馬(読み)バ

デジタル大辞泉 「馬」の意味・読み・例文・類語

ば【馬】[漢字項目]

[音]バ(漢) メ(呉) マ(唐) [訓]うま ま
[学習漢字]2年
〈バ〉
1 うま。「馬車・馬術・馬力/愛馬・悍馬かんば・騎馬・牛馬・曲馬・軍馬・競馬・車馬・乗馬・駄馬・調馬・天馬・白馬はくば・牝馬ひんば・兵馬・名馬・木馬・落馬・驢馬ろば・老馬」
2 卑しいもの。「馬齢/犬馬」
〈メ〉うま。「駿馬しゅんめ・神馬・牛頭馬頭ごずめず」
〈うま〉「馬市・馬方/荒馬・竹馬・種馬・早馬」
〈ま〉「馬子まご/絵馬えま」
[名のり]たけし
[難読]白馬あおうま・馬酔木あしび・あせび・海馬セイウチ・但馬たじま・馬喰ばくろう・馬穴バケツ・馬謖ばしょく・馬銜はみ・馬刀貝まてがい・馬手めて・馬陸やすで・流鏑馬やぶさめ・羅馬ローマ

うま【馬】

《「馬」の字音「マ」から変化したものという。平安時代以降「むま」と表記されることが多い》
1 奇蹄きてい目ウマ科の哺乳類。体は一般に大形で、顔が長く、たてがみがあり、長い毛の尾がある。力強く、走ることが速い。古くから家畜とされ、農耕・運送・乗用・競馬などに用いられ、肉は食用。東洋種の蒙古馬もうこうま・朝鮮馬、日本在来種の木曽馬・北海道和種、西洋種のアラブ(アラビア馬)・サラブレッド・ペルシュロンなどがある。こま。
2 踏み台。脚立きゃたつ。
3 競馬。
4 将棋で、桂馬または成角なりかくの略称。
5 《「付け馬」の略》料理屋などで、勘定の未払いを取り立てるために客の家までついて行く者。
6 動植物などの同類の中で、大きなものの意を表す語。「馬すげ」「馬ぜみ」
[類語]駒・牡馬ぼば・牝馬ひんば・子馬・小馬・若駒・名馬・麒麟・駿馬・優駿・駄馬・駑馬どば・白馬・青馬・軍馬・競走馬・馬車馬・輓馬ばんば・引き馬・裸馬・放れ馬・暴れ馬・荒馬・奔馬・種馬・当て馬・縞馬・驢馬ろば・騾馬らば
[補説]作品名別項。→馬

うま【馬】[映画]

山本嘉次郎監督による映画の題名。昭和16年(1941)公開。チーフ助監督として黒沢明が参加。東北の農村を舞台に、馬を育てる少女を姿をドキュメンタリータッチで描く。出演、高峰秀子、藤原鶏太ほか。

ま【馬】

うま。
「青の―放れば取りつなげ」〈催馬楽・青馬〉
[補説]現代では、「絵馬」「馬屋まや」のように複合語として用いられる。

むま【▽馬】

⇒うま

ま【馬】[漢字項目]

⇒ば

め【馬】[漢字項目]

