デジタル大辞泉
「年」の意味・読み・例文・類語
ねん【年】
[名]
1 1年。とし。「年に一度の祭り」
2 「年季」の略。「年が明ける」
[接尾]助数詞。
1 年号・年数を表すのに用いる。「平成七年」「西暦一九九五年」
2 年齢・学年を表すのに用いる。「人生五〇年」「五年に進級」
[類語]年・歳・周年
とせ【▽年/▽歳】
[接尾]助数詞。年数を数えるのに用いる。「五―」「百―」
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とし【年・歳】
- 〘 名詞 〙
- ① 時の単位。現行の太陽暦(グレゴリオ暦)では、地球が太陽のまわりを一周する時間(平均三六五・二四二二日)を一年とし、平年は三六五日、四年ごとに閏年(うるうどし)を設け三六六日として補正する。日本では明治六年(一八七三)太陽暦に改められるまで、中国伝来の太陰暦を用いた。太陰暦では、新月から次の新月まで、または満月から次の満月までの朔望月(さくぼうげつ)(=平均二九・五三〇五九日)を基準とし、一二朔望月(平均三五四・三六七〇日)を一年とするため、大の月(三〇日)と小の月(二九日)とを適当に組み合わせ、かつ一九年間に七回の閏月を設けて暦と季節とのずれを補正した。したがって暦の上での一年は日数が一定でない。暦年。
- (イ) 一年間を単位とする歳月。一二か月。
- [初出の実例]「あらたまの 登斯(トシ)が来(き)経(ふ)れば あらたまの 月は来経(へ)ゆく」(出典:古事記(712)中・歌謡)
- 「月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也」(出典:俳諧・奥の細道(1693‐94頃)旅立)
- (ロ) 年次。その年。当年。
- [初出の実例]「み立たしの島をも家と住む鳥も荒びな行きそ年(とし)かはるまで」(出典:万葉集(8C後)二・一八〇)
- 「この御子三つになり給年、御袴着のこと〈略〉いみじうせさせ給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)
- (ハ) 今までに経過した年数。年代。時世。
- [初出の実例]「としのかさなるに添へて、御心の隔てもまさるを、いとくるしくおもはすに」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
- ② 時候の移り変わり。季節の区分。節季、特に年末。→とし(年)遅し。
- ③
- (イ) 生まれてからの年数。年齢。齢(よわい)。
- [初出の実例]「凡そ此の神倭伊波礼毘古天皇の御年(とし)、壱佰参拾漆歳」(出典:古事記(712)中)
- 「としここのつばかりなる男(を)のわらは、としよりはをさなくぞある」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月二二日)
- (ロ) 特に、老いの感じられる年齢。老齢。また、より年取った年齢。
- [初出の実例]「いや体がガタガタだ。年だね」(出典:風と死者(1969)〈加賀乙彦〉)
- ④ ( 上代の農事に由来する語で、穀物が一回実る期間が一年に相当するところから ) 五穀、特に稲。また、その耕作、収穫、作柄など。
- [初出の実例]「わが欲りし雨は降り来ぬかくしあらば言挙げせずとも登思(トシ)は栄えむ」(出典:万葉集(8C後)一八・四一二四)
- 「年もよしこかひも得たりおほくにの里たのもしくおもほゆる哉〈平兼盛〉」(出典:拾遺和歌集(1005‐07頃か)神楽歌・六一四)
- ⑤ 数詞の四をいう関西の木綿商の符丁。
年の補助注記
助数詞として用いられる時は「とせ」と音変化する。
ねん【年】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 元日から大みそかまでの間。一年。
- [初出の実例]「旅役者による小屋がけの芝居が年に一度か二度か見られる程度であったのだから」(出典:彼の歩んだ道(1965)〈末川博〉一)
- ② 「ねんき(年季)」の略。
- [初出の実例]「ねんきれて、わか身がままにならば、御めにかかる事もあるまい」(出典:評判記・秘伝書(1655頃)男のこころしりやうの事)
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙
