(読み)かん

精選版 日本国語大辞典 「官」の意味・読み・例文・類語

かん クヮン【官】

〘名〙
① 国家、政府朝廷など、「私」に対する「公」。
今昔(1120頃か)九「官に汝を召す。速に可参し」
② 国の政務や事務を担当する機関役所官庁官衙(かんが)。また、そこにつとめる人。官吏
※文華秀麗集(818)中・奉和傷野女侍中〈藤原冬嗣〉「艷年従官陪層秘、華髪辞栄返故郷
③ 特に太政官(だいじょうかん)の略。
※延喜式(927)八「其臨時祭祝詞、所司随事脩撰、前祭進官経処分、然後行之」
④ 国の政務を担当する職務官職。役目。
※菅家後集(903頃)叙意一百韻「爵我空崇品、官誰只備員」
⑤ 国の政務を担当する時の地位官位。位。
日葡辞書(1603‐04)「Icquan(イックヮン)
⑥ 人の耳、目、鼻、口などの働き。五官。
※造化妙々奇談(1879‐80)〈宮崎柳条〉五「耳は司庁の官(クヮン)なり」

がん グヮン【官】

〘名〙 (「はんがん(判官)」または「ほうがん(判官)」の略からか)
遊里金銭を多く使って豪遊する客。大尽(だいじん)異称
※雑俳・智慧くらべ(1868)「シテシテ様子は・官の御短慮聞く牽頭(たいこもち)
② 特に、大坂遊郭で、たいこもちの異称。〔随筆羇旅漫録(1802)〕

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デジタル大辞泉 「官」の意味・読み・例文・類語

かん【官】[漢字項目]

[音]カン(クヮン)(呉)(漢) [訓]つかさ
学習漢字]4年
公の機関。政府。「官選官庁官立半官半民
公の仕事。役目。「仕官退官任官免官猟官
役人。「官吏宦官かんがん技官警官高官上官神官属官長官武官本官裁判官地方官
身体の働きをつかさどる部分。「官能感官器官五官
[名のり]おさ・きみ・これ・たか・のり・ひろ
[難読]長官かみ判官ほうがん次官すけ

かん〔クワン〕【官】

国の政務を執行する機関。朝廷・政府など。役所。おおやけ。
「―も商売上手やが」〈上司・太政官〉
役所における職務・地位。また、それをつかさどる人。役人。官吏。「に就く」「を辞す」
太政官だいじょうかん」の略。
[類語]政府行政府政庁政権内閣台閣官府官庁官衙かんがくにおおやけかみ

つかさ【官/司】

役所。官庁。「陰陽おんみょうの―」
「―にも許し給へり今宵のみ飲まむ酒かも散りこすなゆめ」〈・一六五七〉
役人。官吏。「国の―」「こおりの―」
「近き所々の御庄みさうの―召して」〈・須磨〉
官職。また一般に、職務。「内侍ないしの―」
「近衛の中将を捨てて申し賜はれりける―なれど」〈・若紫〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【官僚制】より

…官僚制ということばは多義的で,能率的な組織をさすこともあれば逆に組織の非能率をさすこともあり,また専門官吏による行政をさすこともあればこれら専門官吏が権力を掌握している状態をさすこともある。これは官僚制現象自体の動的な性格,構造によるもので,この点を理解すればその意味を整合的に説明することも困難ではない。…

【胥吏】より

…中国,とくに唐・宋以後官僚機構を実際に支えた事務処理者の総称。〈胥〉とは《周礼(しゆらい)》では庶人が官司に出て使役される者をいう。…

【宋】より

…つづく太宗は,太祖の諸政策を継承するとともに,さらにいっそう強化して,宋朝の基盤をかためた。なかんずく,科挙の門をひろげて大量の知識人層を官僚に登用したことは,士大夫階級が政治,社会の指導層として進出する道を開くことになった。 宋朝は中国統一によって国内の平和と繁栄をもたらしたが,対外的にはつねに周辺の新興国家の圧迫をうけた。…

【中国】より


[政治機構――封建と郡県]
 中国の文明はしばしばローマのそれにくらべられ,政治的文明と称せられる。たしかに両者は,多くの少数民族をも含む非常な広域,いわゆる〈天下〉が,中央政府より派遣する官吏によって統一的に統治せられた点で似ている。しかし中国の場合は周囲に先行する高度の文明をもたず,いわば独力で,すこぶる整備した政治機構を作りあげたのである。…

※「官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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