いかれる(読み)イカレル

デジタル大辞泉 「いかれる」の意味・読み・例文・類語

いか・れる

[動ラ下一]《「行かれる」の意から》
人に先を越される。してやられる。「またしてもやつに―・れてしまった」
用をなさなくなる。だめになる。「テレビが―・れる」
頭の働き・考え方などがまともでなくなる。「少し―・れているんじゃないか」「―・れた服装
心をうばわれる。夢中になる。「一目で彼女に―・れてしまった」
[類語](2壊れるポシャる潰れる砕ける/(3病的クレージー神経質凝り性マニアックモノマニアモノマニアック偏執狂執念深いアブノーマル異常異様狂的ディレッタント物好き酔狂好事家こうずかおたく狂い気違いマニアつうこだわりこだわる道楽れ者凝り屋執拗しつようしつこいサブカルチャー/(4溺れるふける凝る耽溺たんでき惑溺めろめろぞっこん首ったけのめり込む入れ込む夢中血道を上げる骨抜き執心頓着執着固執偏執我執とらわれる深入りはまるはまり込む身を焦がす狂おしい物狂おしい入れあげる病み付きとりこ心酔心ここにあらず心を奪う悩ましい悶悶もんもん惑乱切ないやりきれない思い乱れる思い悩む思い焦がれるむな苦しい息苦しい重苦しい苦痛る瀬無い憂さ憂い不如意堅苦しい気詰まり忍びないエキセントリック逆上のぼせるのぼせるアブノーマル常軌を逸する乱心取り術無い辛酸をなめる心を痛める艱難かんなん思い煩う

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精選版 日本国語大辞典 「いかれる」の意味・読み・例文・類語

いか・れる

〘自ラ下一〙 (もと「行かれる」の意か)
① してやられる。先手を打たれる。〔日本隠語集(1892)〕
※安吾巷談(1950)〈坂口安吾〉田園ハレム「戦後の都心は、クリカラモンモンの熱血児に占領されて、日本中、アロハとパンパンに完全にいかれてしまった」
② 物が古くなって役に立たなくなる。こわれたりしてだめになる。また、生き物が死ぬ。〔隠語全集(1952)〕
※午後の曳航(1963)〈三島由紀夫〉二「ここでイカれた船を直したり、一度バラバラにして造り直したりするんだ」
③ 生意気な様子をする。不良じみる。〔隠語全集(1952)〕
※埃と燈明(1959)〈北杜夫〉「なるたけいかれた恰好をしてた方がいいんだ」
④ 頭の働き、考え方などがまともでなくなる。ふぬけになる。
遙拝隊長(1950)〈井伏鱒二〉「『どうも、これはいかん、いかれとるね』と、軍医は難かしさうな顔をして」
⑤ 心を奪われる。夢中になる。
※危険な関係(1959)〈新章文子〉三「めぐみは〈略〉、白いセーターの胸の隆起も立派で、さすがの勇吉も一寸いかれた眼になった」

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