デジタル大辞泉
「眼」の意味・読み・例文・類語
ま‐な‐こ【眼】
《「目の子」の意》
1 目。目玉。「どんぐり眼」「寝ぼけ眼」
2 物事の本質などを見通す力。
「小説に勧懲の徳なきにあらで、読者に読書の―なきのみ」〈逍遥・小説神髄〉
3 黒目。
「その雷虺虺めき、―赫赫く」〈雄略紀〉
4 見える範囲。視界。
「月のすむ空はほかにもかはらぬを―に余る広沢の影」〈六百番歌合・秋〉
[類語]目・アイ
がん【眼】
1 目。まなこ。
2 物事を見て判断する能力。「眼が利く」「私の眼に狂いはない」
3 硯石の表面に現れた紋。
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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ま‐な‐こ【眼】
- 〘 名詞 〙 ( 目(ま)の子の意 )
- ① ひとみ。黒目(くろめ)。
- [初出の実例]「其の雷(かみ)虺々(ひかりひろめ)きて目精(マナコ)赫々(かかや)く」(出典:日本書紀(720)雄略七年七月(前田本訓))
- ② 白目(しろめ)と黒目(くろめ)の総称。目(め)。目玉。眼球。
- [初出の実例]「まなこもこそふたつあれ、ただひとつあるかがみをたいまつる」(出典:土左日記(935頃)承平五年二月五日)
- ③ 見える範囲。眼界。視野。また、物を見る力。視力。
- [初出の実例]「菅の根の 長しと思ふ 春の日すがら まなこをば 霞む山辺に きはめつくし」(出典:曾丹集(11C初か))
- ④ 本質や価値などを見通す力。眼力。
- [初出の実例]「天のまなこ恐ろしく思給へらるる事を」(出典:青表紙一本源氏(1001‐14頃)薄雲)
- ⑤ 物事の中心。
- (イ) 核心をなすところ。要所。眼目。
- [初出の実例]「連歌のまなこは失せて、ただふつつかに並べおきたる物に成り行きけり」(出典:ささめごと(1463‐64頃)上)
- (ロ) 中心となる土地。中心地。
- [初出の実例]「難波津に、爰も眼(マナコ)の内本町」(出典:浄瑠璃・夏祭浪花鑑(1745)四)
眼の語誌
→「め(目)」の語誌
がん【眼】
- 〘 名詞 〙
- ① ものを見るはたらきをする器官。まなこ。め。
- [初出の実例]「其日記に有るをよん所として、さのみ我が眼(ガン)の力にあらず」(出典:随筆・胆大小心録(1808)九三)
- [その他の文献]〔史記‐伍子胥伝〕
- ② 物事を見わける能力。眼力。判断力。
- [初出の実例]「正面だと眼(ガン)がごまかせねえ」(出典:歌舞伎・日月星享和政談(延命院)(1878)六幕)
- ③ かなめ。要点。主眼。眼目。
- [初出の実例]「久の字、長の字が眼ぞ」(出典:足利本論語抄(16C)里仁第四)
- ④ あな。
- [初出の実例]「赤座の眼(ガン)のなかで水をくぐり呼吸を吐きに浮び」(出典:あにいもうと(1934)〈室生犀星〉)
- [その他の文献]〔歳華紀麗‐七夕〕
- ⑤ 硯(すずり)石の紋。
- [初出の実例]「唐土の硯石は、眼(ガン)と云事有りて、石に星の有るを珍重す」(出典:随筆・北窓瑣談(1829)後)
- [その他の文献]〔欧陽脩‐硯譜〕
- ⑥ =め(目)[ 一 ][ 五 ]①(ハ)〔模範新語通語大辞典(1919)〕
げん【眼】
- 〘 名詞 〙
- ① 視覚をつかさどる感覚器官。目。特に仏語としては、視覚的認識をもいう。
- [初出の実例]「一耳はきき、一耳はとく、一舌はとき、一舌はきく、乃至眼耳鼻舌身意、根・識・塵等もかくのごとし」(出典:正法眼蔵(1231‐53)自証三昧)
- [その他の文献]〔般若心経〕
- ② 「げんきょく(眼曲)」の略。
- [初出の実例]「くずのはかま 亡父曲作書・但眼」(出典:五音(1434頃)下)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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普及版 字通
「眼」の読み・字形・画数・意味
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
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眼
