来(読み)ライ

デジタル大辞泉 「来」の意味・読み・例文・類語

らい【来〔來〕】[漢字項目]

[音]ライ(呉)(漢) [訓]くる きたる きたす
[学習漢字]2年
1 こちらにくる。近づいてくる。「来意・来客・来信・来日らいにち・来賓・来訪/遠来・往来・帰来・去来・光来・再来・襲来・新来・伝来・渡来・舶来・飛来」
2 これまで経てくる。起こりきたる。「来由・来歴/由来」
3 過去のある時点から今まで。このかた。「以来・元来・近来・古来・在来・爾来じらい・従来・生来・年来・本来・夜来」
4 時間的に、これからくる。「将来・未来」
5 今の次の。「来月・来週・来春・来世・来年」
[名のり]き・く・こ・な・ゆき
[難読]帰去来かえりなんいざ・出来しゅったい

らい【来】

[連体](日付・年月などで)この次の。きたる。「来場所」「来シーズン」
[接尾]時などを表す語に付いて、その時から現在まで続いている意を表す。以来。このかた。「数日来」「昨年来」「一別来」
[類語]明けて・明くる・翌・明みょう

こ【来】

動詞「く(来)」の命令形。平安時代までは「よ」をつけない形で用いられた。→来くる
「この寮つかさに詣まうで―」〈竹取〉

らい【来】[人名]

