(読み)ジン

デジタル大辞泉 「仁」の意味・読み・例文・類語

じん【仁】

思いやり。いつくしみ。なさけ。特に、儒教における最高徳目で、他人と親しみ、思いやりの心をもって共生きょうせいを実現しようとする実践倫理。「智・・勇」
「―ある君も用なき臣は養ふ事あたはず」〈浄・国性爺
ひと。→御仁ごじん
「若いに似合わぬ物の分った―だ」〈有島或る女
果実の核。さね。たね。にん。
細胞の内にある1個から数個の粒状構造。主にRNAたんぱく質とからなる。核小体
[類語](1愛情愛着情けじょう情合い情愛情味人情人情味温情恩情厚情思いやりいつくしみ慈愛仁愛仁恵仁慈仁心慈悲あわれみ哀憐同情/(2人間ひと人類人倫万物の霊長考えるあし米の虫ホモサピエンス人物人士もの現生人類原始人新人旧人原人ジャワ原人北京原人直立猿人猿人ピテカントロプス

じん【仁】[漢字項目]

[音]ジン(漢) (慣) ニン(呉)
学習漢字]6年
〈ジン〉
他者への思いやり。情け。「仁愛仁義仁君仁慈仁術仁道仁徳寛仁不仁
人。また、人を敬っていう語。「仁兄御仁
〈ニン〉
思いやり。「仁徳
果実のさね。「杏仁きょうにん・あんにん桃仁
[名のり]きみ・きむ・さと・さね・しのぶ・ただし・と・とよ・のり・ひさし・ひと・ひとし・ひろし・まさ・まさし・み・めぐみ・めぐむ・やすし・よし
[難読]親仁おやじ仁王におう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「仁」の意味・読み・例文・類語

じん【仁】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 孔子の道徳の根本原理。親に親(した)しむという自然の親愛の情を、万人にひろめ及ぼした道徳的心情。
    1. [初出の実例]「『妖は徳にかたず』『仁は百禍を除く』などいへり。仏天よく信力を感じたまふゆゑ也」(出典:十訓抄(1252)六)
    2. [その他の文献]〔礼記‐礼運〕
  3. 愛情を他に及ぼすこと。いつくしみ。なさけ。思いやり。
    1. [初出の実例]「六曰。〈略〉其如此人。皆无於君。无於民。是大乱之本也」(出典:十七箇条憲法(604))
    2. [その他の文献]〔易経‐乾卦〕
  4. 仁道を行なう人。仁者。有徳の人。
    1. [初出の実例]「親にて候し者仁にあらず分限もなかりしかども」(出典:御伽草子・鴉鷺合戦物語(室町中))
    2. [その他の文献]〔春秋左伝‐隠公六年〕
  5. ひと。にん。
    1. [初出の実例]「変化(へんげ)の物つかまつらんずる仁は頼政ぞ候」(出典:平家物語(13C前)四)
    2. [その他の文献]〔論語‐雍也〕
  6. 果実の核。さね。たね。
    1. [初出の実例]「郁李仁〈略〉六月に根を採る、実は核中の仁をとり用」(出典:和名集并異名製剤記(1623))
    2. [その他の文献]〔恵洪‐春去詩〕
  7. 細胞核に含まれる一~数個の球形または棒状の小体。おもに蛋白質リボ核酸とからなり、デオキシリボ核酸を含まないので染色仁と区別される。作用については明らかでない。〔癌(1955)〕

仁の語誌

( 1 )「仁」は、漢音ジン、呉音ニンである。これは「人」と同様で、等のように「仁・人」両字が相通じて使用される場合がある。
( 2 )孔子は、天から人間に与えられた人間の本性の働きで、たんなる情念ではなく、知と勇とをかねそなえ、克己復礼、孝悌、敬、忠恕、愛などに表現され、また制度としての礼の中にも具体化されるとした。


にん【仁】

  1. 〘 名詞 〙
  2. にんじゃ(仁者)
    1. [初出の実例]「仁(ニン)(〈注〉キミ)の、龍宮にゆきて、化せるところの衆生」(出典:妙一本仮名書き法華経(鎌倉中)五)
  3. じん(仁)〔書言字考節用集(1717)〕 〔顔氏家訓‐養生〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「仁」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 4画

