デジタル大辞泉
「様」の意味・読み・例文・類語
よう〔ヤウ〕【様】
1 姿・形。ありさま。ようす。
「日ごろありつる―、くづしかたらひて、とばかりあるに」〈かげろふ・上〉
2 方法。やり方。
「その山見るに、さらに登るべき―なし」〈竹取〉
3 理由。事情。わけ。
「参るまじくは、その―を申せ」〈平家・一〉
4 (「思う」「言う」などに付いて)会話や思考の内容。または、その下に引用して続けた会話や思考の内容。
「車にて児の祖に言ふ―『父こそ』と呼べば」〈今昔・二四・一五〉
5 名詞の下に付いて複合語をつくる。
㋐ある物に類似していることを表す。…ふう。…のよう。「刃物様の凶器」「皮革様の素材」
㋑様式、方式などの意を表す。「上代様」「唐様」
6 動詞の連用形の下に付いて複合語をつくる。
㋐ありさま、ようすなどの意を表す。「喜び様」「可愛がり様」
㋑…する方法、…するやり方などの意を表す。「ほかのし様もある」「しかり様が悪い」
[類語]化・的
ざま【▽様/▽態】
[名]《「さま」の音変化》ようす・なりふり・しわざなどをあざけって言う語。「その―はなんだ」
[接尾]⇒さま(様)
[類語]体たらく
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ようヤウ【様】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- [ 一 ] 物事のありかた。
- ① 様子。目に見える状態。ありさま。
- [初出の実例]「父母、『いとあやしき子なり。おひいでむやうを見む』とて、ふみもよませず」(出典:宇津保物語(970‐999頃)俊蔭)
- ② 外見の形。姿。形状。
- [初出の実例]「真名(まんな)のやう、文字の、世に知らずあやしきを見つけて」(出典:枕草子(10C終)一〇三)
- ③ 外見にこめられた意味。子細。わけ。事情。道理。「ようあり」の形で用いられることが多い。
- [初出の実例]「死に給ふべきやうやあるべき」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ④ 慣習として決まっているしかた。方式。様式。流儀。
- [初出の実例]「死し子かほよかりきといふやうもあり」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月四日)
- 「人の調度の飾りとするさだまれるやうある物を」(出典:源氏物語(1001‐14頃)帚木)
- ⑤ ある事を実行するための方法。やり方。てだて。手段。
- [初出の実例]「其山を見るにさらにのぼるべきやうなし」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ⑥ 言う、思うなどの内容、また、そのほかの行為や事柄の実現のしかた。
- [初出の実例]「ただ押鮎のくちをのみぞすふ。このすふ人々のくちを、押鮎もし思ふやうあらんや」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月元日)
- ⑦ 同類。一類と考えられるもの。
- [初出の実例]「かならず、さしも、やうのこととあらそひ給はむもうたてあるべし」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕霧)
- [ 二 ] 形容動詞の用法に準じて用いる。
- ① 推量される様子を表わす。断言をやわらげていう。
- [初出の実例]「その歌、よめる文字、三十文字あまり七文字、人みなえあらで笑ふやうなり」(出典:土左日記(935頃)承平五年一月一八日)
- ② その事態そのままの様子、今にもそうなりそうな様子であることを表わす。
- [初出の実例]「匠らいみじくよろこびて、思ひつるやうにもあるかな」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ③ 比喩の用法。よく似た事物をあげて、性質や状態を説明する。
- (イ) 体言を受ける場合。
- [初出の実例]「みまなこ二にすもものやうなる玉をぞそへていましたると云ければ」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- (ロ) 用言の叙述を受ける場合。
- [初出の実例]「その滝、物よりこと也。長さ二十丈、広さ五丈許なる石のおもて、白絹に岩を包めらんやうになむありける」(出典:伊勢物語(10C前)八七)
- ④ 例示。
- (イ) 物事の一例をあげたことばを受けて、それと同様の物事を表わす。
- [初出の実例]「ヲゴリ ヲ キワメ、ヒト ヲモ ヒト ト ヲモワヌ yǒ(ヤウ)ナル モノ ワ ヤガテ ホロビタ ト ユウ ショウゼキ ニ」(出典:天草本平家(1592)一)
- (ロ) 「と」「など」を受けて、一例をあげて全体をぼんやり示し、また、例示と同類のものを漠然と示す。
- [初出の実例]「なからむのちの後見にとやうなることの侍りしかば」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕霧)
- 「天狗こだまなどやうの物の、欺きゐて奉りたりけるにや」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夢浮橋)
- [ 三 ] 形式名詞として用いる。