鎌倉中期から南北朝時代、山城で活躍した刀工の家名。高麗こうらいから渡来した国吉が祖とされるが、現存作刀はその子国行に始まる。

け【▽来】

動詞「く(来)」の連用形「き」の上代東国方言。
「水鳥の発たちの急ぎに父母に物言はずけにて今ぞ悔しき」〈万・四三三七〉

く【来】

[動カ変]「く(来)る」の文語形。

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精選版 日本国語大辞典 「来」の意味・読み・例文・類語

くる【来】

  1. 〘 自動詞 カ行変 〙
    [ 文語形 ]く 〘 自動詞 カ行変 〙
  2. [ 一 ]
    1. ① こちらに向かって近づく。また、ある場所、ある時期に向かってそこに至る。
      1. (イ) 空間的に近づく。
        1. [初出の実例]「苛(いら)なけく そこに思ひ出 愛(かな)しけく ここに思ひ出 い伐(き)らずそ久流(クル) 梓弓檀(まゆみ)」(出典:古事記(712)中・歌謡)
        2. 「あれ聞けと時雨来る夜の鐘の声〈其角〉」(出典:俳諧・猿蓑(1691)一)
      2. (ロ) 時間的に近づく。
        1. [初出の実例]「竹敷(たかしき)の黄葉(もみち)を見れば吾妹子(わぎもこ)が待たむといひし時そ伎(キ)にける」(出典:万葉集(8C後)一五・三七〇一)
    2. ② ( 目的地を主にしたいい方で ) そちらへ行く。
      1. [初出の実例]「夕さればひぐらし来鳴く生駒山越えてそ吾が久流(クル)妹が目を欲(ほ)り」(出典:万葉集(8C後)一五・三五八九)
    3. ③ 心がある人に向く。慕う気持が起こる。ござる。きたる。古くは女が男に、後には男が女にほれる場合をもいう。
      1. [初出の実例]「くる。是もほれらるる心也」(出典:評判記・色道大鏡(1678)一)
      2. 「君はよっぽど、どら吉にきてゐるな」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉七)
    4. ④ 古くなる。いたんでいる。
      1. [初出の実例]「そで口のちときた、うらゑりの小そで」(出典:洒落本・通言総籬(1787)一)
    5. ⑤ 空腹になる。すく。
      1. [初出の実例]「そりゃあそふとだいぶはらが減(キ)たぜ」(出典:洒落本・公大無多言(1781))
    6. ⑥ ( 「…と来ている」の形で ) ある状態である。…といった状態である。
      1. [初出の実例]「いがみの権(ごん)と来(キ)て居る息子」(出典:咄本・鹿の子餠(1772)野等息子)
    7. ⑦ ( 「…と来る」の形で ) ある物をとりあげていう。
      1. [初出の実例]「豊岡が拳ときては、凄ひもんだ」(出典:洒落本・辰巳之園(1770))
      2. 「一人もののおまはりさんと来(キ)た日には」(出典:雁(1911‐13)〈森鴎外〉四)
    8. ⑧ こちらに向かって言いかける。
      1. [初出の実例]「理窟詰に来(コ)られる時には、此方一言もない訳ですから」(出典:内地雑居未来之夢(1886)〈坪内逍遙〉九)
      2. 「貴様(あなた)の行くところなら例(たと)ひ火の中、水の底と来(キ)まサア!」(出典:女難(1903)〈国木田独歩〉四)
    9. ⑨ ( 「…から来る」の形で ) あることが原因となって現われる。
      1. [初出の実例]「それが全く文学熱から来たので」(出典:吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二)
    10. ⑩ ある物や状態が、その人や、その人に関係の深いものに自然に生じる。「がたが来る」
      1. [初出の実例]「蒲団なんぞ万一黴(かび)なぞが来ると困るしね」(出典:蔵の中(1918‐19)〈宇野浩二〉)
    11. ⑪ 自分の心や五感に感じる。
      1. [初出の実例]「柔かい頭へ此のわる笑いがじんと来たんだから、切なかった」(出典:坑夫(1908)〈夏目漱石〉)
  3. [ 二 ] 補助動詞として用いる。
    1. ① 動詞の連用形に付いて、ある動作や状態が以前から今までずっと続いていることを表わす。ずっと…する。
      1. [初出の実例]「神寿(かむほ)き 寿き狂ほし 奉り虚(コ)し 御酒そ 残(あ)さず飲(を)せ ささ」(出典:日本書紀(720)神功皇后摂政一三年二月・歌謡)
      2. 「うきふしを心ひとつにかぞへきてこや君が手をわかるべき折」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
    2. ② 動詞の連用形に「て」を添えた形に付いて、あることをして、戻る意を表わす。
      1. [初出の実例]「さらば、そのありつる御文を賜はりてこ」(出典:枕草子(10C終)八二)
      2. 「大きにくたびれた。湯へはいってこよふ」(出典:咄本・無事志有意(1798)そそか)
    3. ③ 動詞の連用形または、それに「て」を添えた形に付いて、だんだんとそうなる、また、ある状態にはいり始める意を表わす。
      1. [初出の実例]「風の音の遠き吾妹(わぎも)が着せし衣(きぬ)手元のくだりまよひ伎(キ)にけり」(出典:万葉集(8C後)一四・三四五三)
      2. 「いっそ、もふ目がとろとろしてきやしたよ」(出典:洒落本・妓者呼子鳥(1777)三)

来の語誌

( 1 )命令形は古くは「よ」を伴わないで「こ」だけで用いられた。平安時代には「こよ」も見られるが、「こ」だけの方が優勢である。「こい」が用いられるようになるのは室町時代頃か。
( 2 )過去の助動詞「き」へ続く場合は変則で、終止形「き」には続かない。連体形の「し」、已然形の「しか」には未然形「こ」、連用形「き」の両方とも続くが「こ」から続く方が優勢である。「かた時のあひだとて、かの国よりまうでこしかども〔竹取〕」「みやこ出でて君にあはんとこしものをこしかひもなくわかれぬるかな〔土左‐承平四年一二月二六日〕」など。
( 3 )江戸時代以降、未然形に「き」の形が現われることがまれにある。「ゑりわざ尋ねて来(キ)られた者を〔滑稽本・田舎草紙‐四〕」「顔を洗ふ湯も汲んできなければならない〔橇〈黒島伝治〉三〕」など。


らい【来】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. ① 現在より後の時期。未来。将来。〔文明本節用集(室町中)〕 〔易経‐繋辞上〕
    2. ② ( 「擂」とも書く ) 鞨鼓(かっこ)の奏法とその譜字。細かくきざんで打つもの。
  2. [ 2 ] 〘 造語要素 〙
    1. ① 時を表わす語の上に付いて、その時が今から後に来るものであることを表わす。この次の。きたる。「来学期」「来春」「来二日(らいふつか)」など。
      1. [初出の実例]「Rai(ライ)ハル」(出典:日葡辞書(1603‐04))
    2. ② 時を表わす語に付いて、その時からずっと続いていることを表わす。以来。このかた。「先日来」「数日来」「昨年来」など。
      1. [初出の実例]「私店元祖より二百年来(ライ)余製薬仕致」(出典:江戸買物独案内(1824)く)
      2. [その他の文献]〔孟浩然‐春暁詩〕

