(読み)モノ

デジタル大辞泉 「者」の意味・読み・例文・類語

もの【者】

《「」と同語源》人。多く、他の語句による修飾を受ける。卑下・軽視する場合や、改まった場合に用いられる。「店のに言いつけてください」「土地のに任せる」「持てるの悩み」
[下接語]愛嬌あいきょう暴れ者荒くれ者慌て者悪戯いたずら一刻者一徹者田舎者浮かれ者うっかり者うつけ者浮気者えらおいそれ者尋ね者御店おたな調子者おどけ者思い者愚か者囲い者果報者変わり者利け者気紛きまぐれ者・切れ者くせ食わせ者剛の者極道ごくどう困り者小者さらし者る者仕合わせ者したたか者しっかり者忍びの者邪魔者洒落しゃれ小心者小身者れ者好き者ね者粗忽そこつただ立て者たわけ者手の者道化者道楽者流れ者亡き者慰み者何者怠け者ならず者成り上がり者偽者似た者人気者け者のら者馬鹿ばか働き者日陰者引かれ者独り者ひねくれ者無精ぶしょう不束ふつつか回し者昔者無宿者無法者やくざ者厄介者余計者余所よそ与太者利口者律義者若い者若者渡り者笑われ者悪者
[類語]人間人類人倫万物の霊長考えるあし米の虫ホモサピエンス人物人士じん現生人類原始人新人旧人原人ジャワ原人北京原人直立猿人猿人ピテカントロプス

しゃ【者】[漢字項目]

[音]シャ(呉)(漢) [訓]もの
学習漢字]3年
〈シャ〉
人。もの。「医者隠者いんじゃ縁者えんじゃ患者かんじゃ記者業者巧者作者死者識者勝者打者達者長者ちょうじゃ読者武者
物事。事柄。「後者前者
時間を表す語に付ける助字。「往者来者
〈もの〉「小者偽者若者悪者
[名のり]ひさ・ひと
[難読]陳者のぶれば猛者もさ

しゃ【者】

その道に通じた人。其者それしゃ芸者
「桔梗染めの腰がはり、縞繻の帯、―ぢゃわいの」〈浄・油地獄

もん【者】

もの(者)」の音変化。近世後期頃から関東の言葉によく見られる。「若いに任せる」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「者」の意味・読み・例文・類語

もの【者】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「もの(物)」と同語源 ) 人。古来単独で用いられることはごくまれで、多く他の語句による修飾を受けて、形式名詞ふうに用いられる。卑下したり軽視したりするような場合に用いることが多く、また、現代では、「これに違反したものは」「右のもの」など、公式的な文書で用いる。
    1. [初出の実例]「朝妻の ひかの小坂を 片泣きに 道行く茂能(モノ)も 偶(たぐ)ひてぞ良き」(出典:日本書紀(720)仁徳二二年一月・歌謡)
    2. 「おごれる人も久しからず、只春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ」(出典:平家物語(13C前)一)

者の語誌

( 1 )一般に「ひと」に比べて立場や地位の低い人をいうのに用いられるといわれ、平安時代の和文からはそのような傾向がうかがわれるが、厳密ではない。
( 2 )訓点資料では、「者」が人を意味する場合に「モノ」と訓読するようになるのは九世紀末からで、それ以前は必ず「ヒト」と訓んだ。


しゃ【者】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「それしゃ(其者)」の略 ) その道に通じた人。特に、芸者。遊女。
    1. [初出の実例]「けふのしゃこそあしかりつれ。もらへどくれず。こころにもいらぬものと」(出典:評判記・美夜古物語(1656頃))

もん【者】

  1. 〘 名詞 〙 「もの(者)」の変化した語。近世後期頃からの関東のことばによく見られる。
    1. [初出の実例]「わっちは又、外の者(モン)だとおもって大きにお慮外申しました」(出典:滑稽本浮世床(1813‐23)初)

もんの【者】

  1. 〘 名詞 〙 「もの(者)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「しなびて落ちたはたれにやろ、かにやろ、いとしいもんのにやりまんしょ」(出典:黄表紙・大悲千祿本(1785))

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「者」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 8画

(旧字)
人名用漢字 9画

[字音] シャ
[字訓] かくす・もの

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
叉枝(さし)の形+曰(えつ)。上部は叉枝を重ね、それに土を示す小点を加えた形。曰は祝を収めた器。(と)の初文。住居地の周囲にめぐらしたお土居に、呪祝としての書を埋め、外からの邪霊を遮(しやへい)する意。字の全体を象形とみてもよい。中に埋めた呪祝の字を書という。書はに聿(いつ)(筆)を加えた形。城邑にめぐらすものをといい、城壁の方丈の単位をという。〔説文〕は字を白部四上に属し、「事を別つの詞なり」とするが、それはものを特定して指す意で仮借の義。また、金文の字形は(さい)または曰に従う形で、その系統の字である。

[訓義]
1. の初文、お土居、お土居に埋めかくした呪祝、かくす、遮と通じる。
2. ものを特定していう、もの、人にも事物にもいう。
3. ある状態を特定していう、~は、~のときは、~ならば。
4. と通じ、この。
5. 終助詞として、諸と通じる。

[古辞書の訓]
名義抄 モノ・ヒト・ミギ・ハ・アニ/獵 カリヒト 〔立〕 テイレバ・アニ・ヒト・イハ・モノ・シカラバ

[声系]
〔説文〕に声として、(諸)・書・(都)・(署)・(緒)・など二十三字を収める。おおむねあるいは書と声義の関係をもつ字である。なお(煮)は〔説文〕三下(れき)(鬲)に従う字に作り、のちの字形となる。ものを煮る形は庶。廚で鍋を火にかける形。また「遮(さえぎ)る」はもとの初文であるに従うべき字。声符としてと庶(しよ)とが互易することがある。

[語系]
・赭tjyaは同声。の初文で、土を積んで堅めるので赤土の意があり、thia、朱tjio、赤thjyakはその系統の語である。また)tjia、沚tji、州・洲tjiuは水辺の小高いところ、境界をなすところで、と同系の語であろう。

[熟語]
者矣者焉・者回・者箇・者者・者・者番・者辺・者裏・者流
[下接語]
悪者・闇者・医者・隠者・易者・遠者・縁者・王者・往者・歌者・介者・覚者・学者・冠者・宦者・間者・飢者・者・窮者・御者・馭者・狂者・強者・業者・狷者・賢者・古者・夸者・瞽者・巧者・後者・剛者・豪者・兀者・者・者・細者・作者・粲者・使者・識者・儒者・従者・信者・仁者・聖者・昔者・説者・者・賤者・選者・前者・属者・尊者・達者・談者・治者・智者・著者・帝者・適者・者・禿者・日者・曩者・跛者・覇者・卑者・筆者・貧者・仏者・嬖者・僻者・躄者・編者・亡者・墨者・明者・勇者・憂者・傭者・弋者・羅者・廉者・老者・者・論者

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