漸と(読み)ヤット

デジタル大辞泉 「漸と」の意味・読み・例文・類語

やっ‐と【漸と】

[副]
長い時間や労力を費やして実現・成立するさま。ようやく。「苦心のすえ漸と勝った試合
足りてはいるが、余裕のないさま。かろうじて。「家族を漸と養えるだけの給料
[類語]えんやらやっとやっとのことでどうにかこうにかようやく何とかどうにかかろうじてからくも危うくすんでのところでやっとこさ間一髪危なくすんでのことあわや九死に一生を得るすれすれようようようやっとどうかこうかかつがつどうやらこうやら曲がりなりにもまあまあまあよっぽどかなりなかなかわりあいわりかたわりかし割に比較的まずまずかすかすどうやらなんとかかんとかそこそこそれなり増し次善セカンドベストベター及第無難ほどほど捨てたものではない満更まんざらでもないまだしもまだいまだしいま不徹底不十分及ばずながら不全不完全どうなりこうなり一応急場しのぎ当座しのぎ一時しのぎその場しのぎ最早もはや畢竟ひっきょう結局やはり所詮どの道いずれにしても結句遂にとどのつまり詰まるところ帰するところ詮ずるところ要するにいずれどうせつまりとうとういよいよ挙げ句挙げ句の果て差し詰め究竟きゅうきょう果ては何と言ってもどっち道とにかく何しろ何せ何分なにぶん何分なにぶんにもなんにせよともかくともかくもともあれとまれとにもかくにもそれはともあれ遅かれ早かれ善かれ悪しかれすんでにほとんど

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精選版 日本国語大辞典 「漸と」の意味・読み・例文・類語

やっ‐と【漸と】

  1. 〘 副詞 〙 ( 「ようよう」と同語源か ) 何らかの制約や困難があったために成立しがたかった行為・状態が、どうにか成り立つさまを表わす語。→ようやくようよう
  2. (イ) 長い時間や多くの労力を費やした末に、実現、成立するさまを表わす。
    1. [初出の実例]「さてもやっとの御のぼり候て、たうとき所々へも御まいり候」(出典:金沢文庫古文書‐(年月未詳)(鎌倉後)金沢貞顕書状(一・四七四))
  3. (ロ) 力や程度に余裕がなく、かろうじて実現、成立するさまを表わす語。
    1. [初出の実例]「いづくへか後は沙汰なき甥坊主〈里圃〉 やっと聞出す京の道づれ〈馬莧〉」(出典:続猿蓑(1698)上)
    2. 「途切々々に辛(ヤッ)と云った」(出典魔風恋風(1903)〈小杉天外〉前)

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