[字音] ジン・ニン
[字訓] したしむ・いつくしむ・めぐむ

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
人+二。〔説文〕八上に「親しむなり」とし、「人二に從ふ」と二人相親しむ意とする。金文や、〔説文〕に古文として録する字形は、人が衽(しきもの)を敷いている形で、二人相人偶するという形ではない。〔儀礼、士昏礼〕「衽を奧に(すす)む」の注に「臥席なり」とあり、衽席を用いて安舒であることから、和親・慈愛の意が生まれたのであろう。一般に徳目に関する字は、正は征服、義は犠牲、(道)は道路の修祓、(徳)は省(いつせい)巡察を原義とするもので、具体的な行為や事実をいうものであった。のち次第に抽象化して、高度の観念に達する。仁もまた衽席(じんせき)によって和むことから、和親・仁愛の意に展開したものであろう。

[訓義]
1. したしむ、なごむ。
2. いつくしむ、めぐむ。
3. あわれむ、おもいやり、なさけぶかい。
4. うるおう、うるおいがある。
5. 人としての徳、最高の徳。
6. 果物のさね。

[古辞書の訓]
名義抄〕仁 キミ・ナムヂ・ヒト・ウツクシブ・メグム・ムツマジ・ヨシ・ヨロコブ・ユルス・シノブ・タフトシ/不仁 カタネ・アシタタズ

[語系]
仁・人njienは同声。衽njimも声が近い。金文の仁の字形にみえる二の形は、卜文の(し)(肉の象)や(酒の形)の下に、往々にして二直線を加えている例があり、その席を加えた形と考えられる。仁の古い字形も、人の下に衽席を敷く形で、人を安舒にする意がある。二人を仁となすというような観念的な造字法は、古代にあってはその例をみない。

[熟語]
仁愛・仁簡・仁義・仁誼・仁矜・仁謹・仁君・仁兄・仁恵・仁賢・仁姑・仁厚・仁公・仁侯・仁孝・仁士・仁祠・仁慈・仁者・仁弱・仁寿・仁恤・仁譲・仁心・仁人・仁政・仁聖・仁声・仁惻・仁沢・仁智・仁弟・仁篤・仁憫・仁風・仁聞・仁明・仁勇・仁宥・仁誉・仁廉・仁和・仁柔
[下接語]
温仁・懐仁・寛仁・帰仁・求仁・三仁・至仁・慈仁・質仁・周仁・淳仁・深仁・親仁・聖仁・体仁・篤仁・不仁・輔仁・友仁・里仁

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「仁」の意味・わかりやすい解説

仁 (じん)
rén

中国古代思想,とくに儒家思想の最も重要な倫理・政治上の概念。金文では,古文ではと書き,これらの字形の象徴の解釈をめぐり,背に荷物を背負った身体障害者の形象であり,重任にたえる意,忍耐の意に転じたとする説,あるいは〈〉は数の二とせず,点を重ねたもので,人の座する衽席(じんせき)(しきもの)の象(かたち)を示すものとし,衽席の安舒(あんじよ)の状態から和親の意に転じたとする説などがあり,字源解釈は一定しないが,ふつうは人が二人ならぶ象と解し,人と人とが親しみあっているようすとする。

 中国思想史上この仁に深遠な内容が付与されて重要な意味をもつようになったのは春秋時代前後からである。孔子が仁を自己の思想の核心を表現する概念として定立してより,孔子学派では〈人間らしさの極致〉を表徴する最高の徳目となった。仁の内容について孔子自身いろいろに説くが,〈己立たんと欲して人を立てる〉ことと説かれ,〈己の欲せざる所は人に施すことなかれ〉という〈恕(じよ)〉の精神をうちに含む愛を基本として,〈人を愛する〉ことと一般化される。儒家は愛に差等を設けることを是認するから,子の親に対する愛である〈〉の実践が仁を実現する第1段階であるとされ,身近なものへの愛から出発して,その愛の及ぶ範囲を順次拡大してゆけば,終極的には人類愛に到達すると考える。〈兼愛〉(無差別の愛)を主張する墨子からはこの〈仁愛〉は〈別愛〉(差別愛)だと批判される。家族愛や愛国心は必ずしも人類愛と相いれるものではないことからの批判である。