- ① 年号、年数を示すのに用いる助数詞。「今年は平成一八年」「西暦二〇〇六年」
- ② 年齢を示すのに用いる助数詞。「人生五十年」
とせ【年・歳】
- 〘 接尾語 〙 数詞に付いて、年数をかぞえるのに用いる。
- [初出の実例]「天離る鄙(ひな)に五(いつ)等世(トセ)住まひつつ都のてぶり忘らえにけり」(出典:万葉集(8C後)五・八八〇)
- 「百(もも)とせに一とせ足らぬつくも髪我を恋ふらし面影に見ゆ」(出典:伊勢物語(10C前)六三)
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普及版 字通
「年」の読み・字形・画数・意味
年
常用漢字 6画
[字音] ネン
[字訓] みのる・とし
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
禾(か)+人。禾は禾形の被りもので稲魂(いなだま)。これを被って舞う人の姿で、祈年(としごい)の舞をいう。男女相偶して舞い、女には委という。低い姿勢で舞う。子供の舞う字は季。農耕の儀礼に男女が舞うのは、その性的な擬行為が、生産力を刺激すると信じられたからである。〔詩、周頌、載(さいさん)〕は、に神饌を供する神田における耕の儀礼を歌うもので、「其のに思媚す 依たる其の士(をとこ)り」とは、そのような男女の舞をいうものであろう。豊年を予祝する舞であるから「みのり」の意となり、一年一熟の禾であるので、一歳の意となる。夏には歳、殷には祀、周には年という。歳・祀はともに祭祀の名。その時期や期間の関係から、年歳の意となった。年は稔(ねん)。〔説文〕七上に「、孰(じゆく)するなり」とし、千(せん)声とするが、卜文の字形では下部を人に作る。熟穀の意には稔の字を用いる。
[訓義]
1. みのる、みのり、穀物。
2. とし、一とせ、よわい。
3. とき、そのよ。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕年 トシ/去年 コゾ/年來 トシゴロ
[語系]
年nyenは稔njimと声義近く、〔説文〕にいずれも「、孰(じゆく)するなり」とみえる。いずれかといえば、稔は動詞として、年は年歳の意に用いることが多い。また年に古く佞nyengと通用することがあり、〔公羊伝、襄三十年〕「天王、其の弟年夫をす」の〔釈文〕に「年夫、は佞(ねい)。二傳は佞夫に作る」という。女舞の委に依媚の意があり、男舞の年にも、そのような声義があったのであろう。
[熟語]
年位▶・年運▶・年永▶・年家▶・年稼▶・年華▶・年▶・年関▶・年顔▶・年紀▶・年耆▶・年期▶・年祺▶・年義▶・年誼▶・年朽▶・年魚▶・年鈞▶・年兄▶・年計▶・年月▶・年倹▶・年限▶・年考▶・年庚▶・年荒▶・年高▶・年▶・年行▶・年光▶・年号▶・年穀▶・年歳▶・年災▶・年殺▶・年菜▶・年載▶・年矢▶・年祀▶・年歯▶・年時▶・年次▶・年爵▶・年弱▶・年首▶・年酒▶・年寿▶・年終▶・年春▶・年所▶・年少▶・年侵▶・年深▶・年衰▶・年世▶・年盛▶・年祚▶・年租▶・年多▶・年代▶・年秩▶・年長▶・年朝▶・年登▶・年頭▶・年徳▶・年年▶・年輩▶・年髪▶・年晩▶・年尾▶・年表▶・年鬢▶・年譜▶・年物▶・年暮▶・年耄▶・年芳▶・年豊▶・年▶・年妙▶・年命▶・年夜▶・年余▶・年幼▶・年来▶・年例▶・年齢▶・年老▶・年労▶
[下接語]
年・永年・益年・越年・延年・往年・華年・遐年・改年・隔年・学年・季年・祈年・紀年・耆年・期年・旧年・窮年・凶年・享年・経年・年・迎年・行年・後年・高年・曠年・今年・歳年・昨年・残年・若年・弱年・終年・旬年・初年・小年・少年・浹年・上年・新年・尽年・衰年・生年・成年・青年・盛年・積年・前年・早年・壮年・送年・卒年・他年・稚年・中年・長年・年・椿年・丁年・定年・停年・天年・当年・同年・馬年・晩年・比年・弥年・平年・編年・保年・暮年・芳年・豊年・忘年・没年・毎年・万年・妙年・余年・幼年・翌年・来年・流年・累年・例年・暦年・連年・老年
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年 (ねん)
year
