ラテン・アメリカ(読み)ラテンアメリカ

百科事典マイペディアの解説

ラテン・アメリカ

アメリカ大陸のうち,メキシコ以南の中央アメリカ西インド諸島を含む)と南アメリカの範囲をさす。北部のアングロ・アメリカと異なり,スペイン,ポルトガルなどのラテン系民族が中心となり,ラテン系文化の影響が濃い固有の文化圏を作っている。この地域の独立国33のうちスペイン語圏18ヵ国を〈イスパノアメリカ〉と呼び,また〈イベロアメリカ〉ともいうが,後者にはポルトガル語国のブラジルを含めることが多い。人種的には先住民のインディオ,ラテン系白人および両者の混血のメスティソからなり,人口はメスティソが最も多い。アフリカから大西洋奴隷貿易で導入された黒人や,移民として入った日系人,中国人,インド人も居住する。宗教はカトリックが最も一般的であるが,土着的・民俗的要素と融合したフォーク・カトリシズムも広く見られ,また黒人の間ではアフリカ系宗教(ブードゥー,カンドンブレ,ウンバンダなど)が盛んである。 かつてはインカマヤなどの古代文明が栄えたが,コロンブスの到着以後,スペイン,ポルトガルにより植民地化された。19世紀前半にボリーバルらの指導下に次々と独立を達成したが,各国とも半封建的大土地所有制を温存したため資本主義の発展が遅れた。今日も多くは農業国で,貧富の差が激しい。19世紀末から米国の進出が著しく,第2次大戦後は米州機構などが設けられたが,キューバ革命(1959年)以来,各国で民族主義や民主化をめざす動きが活発になっている。1960年代後半から1970年代初めにかけて,この地域の多くの国で軍事政権が登場したが,ペルーのようにそれが社会改革(ペルー革命)の推進力となる場合もあった。また支配体制の支柱でもあるカトリック教会の内部から,1960年代以降〈解放の神学〉が唱道されるにいたり,先住民族の権利擁護運動も高まりつつある。経済面では1980年代の累積債務危機は一応のり越えられたが,1990年代半ばのメキシコ,同年代末のブラジルにおける通貨危機は国際金融に大きな影響を及ぼしている。こうしたなかで各種の地域統合の動きが見られ,1991年締結の〈南米南部共同市場〉(メルコスール。1995年域内関税撤廃)や〈北米自由貿易協定(NAFTA)〉へのメキシコの参加(1994年)など,模索が続いている。

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