 また孔子は人間が社会的存在であるとの認識と相まって,〈克己復礼〉すなわち己のわがままにうちかって,社会的規範たる礼に従うことが仁だとも説く。性善説を唱える孟子は墨子の兼愛を自己の親と他人の親とを区別しない〈禽獣の愛〉と攻撃しつつ,孔子の仁説を発展させる。仁の根拠を人の心すなわち人の不幸を黙視しえぬとする〈人に忍びざるの心〉に求めた。孔子は個人のあり方にかかわって仁を説くが,孟子は社会的妥当性を意味する〈〉に仁と対等の価値を与え,〈仁義の道〉を説き,〈人に忍びざるの心〉にもとづく〈人に忍びざるの政〉の実現を目ざすのが真の〈王者〉の任務であると主張するにいたった。この〈仁政〉の主張は〈人間らしさ〉のあらわれである仁は個人の努力,あり方のみで具現されるものではなく,政治等の社会的諸力に裏打ちされてより高度に達成されるとの認識を背後にもっている。

 その後宋代になると,仁説は独自の哲学的展開をとげ,周敦頤(しゆうとんい)(濂渓)は宇宙論的に仁を解釈して,人類の最高規範とし,程顥(ていこう)(明道)は仁を人のうちにある〈天の元(げん)〉ととらえ,この〈元〉の生々流行を仁の本質とした。程頤(ていい)(伊川)は仁を〈理〉といい,〈公〉と説き,程頤の説をついだ朱熹(子)が〈仁は愛の理,心の徳である〉と定義づけたのは,愛を作用と見,仁を本体と見る立場に立っているからである。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「仁」の意味・わかりやすい解説


じん

中国倫理思想の重要概念。もっとも素朴な用法は、『詩経』叔于田(しゅくうでん)に、男を褒めて「まことに美且(か)つ仁」という表現である。「愛情深い」「親切な」などの意であろう。孔子は仁をもって最高の道徳、日常生活に遠いものではないが、容易に到達できぬものと考えた。孔子は弟子の問いに対して仁をさまざまに定義する。若い燓遅(はんち)に対しては「人を愛すること」といい、もっとも優秀な顔回(がんかい)に対しては「己れに克(か)ち(己れを克(よ)くし)礼に復(かえ)る」という(ともに『論語』顔淵(がんえん)篇(へん))。前者は外に対しての行為、後者は自己の内なる修養をさす。具体的な心構えとしては、仲弓(ちゅうきゅう)の問いに答えて「己れの欲せざるところ、これを人に施すなかれ」(顔淵篇)というのがもっともわかりやすい。つまり思いやりの心で万人を愛するとともに、利己的欲望を抑え礼儀を履行すること。ただし万人を愛するといっても、出発点は肉親への愛にある。「孝弟(悌)(こうてい)なる者はそれ仁の本(もと)たるか」(学而(がくじ)篇)。孟子(もうし)は、仁の徳の源は人間性に内在する惻隠(そくいん)の心(赤ん坊が井戸に陥りかけているのを反射的に抱きとめる心)にあると説く。孟子は、人間性に根ざす主要徳目として仁義礼智(ち)の四つを数える。漢の董仲舒(とうちゅうじょ)などは、これに信を加えて五つとする(五常(ごじょう))。これには五行説の影響もあろう。『漢書(かんじょ)』律歴志(りつれきし)によれば、仁=春(木)、義=秋(金)、礼=夏(火)、智=冬(水)、信=中央(土)。春の草木を生育させる暖かさと、仁すなわち愛の徳との連想による。

[本田 濟]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「仁」の意味・わかりやすい解説

仁(哲学)【じん】

儒教の徳目の中で最高位にあるものであるが,その内容や定義は経典にもはっきりとは書かれていない。《書経》《詩経》《易経》にも仁の語はみえ,《論語》には100回以上使用されている。各書におけるおもな規定,すなわち〈己(おのれ)に克(か)ち礼を復(おさ)む〉〈博く愛す〉(《論語》),〈愛なり〉(《墨子》),〈仁は人心なり〉(《孟子》)などから推せば,対人関係において博愛と福利の理想を達成することといえようが,孟子が義を仁と同等視して〈仁義の道〉を説くことに見えるように,社会性を重視する契機も無視できない。
→関連項目顔回兼愛説

