調(文芸用語)(読み)しらべ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

調(文芸用語)
しらべ

文芸用語。韻律・声調を含めての和歌の音楽性を論ずる場合に用いられる。元来は「琴(こと)の調」というように使われた音楽用語であったが、和歌が朗詠される機会の多い詩であったため、歌論が発達するに伴って歌論用語となった。近世に入って、賀茂真淵(かもまぶち)らが「調」を重視した歌論を展開したが、「調」こそが和歌の本質であるとしたのは幕末の歌人香川景樹(かげき)であった。「歌はことわるものにあらず、調ぶるものなり」(歌学提要)との指摘は歌論史上、画期的な指摘であった。「誠実(まごころ)」が事物に触れておのずから発する音楽が「調」なのであって、それは天地普遍のものであると景樹は説いた。今日の歌論においても、景樹の説をかならずしも踏まえてはいないが、短歌の音楽性に言及する場合に「調」の語は頻繁に用いられている。

[佐佐木幸綱]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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