- ① 言う、思うことの内容。「言う」「思う」などの語を受けて、その内容を以下に述べることを予告するのに用いる。「に」などを伴わない。
- [初出の実例]「翁よろこびて家に帰りてかぐや姫にかたらふやう、かくなん御門のおほせ給へる」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- ② ( 「ように」の形で ) ある行動に対する望ましい方法、形式や目的、期待する達成の状態を示す。
- [初出の実例]「あつき比なれば、首の損ぜぬ様にはからひ」(出典:平家物語(13C前)一一)
- ③ ( 「…のように」の形で ) 地名などを受けて方向を示す。
- [初出の実例]「此日、海江田之様に罷帰候」(出典:上井覚兼日記‐天正一一年(1583)八月一六日)
- [ 2 ] 〘 造語要素 〙
- ① 名詞に付く。
- (イ) 例示を受けてそれと同類の事物・事柄を漠然と表わす。
- [初出の実例]「中将・中務やうの人々には、程々につけつつ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)濡標)
- (ロ) きまったやり方の意を表わす。ふう。流儀。慣習の様式。
- [初出の実例]「ことやうなる女車のさまして、かくろへ入り給に」(出典:源氏物語(1001‐14頃)総角)
- ② 動詞の連用形に付く。そうする方法、その動作のやり方。
- [初出の実例]「道ゆき人が立ちとどまって、はしたなの女房の溝の越えやうやとて」(出典:平家物語(13C前)四)
様の語誌
( 1 )上代には見えず、中古以降盛んに用いられた。単独で名詞としても用いられるが、「なり」を伴って「やうなり」の形で一まとまりの助動詞的形式として用いられることもある。この「やうなり」は比況・例示の助動詞「ごとし」と同様の意味を表わすものだが、「ごとし」はもっぱら漢文訓読体で用いられ、和文にはほとんど見えないのに対し、「やうなり」は漢文訓読体には見えず和文で盛んに用いられて、殊に「やうに」「やうなる」の形が多い。→ようだ(様━)。
( 2 )「やうに(ように)」が活用語を承けて従属節的に用いられる用法は、今日に至るまでよく用いられているが、そのうち、[ 一 ][ 二 ]③(ロ)の使い方は、既に中古から見られる。しかし、[ 一 ][ 三 ]②のような目的・企図を表わす例とはっきり認められるものは、中古には見られず、中世以降に出現する。
( 3 )この用法は近世に入る頃にはいっそう勢力を増すが、一方、これと並んで、単独の名詞としての用法や、[ 一 ][ 三 ]①のような引用句を導く用法は、衰退していく。すなわち、「やう(よう)」は、名詞としての性格が乏しくなり、助動詞的な形式(ようだ)や、[ 一 ][ 三 ]の形式名詞(よう、ように)として用いられることがもっぱらとなっていく。
( 4 )この語は漢語とみるのが一般的だが、和語とみる説もある。
さ‐ま【様・状・方】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙
- ① 人の姿や形。また、顔つきや身なり。
- [初出の実例]「いといたく苦しがりたるさましてゐたまへり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「御さまなども心うく侍れば」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)九)
- ② 物事やあたりの、ありさま。様子。状態。
- [初出の実例]「父母を 見れば貴く 妻子(めこ)見れば かなしくめぐし うつせみの 世の理(ことわり)と かく佐末(サマ)に 云ひけるものを」(出典:万葉集(8C後)一八・四一〇六)
- ③ おもむき。趣向。体裁。
- [初出の実例]「僧正遍昭は、哥のさまはえたれども、まことすくなし」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)
- ④ 品格。がら。身のほど。
- [初出の実例]「此度はいかでかいなび申さむ。人さまもよき人におはす」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「かかる事な云そ。さまにも似ず、いまいまし」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一二)
- ⑤ 方法。手段。
- [初出の実例]「其の祷(いのる)可(べ)き方(サマ)を計(はからく)」(出典:日本書紀(720)神代上(水戸本訓))
- ⑥ 理由。いきさつ。事情。
- [初出の実例]「たびたびの御方違へにことつけ給ひしさまを、いとかういひなし給ふ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)空蝉)
- [ 2 ] 〘 代名詞詞 〙 ( 「きみさま(君様)」の略とも、また「かたさま(方様)」「きさま(貴様)」の略ともいわれる ) 江戸時代、多く遊女と客の間で用いられた語。
- ① 対称。相手に対し親愛の気持をもって呼ぶときに用いる語。男女ともに用いた。
- [初出の実例]「かねのおと、はやかれかしと、ねがひ申たる事に候、とかくさまゆへにて候」(出典:評判記・吉原用文章(1661‐73)一四)
- ② 他称。話し手、相手両者から離れた恋する人をさし示す語(遠称)。あのかた。ぬし。
- [初出の実例]「手やきのかなづち煎餠、様にしんぜて下さりませ」(出典:浄瑠璃・心中刃は氷の朔日(1709)上)
