鉄道記念物(読み)てつどうきねんぶつ

共同通信ニュース用語解説 「鉄道記念物」の解説

鉄道記念物

歴史的に貴重な鉄道に関する遺産。1958年制定の保護基準に基づき、旧国鉄やJR各社が指定している。JR各社によると、全国に約45件あり、明治時代に英国から輸入されて新橋―横浜間を走った「1号機関車」や、滋賀県長浜市に現存する日本最古の駅舎「旧長浜駅」などが選ばれている。準鉄道記念物は鉄道記念物に次いで価値の高い遺産で、約55件。

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事典 日本の地域遺産 「鉄道記念物」の解説

鉄道記念物

「鉄道記念物」は、日本の鉄道発達史上の貴重な遺産を後世に伝えていくため、旧日本国有鉄道(国鉄)が制定した「鉄道記念物等保護基準規程」に基づく制度。1958(昭和33)年10月14日の鉄道記念日から実施された。「準鉄道記念物」は、地方的にみて歴史的文化価値の高いもの(将来鉄道記念物になりうるもの)を支社が指定するもので、1963(昭和38)年制定された。国鉄の分割・民営化までに「1号機関車」など35点が指定された。民営化後は、2004(平成16)年西日本旅客鉄道(JR西日本)が、準鉄道記念物から「義経号」など4点を新たに鉄道記念物に指定。2010(平成22)年北海道旅客鉄道(JR北海道)が、準鉄道記念物から「しづか号」など3点を新たに鉄道記念物に指定している。〔指定基準〕(1)国鉄および国鉄以外の者の地上施設その他の建造物、車両、古文書等で、歴史的文化的価値の高いもの。(2)国鉄および国鉄以外の者の制服、作業用具、看板その他の物件で、諸制度の推移を理解するために欠くことのできないもの。(3)国鉄における諸施設の発祥となった地点、国鉄に関係のある伝承地、鉄道の発達に貢献した故人遺跡(墓碑を含む)等で、歴史的価値のあるもの。
[選定機関] 旧日本国有鉄道;JR各社
[選定時期] 1958(昭和33)年~
[登録・認定名] 1号機関車 | 初代1号御料車 | 弁慶号機関車 | 旧長浜駅 | 0哩標識 | 善光号機関車(1290形式) | 5号御料車 | 6号御料車 | 鉄道古文書 | 佐賀藩製造の機関車模型 | 大阪駅時鐘 | 旧逢坂山ずい道東口 | 旧手宮機関庫 | 野辺地防雪原林 | 開拓使号客車 | 110号機関車 | 旧長浜駅29号分岐器ポイント部 | エドモンド・モレルの墓 | 秋田第1号鉄道飛砂防止林 | 蒸気動車 | 西園寺公望自筆の鉄道国有法案説明草稿 | 2号御料車 | 鉄道助佐藤政養文書 | アプト式鉄道 | 井上勝の墓 | ウエブ・エンド・トムソン式電気通票器 | 旧六郷川鉄橋 | 壱岐丸の号鐘 | 7号御料車 | 伊予鉄道1号機関車 | 9号御料車 | 10号御料車 | 12号御料車 | 国鉄バス第1号車 | ナデ6141号電動車 | 義経号機関車 | 1800形式機関車 | 230形式蒸気機関車 | EF521号電気機関車 | 0系新幹線車両(21-1,16-1,35-1,22-1) | い1号客車 | 大勝号蒸気機関車 | しづか号機関車 | 四ツ谷トンネル入口飾付兜〔準鉄道記念物〕 | 噴水小僧 | 別子1号機関車 | キ601号回転雪かき車 | キ800号かき寄せ雪かき車 | C591号機関車 | 北海道鉄道開通起点標 | 車輛航送発祥の地 | D521号機関車 | 形式10・26号機関車 | キハ031号気動車 | 国産アプト式鉄道 | 九州鉄道株式会社株主総会報告 | 九州鉄道運輸法規類纂 | ED4010号機関車 | 下関鉄道桟橋跡 | 古文書(山陽鉄道旅客事務通達類纂) | D51745号機関車 | 稲荷駅ランプ小屋 | C57139号機関車 | D51187号機関車 | C58333号機関車 | D51488号機関車 | C621号機関車 | 7号機関車 | 回転変流機 | 回転変流機 | EF551号機関車 | ロ481号客車 | ジョン・イングランドの墓 | ジョン・ダイアックの墓 | ゼオドラ・シャンの墓 | チャーレス・キングストンの墓 | ヘンリー・ホートンの墓 | ED161号機関車 | モハ52001電車 | DF501号機関車 | キハ81ディーゼルカー | 80系湘南電車 | セオボールド・パーセルの墓 | エドウィン・ホイーラーの墓 | 梅小路の蒸気機関車群と関連施設 | ED75 501号電気機関車 | キハ82 1号気動車 | クラウス15号機関車 | 排雪列車「キマロキ」編成 | 旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群 | 小樽駅本屋 | 旧室蘭駅舎 | 北海道鉄道技術館 | C62 3号機関車 | 岩見沢レールセンター(現業事務所7号) | 森林鉄道蒸気機関車 雨宮21号

出典 日外アソシエーツ「事典 日本の地域遺産」事典 日本の地域遺産について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄道記念物」の意味・わかりやすい解説

鉄道記念物
てつどうきねんぶつ

日本の鉄道発達の歴史上記念すべき貴重な遺産を後世に伝えていくため、日本国有鉄道(国鉄)により制定された制度、および、その制度により指定されたものをいう。1958年(昭和33)10月14日の鉄道記念日(1994年から「鉄道の日」と改名)から、鉄道記念物等保護基準規程により、次のような基準で指定した。

(1)国鉄および国鉄以外の者の地上施設その他の建造物、車両、古文書等で、歴史的文化的価値の高いもの。

(2)国鉄および国鉄以外の者の制服、作業用具、看板その他の物件で、諸制度の推移を理解するために欠くことのできないもの。

(3)国鉄における諸施設の発祥となった地点、国鉄に関係のある伝承地、鉄道の発達に貢献した故人の遺跡(墓碑を含む)等で、歴史的価値のあるもの。

 これらの条件を満たしたものとして、国鉄の分割・民営化までに「一号機関車」「弁慶号機関車」など35点が指定された。民営化後しばらく指定作業は実施されていなかったが、2004年(平成16)になって、西日本旅客鉄道(JR西日本)が、準鉄道記念物からの格上げという形で「義経号(よしつねごう)」など4点を新たに鉄道記念物に指定した。さらに、2010年には、北海道旅客鉄道(JR北海道)も、「しづか号」など3点の準鉄道記念物を鉄道記念物に昇格させた。

[松澤正二・編集部]

『日本国有鉄道編・刊『鉄道記念物ものがたり』(1972)』『交通博物館編・刊『鉄道記念物ガイド』(1994)』


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