きたる【来】

  1. 〘 連体詞 〙 ( 動詞「きたる(来)」の連体形から転じたもの ) (月、日や行事などを表わす語の上に付いて)近いうちに来る、この次の、の意を表わす。
    1. [初出の実例]「来(キタル)〈高良本ルビ〉廿一日、主上御元服のさだめの為に」(出典:平家物語(13C前)一)
    2. 「来(キタル)日曜の午後二時を合図に」(出典:二人女房(1891‐92)〈尾崎紅葉〉下)

け【来】

  1. 動詞「く(来)」の連用形「き」の上代東国方言。
    1. [初出の実例]「水鳥の立ちの急ぎに父母にもの言(は)ず価(ケ)にて今ぞ悔しき」(出典:万葉集(8C後)二〇・四三三七)

こ【来】

  1. ( 動詞「来(く)」の未然形、命令形 ) ⇒くる(来)

く【来】

  1. 〘 自動詞 カ行変 〙 ⇒くる(来)

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普及版 字通 「来」の読み・字形・画数・意味

来
常用漢字 7画

(旧字)來
人名用漢字 8画

[字音] ライ
[字訓] むぎ・きたる

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
麦の形に象る。〔説文〕五下に「、受くるの瑞麥・來(らいぼう)なり。一來に二あり。朿(ばうし)の形に象る。天の來(もたら)すなり」とし、〔詩、周頌、思文〕の「我に來を詒(おく)る」の句を引く。周の始祖后稷(こうしよく)が、その瑞麦嘉禾(かか)をえて国を興したことは〔書序〕の〔帰禾〕〔嘉禾〕にもみえる。往来・来旬、また賚賜(らいし)などの用義はすでに卜辞にもみえるが、みな仮借義である。

[訓義]
1. むぎ、こむぎ。
2. きたる、くる、いたる。
3. きたす、まねく、もたらす。
4. このかた、から、より、さきざき。
5. と通じ、つとめる、ねぎらう。
6. 哉(さい)と通じ、や、か。
7. 字はまた徠に作る。

[古辞書の訓]
〔名義抄〕來 カヘル・ク・キタル・キタレリ・キタス・コノカタ・ツトム・マウヅ・ミタル・オハシタリ/以來 コノカタ/向來 イマシ・タダイマ/元來 モトヨリ/去來 イザ 〔立〕來 ユク・キタス・ユクスエ・コノカタ・キタル・アラハル・クル

[部首]
〔説文〕に・(ふ)・(めん)など十二字を属し、〔玉〕に(きく)・(めん)などを加え、五十二字を属する。

[語系]
來lは麥(麦)mukと声義の関係がある。來・徠・は同声。労勤・労来の意は、の通用の義である。

[熟語]
来意▶・来威▶・来胤▶・来謁▶・来縁▶・来轅▶・来往▶・来嫁▶・来賀▶・来駕▶・来会▶・来格▶・来函▶・来▶・来還▶・来簡▶・来雁▶・来帰▶・来期▶・来儀▶・来去▶・来▶・来享▶・来▶・来▶・来覲▶・来迎▶・来月▶・来見▶・来献▶・来貢▶・来寇▶・来今▶・来歳▶・来札▶・来示▶・来旨▶・来至▶・来▶・来事▶・来日▶・来者▶・来春▶・来書▶・来信▶・来侵▶・来訊▶・来世▶・来生▶・来体▶・来致▶・来朝▶・来庭▶・来哲▶・来賓▶・来稟▶・来附▶・来赴▶・来婦▶・来復▶・来服▶・来聘▶・来訪▶・来牟▶・来奔▶・来犇▶・来問▶・来諭▶・来由▶・来遊▶・来▶・来臨▶・来歴▶
[下接語]
以来・雲来・遠来・往来・懐来・外来・寒来・元来・帰来・旧来・去来・近来・頃来・月来・古来・後来・今来・嗟来・再来・在来・自来・爾来・襲来・従来・出来・招来・将来・新来・生来・大来・朝来・天来・伝来・渡来・到来・日来・年来・舶来・晩来・飛来・風来・別来・本来・未来・夜来・由来・老来・労来

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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