- [ 3 ] 〘 接尾語 〙
- [ 一 ] ( 後世は「ざま」とも )
- ① 体言に付いて、その方向、方面の意を添える。向き。かた。
- [初出の実例]「雨のあしよこさまにさはがしう吹きたるに」(出典:枕草子(10C終)一九七)
- 「ある御所さまのふるき女房の」(出典:徒然草(1331頃)二三八)
- ② 時を表わす体言に付いて、その時分、その時になろうとする頃の意を添える。
- [初出の実例]「夕方様御隙候者、以レ面可レ申也」(出典:康福記‐嘉吉二年(1442)七月一〇日)
- ③ 動詞に付いて、そうする時、また、ちょうどその時の意を添える。
- [初出の実例]「したはれてきにし心の身にしあればかへるさまには道もしられず〈藤原兼茂〉」(出典:古今和歌集(905‐914)離別・三八九)
- 「力なくなをり様(サマ)にはなちたり」(出典:保元物語(1220頃か)中)
- ④ 動詞に付いて、そういう動作のしかたを表わす。方(かた)。様(よう)。ぶり。
- [初出の実例]「八島の鼎の上に、のけさまに落ち給へり」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
- 「カノ ヒトノ イソポニ atarizamaga(アタリザマガ) ワルウテ」(出典:天草本伊曾保(1593)イソポの生涯の事)
- [ 二 ] ( [ 一 ]から転じたもの )
- ① 人の居所、身分、氏名に添えて敬意を表わす語。室町時代から用いられ、「殿(どの)」より丁重な表現であった。
- [初出の実例]「若君さま御館の御子と産れさせ給ふも」(出典:義経記(室町中か)八)
- ② 多く、接頭語「お(御)」「ご(御)」の付いた、体言または準体言に添えて、「こと」の意味を表わす丁寧語。
- [初出の実例]「久しぶりで御無事なお顔お嬉しさまや」(出典:浄瑠璃・夕霧阿波鳴渡(1712頃)上)
様の語誌
( [ 三 ][ 二 ]①について ) 「殿」の表わす敬意が低下し、それに代わって「様」が使われるようになった。室町期においては「様」が最も高い敬意を表わし、「公」に続く三番目に「殿」が位置していた。江戸期には「様」の使用が増加し、「様」から転じた「さん」も江戸後期には多用されるようになる。なお「殿」から転じた「どん」は、奉公人に対してだけ用いる呼称という制約もあり、勢力が拡大しないまま衰退したが、方言として敬意を示すのに使う地域もある。
さん【様】
- 〘 接尾語 〙 ( 「さま(様)」の変化した語 )
- ① 体言または体言に準ずるものに付いて、その方向、方面の意を添える。かた。
- [初出の実例]「膝車に掻込ふで、其処さん此処さん」(出典:歌謡・松の葉(1703)三・祭文)
- ② 人名、職名などに添えて敬意を表わす語。「さま」よりくだけたいい方。
- [初出の実例]「そして父様(ととサン)や母様(かかサン)と、一所に順礼さんすのか」(出典:浄瑠璃・傾城阿波の鳴門(1768)八)
- ③ 体言または体言に準ずるものに添えて丁寧な感じを表わす語。
- [初出の実例]「モシナはばかりさんながら」(出典:洒落本・阿蘭陀鏡(1798)二)
ざ‐ま【様・態】
- [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「さま(様)」の変化した語 ) 様子、格好をののしっていう語。ていたらく。醜態。ざまあ。
- [初出の実例]「コノ イチモンヲ カタムキョウト スル ヤツガ ナッタ zama(ザマ)ワ」(出典:天草本平家(1592)一)
- 「夫れを知らずに今の侍めが、迯げて逝におったざま」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)座摩社)
- [ 2 ] 〘 接尾語 〙 ⇒さま(様)
ざまあ【様】
- 〘 名詞 〙
- ① 「ざま(様)」の変化した語。
- ② 「ざまあ(様)見ろ」「ざまあ(様)見やがれ」などの略。
- [初出の実例]「どれ見せや。ざまア。馬鹿金が半分でもねへ。あのやらうはきついぜへこんぢうの消口をみたか」(出典:洒落本・船頭深話(1802)二)
よ【様】
- 〘 名詞 〙 「よう(様)」の変化した語。
- [初出の実例]「路次々々がはちの巣の様(ヨ)に多い也」(出典:雑俳・たん生日(1705))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「様」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の様の言及
【仏教図像】より
…それまで,輪宝や菩提樹などの象徴的表現によって釈迦を表示していたが,やがて仏像の出現するに及び,釈迦と仏弟子や梵天・帝釈天などの姿形,さらには[仏伝図],本生図中の釈迦およびその事跡や意味を,区別して認識させるために表現上の共通の規範が求められ,ここに仏教図像が成立した。大乗仏教の隆盛に伴い,多種多様の仏・菩薩が派生し,各諸尊間の異同を弁別させるべく,仏教図像は複雑なものへと発展した。しかし当初は各尊の図像上の特徴も厳格なものではなかったが,しだいに固定的な図像が定着し,また新たな図像が成立したりした。…
※「様」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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