに作る。すなわち〔説文〕のいう陳は金文のにあたる。は聖所の社(土)前に東(供える)をおく形。はそのを撃つ形を加えたもの。多く陳(つら)ねるので陳列・陳設の意となり、そのまま陳設しておくので陳久・陳腐の意となったのであろう。〔墨子、号令〕にみえる「陳表」を〔墨子、雑守〕に「田表」に作り、陳と田とは古く同声であった。それで斉の陳氏をまた田氏という。ただ金文では田斉諸侯の器をすべて侯としるしており、がその本姓である。

[訓義]
1. つらねる、神前に陳設する、ならべる、ほどこす、おく。
2. おおい、多くのべる、陳述する、ときあかす。
3. ふるい、ひさしい、ふるめかしい。
4. 古く田と音が通じ、斉の陳氏を田斉という。

[古辞書の訓]
名義抄〕陳 ノブ・フルシ・カクミチ・タ・ヒサシ・ツラヌ・ツラナル・コトバ・シク/陳 ソヒフス/陳根 フルキネ 〔字鏡集〕陳 アサフ・ツハモノ・ツラネタリ・イサカフ・ハカル・ツラヌ・トク・ヒク・ツラナル・ヒサシ・フルシ・タタカフ・ノブ・タク・シク・ハカル・サク

[語系]
陳・陣dienは同声。陣とは兵車などを連ねて陣形を構成することをいう。展tianは展開、また伸展葬をいう字。田dyenは陳と声近く、陳氏の後にして斉に入り、斉侯となったものを、のち田斉といい、姜姓の呂斉と区別する。

[熟語]
陳雲陳閲陳卦陳棊・陳啓・陳見・陳言・陳玄・陳紅・陳根・陳死陳詞・陳詩陳謝・陳述・陳序陳叙・陳上・陳状陳情・陳人・陳誠・陳請陳迹・陳跡・陳積陳蹟・陳設・陳説・陳膳陳訴・陳奏陳粟陳陳・陳敵陳椽・陳発・陳腐・陳布・陳聞・陳米陳弊・陳編・陳墨・陳明・陳葉・陳力・陳列・陳論
[下接語]
横陳・開陳・極陳・具陳・下陳・堅陳・口陳・弘陳・行陳・鉤陳・陳・指陳・肆陳・出陳・条陳・常陳・新陳・薦陳・前陳・陳・疎陳・奏陳・置陳・直陳・披陳・布陳・敷陳・平陳・舗陳・面陳・羅陳・縷陳・列陳

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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