⇒ば

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精選版 日本国語大辞典 「馬」の意味・読み・例文・類語

うま【馬】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 ( 「馬」の字音「マ」の転じたものという。平安以降、「むま」と表記した例が多い )
    1. ① ウマ科の家畜。体高一・二~一・七メートルぐらい。首は長く、まえがみとたてがみがあり、尾は長毛で覆われ、草食性で臼歯(きゅうし)が発達している。体毛は褐色、黒色、赤褐色、白色などで、古くから鹿毛(かげ)、青毛、栗毛、葦毛(あしげ)などと呼ばれる。ヨーロッパ、アジアの原産で、世界各地で家畜として飼育。品種はアラブ、サラブレッドなど数十種あり、日本産のものでは、南部馬、三春馬(みはるうま)、最上馬、仙台馬などが知られていたが、現在なお、在来種の面影を保っているのは、木曾馬、御崎馬(みさきうま)などだけである。農耕、運搬、乗馬、競馬などに用いられるほか、肉は食用、皮は革製品にされる。こま。
      1. 馬<b>[ 一 ]</b><b>①</b>〈武用弁略〉
        馬[ 一 ]①〈武用弁略〉
      2. [初出の実例]「宇摩(ウマ)ならば ひむかの駒」(出典:日本書紀(720)推古二〇年正月・歌謡)
      3. 「我がむまをば奉りて、御供に」(出典:源氏物語(1001‐14頃)夕顔)
    2. ② ( 座興、または芝居として ) 馬のまねごとをすること。また、その役。
      1. [初出の実例]「上御二女御廬一遊戯、余為レ馬、上乗レ之、上為レ馬、女御乗レ之」(出典:台記‐久安六年(1150)二月一四日)
      2. 「はじめての役者なれば、人らしき芸はならず、きり狂言の馬になりて」(出典:咄本・鹿の巻筆(1686)三)
    3. ③ 馬をかたどったり、馬の名称を用いたりした玩具、遊戯用具や道具。
      1. (イ) 馬の形に似せて作った玩具。木馬などをはじめ、その種類はきわめて多い。
      2. (ロ) 踏み台や脚立の俗称。
      3. (ハ) 体操用具の一つで鞍馬(あんば)のこと。
      4. (ニ) すごろくのこま。
        1. [初出の実例]「所避(さ)りたる物忌・むまおりぬ双六」(出典:枕草子(10C終)一三九)
      5. (ホ) 将棋のこまで、桂馬または、成角(なりかく)(=龍馬)の略。〔日葡辞書(1603‐04)〕
      6. (ヘ) 天正カルタ、ウンスンカルタ、めくりカルタの組み札の一つで、騎馬の絵があるもの。
        1. [初出の実例]「馬四枚は文殊、普賢、観音、勢至」(出典:咄本・鹿の巻筆(1686)一)
    4. ④ 紋所の名称の一つ。馬にかたどったもの。放馬(はなれうま)、羈馬(つなぎうま)などがある。
    5. ⑤ 馬に似ていたり、馬を連想させたりするもの。
      1. (イ) ( 馬のように大きいという意から ) 姿や形が大きすぎるもの。
        1. [初出の実例]「馬ほどななりでおどり子よばりなり」(出典:雑俳・柳多留‐七(1772))
      2. (ロ) 大きな男根、また、その所有者をいう隠語。
      3. (ハ) 遊女。
        1. [初出の実例]「一説に女郎のゐめうを馬といふ、心は人をのせてすくるといふ事也とぞ」(出典:浮世草子・好色伊勢物語(1686)三)
      4. (ニ) ( 馬の腹帯に似ているところから ) 月経時に用いる丁字形の帯。転じて、月経。おうま。
        1. [初出の実例]「二の午は娘勝手をよく覚え」(出典:雑俳・柳多留‐三七(1807))
    6. ⑥ 遊女屋、料理屋などで、勘定不足または不払いの代金を取り立てるために客について行く者。つけうま。つきうま。
      1. [初出の実例]「借豆をくった跡から馬かつき」(出典:雑俳・柳多留‐四二(1808))
    7. ⑦ 「うまおい(馬追)②」の略。
      1. [初出の実例]「上(うは)をきの干葉刻(きざむ)もうはの空〈野坡〉 馬に出ぬ日は内で恋する〈芭蕉〉」(出典:俳諧・炭俵(1694)下)
    8. ⑧ 競馬(けいば)をいう。
      1. [初出の実例]「馬には勝って金はあるからこの前の借金は払ふのだし」(出典:冬の宿(1936)〈阿部知二〉一四)
  2. [ 2 ] 〘 接頭語 〙 動植物などで、同種類のもののうち大きなものを表わす語。「うまびる」「うまうど」「うまぜり」

馬の語誌

神馬として神社に奉納されたり、競馬により豊凶を占ったりする神聖な動物であると同時に、軍事・交通・農耕などの面にわたって実用的な動物でもある。年中行事にも「白馬の節会」「駒牽き」「競べ馬」「駒迎え」など馬が登場するものが多く見られる。鎌倉から室町時代にかけては「流鏑馬」「笠懸け」「犬追物」というような弓馬の術が栄えた。中古以降、歌語は「こま」。


むま【馬】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ① ⇒うま(馬)
  3. ② 将棋で、駒の古称。
    1. [初出の実例]「しやうきのむまわうしやうをあらためて、大しやうになされ候へのよし申さるる」(出典:御湯殿上日記‐文祿四年(1595)五月五日)