め
eye
光を感受する特殊な知覚器官。無脊椎動物ではミドリムシの光受容器(→眼点),ミミズの散漫光感覚器官,タコなど頭足類の発達したカメラ眼,節足動物の複眼など,いろいろな段階の眼が知られている。脊椎動物では視覚を脳の視覚中枢へ伝える器官(眼球,視神経,付属器)のことをさす。眼の種類は,発生学的には皮膚眼と脳壁眼に分かれ,機能的には投射光の強さばかりでなく,方向も感受できる方向視と,対象物がなにかを把握できる形態視がある。
方向視は,軟体動物や刺胞動物,棘皮動物,その他の無脊椎動物の多くにみられる。仕組みはさまざまであるが,一般に一つかそれ以上の視細胞と,色素細胞からなる盾をもつ。この盾はコップ型をしており,感覚器官を取り囲むように配置され,ある方向からきた光だけを察知するようになっている。形態視はほぼすべての脊椎動物,一部の軟体動物(頭足類,二枚貝類など)と節足動物のほとんどでみられる。脊椎動物の眼の基本構造は水晶体と網膜で,水晶体にあたった光が網膜に像を結ぶ。網膜の視細胞は,光の明るさの違いをさまざまな強さの電気信号に変換して脳へと伝える。普通,脊椎動物は一対の眼をもっている。節足動物では複眼で形態視を行ない,昆虫類と甲殻類において最も進化した。複眼は個眼と呼ばれる独立した小さな眼が蜂の巣状に多数集合してできている。個眼の構造は脊椎動物のそれと似ており,おもにレンズの役割をする水晶体と,光を感受する感桿,色素細胞などからなる。個々の水晶体が受け取る光の範囲が少しずつ重なるため,複数の像を結ぶが,脳でデジタル的な視覚処理が行なわれていると考えられ,動体視力に優れている。軟体動物であるタコの眼は脊椎動物とは発生の過程が異なるが,水晶体と網膜,虹彩などがあり,優れた形態視の能力をもつ。
ヒトの眼は優れた形態視の能力をもち,構造的には眼球,視神経,付属器からなる。眼球はほぼ球体であり,側面と後部が不透明,正面は透明になっていて,ここから光が入ってくる。眼球の構造は大きく分けて 3層の膜と内容物からなり,外側から (1) 外膜(角膜,強膜),(2) ブドウ膜(脈絡膜,毛様体,虹彩),(3) 網膜となっていて,内容物として眼房水,水晶体,硝子体がある。角膜は透明な皿状の膜で,光を眼球に通す屈折装置として働く。強膜は強力な結合組織からなる。角膜とひと続きになって眼球を保護するとともに,眼圧を一定に保っている。強膜のすぐ下にある脈絡膜はメラニン色素と血管が豊富で,外界の光線を遮断するとともに,眼のあらゆる場所に栄養を送る働きをしている。脈絡膜に続く毛様体は水晶体の厚みを変える筋肉組織で,焦点を合わせるピントの働きをする。虹彩は瞳孔から入ってくる光の量を調節する絞りに相当する。
網膜は,カメラのフィルムに相当する。10層構造からなり,内側は硝子体に接している。外側は,明暗を感じる杆状体と色彩を感じる錐状体からなる視細胞の層で,中心窩に像を結ぶ。この中心窩には多数の錐状体が集まっており,非常に鮮明な像をつくりだす。像はここで光エネルギーから電気信号に変換され,視神経乳頭から視神経へと入り,脳の視覚中枢に達する。付属器には眼瞼(まぶた),睫毛(まつげ),結膜,涙器,眼筋などがあり,おもに眼球の保護に役立っている。
視覚に関する一般的な障害は屈折異常で,近視,遠視,乱視がある。近視では,網膜の手前の硝子体に焦点が結ばれてしまう。逆に遠視では,網膜より後方に焦点が結ばれる。乱視は,角膜の湾曲の欠陥が原因で起こる。これらの視覚障害は,眼鏡やコンタクトレンズで矯正できる。また,視力の低下する夜盲症や色覚異常などがある。これらの障害の原因には先天性と後天性の両方が認められる。さらに,眼に悪影響を及ぼす病気は数多くある。たとえば,眼球の運動や位置を司る外眼筋の調節が神経の麻痺などでそこなわれると,斜視になる。糖尿病に併発するのが糖尿病性網膜症で,失明率が高い。高齢者に多いのが緑内障で,眼球内の圧力が増したために起こり,失明にいたることもある。このほか感染症による障害も多く,感染部位によって多くの種類がある。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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