デジタル大辞泉 「勘」の意味・読み・例文・類語
かん【勘】
2 古文書で、内容の了解を示す符号や点。
[類語]ひらめき・インスピレーション・第六感・目聡い・鋭敏・機敏・俊敏・明敏・敏・賢い・鋭い・
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
直観的に事柄を感知したり、判断したり、行動したりする心の働きをさす。通常の視覚・聴覚・触覚などの五感を超えた能力とみられるときには第六感ともいわれるが、既知の感覚器官をまったく媒介としない超感覚extra sensory perceptionとは区別される。また、問題解決の場面で、自己の意志統制を超え、たまたま出現した着想としていうときには、外来語のインスピレーションinspirationと同義で、ひらめき、啓示などを意味する。この際には長い思考のあとに出現する働きをさすが、模索から解放された劇的な感動を自覚する。しかし、勘はかならずしも長期の経験を前提とするのではなく、勘がいい人・悪い人などといわれるように、生得的な個人差のある潜在的能力にも用いられる。
勘は認知面についていわれるだけでなく、動作、作業の行動面についてもいわれる。日常いわれる運動神経がよいということにも通じ、巧みな運動、器用な動作の能力を意味することもある。
勘は学習過程、心的活動の遂行を促進するものとしての積極的な働きをさすが、これに対立する消極的な働きをさすものとして、固着fixation、硬さrigidityなどの抑制作用があげられる。ある事態で効果をもった機能が固定化し、新しい事態(問題場面)に適切に効果をもつ機能を妨害するのが固着であり、また、つねに一つの態度に固執し、融通な態度をとりえないのは性格の硬さといわれる。
[小川 隆]
勘がよいとか勘が働くといったかたちで日常よく使われる言葉であり,一方では事柄の直観的全体的な認識判断をさし,また他方では動作習熟上での〈こつ〉とほぼ同義に用いられる。心理学者黒田亮は通俗的に用いられる勘の語義として,次のようなものを挙げた。直覚,いわゆる〈第六感〉,虫の知らせ,無意識および下意識,練習による機械化や自動化,技神に入るの妙,神徠(しんらい),霊感,悟り,禅,三昧(ざんまい),以心伝心,手加減,こつ,呼吸,手心。黒田によれば心理学は自内証(体験)の事実を記述する学とされ,自内証の事実には識(ほぼ意識に相当する)と覚の2方面があるとされた。勘はこの覚に含まれる。黒田は覚の特色として図式性,含蓄性,深み,方向性,軽快味,その他を挙げ,勘を剣法や能などの技芸の極意,禅の悟り,荘子など東洋思想の本質にまで関連するものとした。現代の科学的・合理的社会では勘に基づく行動はしだいに排除される傾向にある。
執筆者:児玉 憲典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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