精選版 日本国語大辞典「かんかん」の解説
かん‐かん
[1] 〘副〙 (「と」を伴って用いることもある。古くは「くゎんくゎん」とも表記した)
① 金属や石などの堅い物がぶつかって出す音を表わす語。
※詩学大成抄(1558‐70頃)六「隣もないはなれ家にかんかんと物すがう打た心ぞ」
※吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉四「象牙の箸で菓子皿の縁をかんかん叩いて」
② 日の光が強く照りつけるさま、また、灯火などが明るく照り輝いているさまを表わす語。
※浄瑠璃・七小町(1727)二「くゎんくゎんとした日和を打返したしだら電」
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉三「あかりがかんかんついてゐますが」
③ 炭火などが勢いよくおこるさまを表わす語。
※真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉六八「かんかんと火が起ってをります」
④ はげしく怒るさまを表わす語。
※犬喧嘩(1923)〈金子洋文〉一「『野郎、ここさ来(け)え』と忠さんはかんかん憤って」
⑤ 心のはればれとしたさまを表わす語。
※浮世草子・諸芸独自慢(1783)二「頭にあいた穴より、疝気が抜けましたか、今はくゎんくゎんするやうに成りました」
⑥ たたけば音がしそうに堅いさまを表わす語。
[2] 〘形動〙
① 日の光が強く照りつけたり、炭火が勢いよくおこったりするさま。
② 強く腹を立てているさま。はげしく怒るさま。「かんかんになる」の形で用いられることが多い。
※大阪の宿(1925‐26)〈水上滝太郎〉一「養父の院長がかんかんに怒ってしまったので」
③ (たたいたときの音から) 硬く凍ったさま。
※海に生くる人々(1926)〈葉山嘉樹〉一「余り動かない部分をかんかんに凍らせた」
[3] 〘名〙 (その音から) 鐘をいう。
※浄瑠璃・小野道風青柳硯(1754)三「鉦(カンカン)が鳴る、仏(のの)参ろ、と仏頼むも死神の」
かん‐かん
〘名〙 幼児語。
② (「か(噛)み」から) 噛むことをいう。かみかみ。
④ かわいいことをいう。
かん‐かん
〘名〙
① (古くなって、材質が硬くなったさまからか) 古い帽子。
② 「かんかんぼう(━帽)」の略。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報