地球が太陽のまわりを公転する周期。基準点のとり方により太陽年,恒星年,近点年がある。太陽が春分点を出発し,再び春分点に戻ってくるまでが1太陽年で365.2422日である。地球上では,極や赤道付近以外では春夏秋冬の四季を生じ,それによって生活のくぎりが与えられる。1太陽年は人間生活にもっともたいせつな周期であり,従来用いられてきた暦のほとんどは1太陽年を基に組み立てられている。太陽暦で4年に1度の閏(うるう)年をおき,太陰太陽暦で19年に7回閏月を入れるのも,1暦年をできるだけ1太陽年の長さに近づけるためのくふうである。ところで暦年の長さは太陽年によって拘束されるが,年初をどこにおくかは本来任意である。古い中国では11月,あるいは12月に年初をおいたこともあったが,2000年以前より正月年初が定着している。それを受けた日本でも立春年初(平均的に立春が元日になる)という暦法が用いられてきた。古代ローマでは3月が年初であった。現在も2月に閏日がおかれているのは2月が年末であったときのなごりである。イギリスではクリスマス年初(12月25日)が古く行われていたが,14世紀には受胎告知年初(3月25日)に変わった。イタリアでは都市によって違う年初が18世紀まで行われた。ベネチア年初(3月1日),ピサ年初(3月25日)その他があり,西暦年をその日から改めるから閏年は4で割り切れる年という規則が当てはまらず1年ずれることになる。日本でも学年や会計年度でいえば4月1日年初である。
執筆者:内田 正男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
年
ねん
太陽が天球上を一周する時間。基準点の選び方によって、次のような種類の1年がある。すなわち、天球上の太陽の経路である黄道と赤道の交点(春分点)に対して太陽が一周する時間を太陽年(回帰年)、太陽が天球上の同一恒星に対して一周する時間を恒星年といい、地球の公転周期である。地球が太陽に対して最短距離にある近日点から出発してふたたび近日点に戻るまでの時間が近点年、天球上の月の経路である白道と黄道の交点に対して太陽が一周する時間が食年で、日・月食はこの周期が関係する。
アメリカの天文学者ニューカムによれば、1900年1月零日12時(暦表時)における各年の値は次のようである。
1太陽年=365.24219879日
=365日5時48分46秒
1恒星年=365.25636042日
=365日6時09分09秒5
1近点年=365.25964134日
=365日6時13分53秒
1食 年=346.620031日
=346日14時52分50秒7
普通、一般に1年というときには太陽年をさし、季節の循環が太陽の春分点通過の時期と関係するところから、暦にはこれを用いる。
[渡辺敏夫]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
年
ねん
year
地球が太陽のまわりを1公転する時間単位。通常は,春分点から春分点までの太陽年 (365日5時間 48分 46秒) をさすが,ほかに天球に対する1公転の恒星年 (365日6時間9分 10秒) ,近日点をもとにした近点年 (365日6時間 13分 53秒) などの単位もある。1太陽年の長さは,歳差の変化のため,100年につき約 0.5″減じる。暦法上,太陽暦では1年を 365日とし,400年間に 97日の閏日を設けて端数を調節し,太陰太陽暦では朔望月の 12ヵ月を1年とし,2年ないし3年に1度閏月を設けて四季とのずれを調節する。そのほかに,太陽系が銀河系の中心を1公転する時間を単位として使うことがあり,宇宙年と呼ばれる。1宇宙年は約2億 2500万年である。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
年【ねん】
地球が太陽のまわりを公転する周期。基準点を春分点,恒星,近日点にとったものがそれぞれ太陽年,恒星年,近点年。ふつう1年とは1太陽年をさす。暦では暦法により1年の長さが整数日に決められている。
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
世界大百科事典(旧版)内の年の言及
【暦】より
…1日を単位として長い時間を年,月,日によって数える体系。その体系を構成する暦法,またはそれを記載した暦表,暦書をいうこともある。…
※「年」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」