円(通貨)(読み)えん

百科事典マイペディア 「円(通貨)」の意味・わかりやすい解説

円(通貨)【えん】

日本の貨幣単位。補助単位は1円=100銭,1銭=10厘。1871年新貨条例により江戸時代以来のに代わって,1円=純金1.5gと定めたことに始まる。それまで流通していた1両とほぼ同じ金の分量を含んでいたため物価体系移行に不難な点で採用された。のち1897年貨幣法により1円=純金750mgと定め金本位制度確立。1917年金本位制から離脱して以後,円は金との結びつきを失い,その価値は低落したが,1932年以降は対ポンドまたは対ドル相場の安定が円価値保持の基準とされた。戦後の1949年4月以降はドル平価(1ドル=360円)を基準として,金平価(1円=純金2.4685mg)が算出されていたが,1971年12月の通貨調整で1ドル=308円,1円=純金2.65751mgに切り上げた。さらに1973年以降は変動為替相場制に移行。国際的な流通・決済手段としての円の地位が高まった。1978年には,金が通貨基準の役割からはずされたので,金に自由相場が立つようになった。さらに1985年のG5(先進5ヵ国蔵相・中央銀行総裁会議)でドル高是正のため為替市場への協調介入が決定され(プラザ合意),その後,急速な円高が進み,1995年4月には1ドル80円を切るまでに急騰した。1999年は1ドル110円前後,その後1ドル80円台から130円台の幅を推移している。
→関連項目円高・円安為替相場単一為替レート

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

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