ま【馬】

  1. 〘 名詞 〙 馬(うま)。
    1. [初出の実例]「青の馬放れば取り繋げさ青の万(マ)放れば取り繋げ」(出典:催馬楽(7C後‐8C)青馬)

おま【馬】

  1. 〘 名詞 〙 「うま(馬)」の変化した語。
    1. [初出の実例]「コリヤア下町(したまち)のさか屋のおまよ」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)二)

め【馬】

  1. 〘 名詞 〙 うま(馬)。
    1. [初出の実例]「象、馬(メ)(〈注〉ムマ)、車乗、牛、羊、無数なり」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)二)

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普及版 字通 「馬」の読み・字形・画数・意味

馬
常用漢字 10画

[字音] バ・マ・メ
[字訓] うま

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 象形
卜文・金文の字形は、(たてがみ)のある馬の形。〔説文〕十上に「怒るなり。武なり」と馬と畳韻の語を以て解する。馬を陽物とし、音義説を以て解するものであるが、語義との関係はない。〔左伝、襄六年〕に、宋では司馬のことを司武と称しており、その古音が近かったのであろう。

[訓義]
1. うま。
2. 投壺のかずとり。
3. 罵(ば)と通じ、ののしる、わるい。

[古辞書の訓]
〔和名抄〕馬 无万(むま)。南方の火畜なり 〔立〕馬 イカル・ムマ・コマ・ワタル

[部首]
〔説文〕馬部に・駒以下百十五字、〔新附〕に五字を属し、〔玉〕には二百七十七字を属する。西北諸族との交渉も多くなり、馬政の上にも多くの文字を必要とするようになったのであろう。

[声系]
〔説文〕に馬声として・罵など四字を収める。(ば)は師祭、軍を出すときに行う。罵は罵詈(ばり)と連ねて用いる。詈は祝詞を示す言に网(あみ)をかけて行う呪詛をいう字。罵も馬に网する形で、何らか呪詛的な行為を意味する字であったのであろう。・罵は馬の亦声の字である。

[語系]
〔説文〕にいう馬mea、怒na、武miuaはみな魚韻の字であるが、通用の関係がなく、〔説文〕は馬を怒・武を以て解するが、意味上の関連はない。

[熟語]
馬印▶・馬革▶・馬褐▶・馬乾▶・馬伎▶・馬戯▶・馬脚▶・馬廏▶・馬圉▶・馬▶・馬群▶・馬圏▶・馬甲▶・馬猴▶・馬▶・馬策▶・馬▶・馬矢▶・馬歯▶・馬市▶・馬屎▶・馬肆▶・馬耳▶・馬射▶・馬首▶・馬酒▶・馬▶・馬乗▶・馬上▶・馬食▶・馬捶▶・馬▶・馬芻▶・馬声▶・馬政▶・馬前▶・馬足▶・馬賊▶・馬帯▶・馬站▶・馬通▶・馬▶・馬逓▶・馬▶・馬図▶・馬桶▶・馬鐙▶・馬乳▶・馬排▶・馬肥▶・馬匹▶・馬糞▶・馬兵▶・馬癖▶・馬鞭▶・馬歩▶・馬棚▶・馬勃▶・馬容▶・馬闌▶・馬欄▶・馬糧▶・馬▶・馬力▶・馬鈴▶・馬齢▶・馬櫪▶・馬鹿▶・馬勒▶・馬子▶・馬帳▶・馬路▶・馬瑙▶
[下接語]
愛馬・鞍馬・佚馬・飲馬・駅馬・宛馬・介馬・快馬・海馬・瞎馬・悍馬・冀馬・騎馬・弓馬・休馬・廏馬・拒馬・圉馬・金馬・駆馬・駒馬・軍馬・下馬・競馬・犬馬・蹇馬・胡馬・貢馬・駛馬・駟馬・車馬・戎馬・出馬・駿馬・乗馬・神馬・迅馬・騅馬・征馬・馬・洗馬・戦馬・前馬・走馬・相馬・馬・駄馬・代馬・痴馬・馳馬・竹馬・馬・調馬・騁馬・天馬・伝馬・駑馬・頓馬・白馬・肥馬・牝馬・馬・風馬・文馬・兵馬・牡馬・僕馬・名馬・木馬・野馬・遊馬・養馬・騾馬・落馬・竜馬・馬・櫪馬・驢馬・老馬

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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