仁【じん】

核小体

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「仁」の意味・わかりやすい解説


じん
ren

儒教が主張した愛情の一形態。愛とは,他人を大切に思い,いつくしむ感情をさす語である。それとは別に仁という語が成立しているからには,仁と愛とは同義ではない。語源については,一般には,仁とは,人間の姿を示す象形文字であるが,(太古においては,他部族の者は人ではないから) 自分の身近にいる親しい間柄の「仲間」,または,二人の人と人との間の愛情の意味,といわれる。儒教でも,仁をほぼ同様の意味で用いている。「克己復礼」,すなわち,私的なわがままを押えて,礼すなわち社会的規範に従うことが仁である,と孔子が述べているように,仁という愛では他人との身分的境界が常に意識され,礼という公の規準が先行している。したがって,普遍的な人間愛 Humanismや仏教の平等愛である慈悲などとは違う。儒家が,墨子の説いた兼愛を,親子君臣の区別を無視する態度だとして非難していることからも,仁が身分的隔差と上下関係を前提とした愛情,礼を基準にもつ愛情であることが知られる。現代語では,血縁愛,同朋愛などがあたるであろう。


じん
nucleolus

細胞の核の中に,染色糸とは別に1~数個ある粒状体。小核ともいい,また核小体の語が比較的多く用いられるようになってきた。リボ核酸と蛋白質を含み,ことに塩基性蛋白質と各種酵素が多い。仁を真正仁,染色仁,両性仁に分けるが,染色仁は染色体が異常凝縮したもの,両性仁は真正仁と染色体の一部が接着したものであるから,狭義には仁は真正仁をさす。真正仁は光の屈折率が高く,生細胞でも認めやすい。形は球形のものが多いが,そのほか不定形でアメーバ運動をするものもある。比重は核中最大である。核分裂の中期で仁が見えなくなるのは,仁が小さくこわされ,核液と混るためである。また終期には染色体上の仁形成体によってつくられるといわれる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

旺文社世界史事典 三訂版 「仁」の解説


じん

孔子の教えが究極の目標とする政治上・倫理上の理想
すべての徳を統べる主徳で,孝悌 (こうてい) に始まり,忠恕 (ちゆうじよ) をへて,仁愛に至る。

出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報

栄養・生化学辞典 「仁」の解説

 (1) 果実の核の中にある部分.(2) →核小体

出典 朝倉書店栄養・生化学辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【ゲーム理論】より

…提携として行動するということを強く意識して考えた概念にフォン・ノイマン=モルゲンシュテルン解(安定集合ともいう)があって,寡占市場や政治問題の分析に用いられている。交渉過程において,プレーヤーが提案された利得分配に対してもつ異議やそれに対抗する逆異議を厳密に定義して,交渉の結果を求めたものに交渉集合,カーネル,仁などがある。仁は各提携から出される最大不満を最小にするという考え方から導かれたもので,唯一の利得分配を与える。…

【愛】より

…なお,〈慈悲〉の原語は,上記の2語のどちらか一つ,双方,別の語と,一定していない。 中国の〈〉には,多くの訓詁があるが,〈人間(男)であること・人間(男)らしさ〉が本義で,早い時期に,〈任(重い任務)〉〈人と人の間でもつべき態度・他者へのいたわり〉などの語感が,複合したものであろう。家父長的な義務感を出発点とし,〈天〉の〈命〉によるという使命感に支えられ,弱者への〈惻隠の心〉とともに,一人前の人間としての責任をまっとうしうる〈能力〉をもつことが,重視された。…

【義】より

…ことがらの妥当性をいう。儒教では五常(仁義礼智信)のひとつとして重視され,しばしば〈仁義〉〈礼義〉と熟して使われるが,対他的,社会的行為がある一定の準則にかなっていることをいう。《礼記(らいき)》礼運篇では人の義として,父の慈,子の孝,兄の良,弟の弟(てい)(目上の者に対する従順さ),夫の義,婦の聴(聴き従う),長の恵,幼の順,君の仁,臣の忠の十義を列挙する。…

【儒教】より

…(1)五倫五常 三綱五倫(君臣・父子・夫婦と兄弟・朋友)の身分血縁的関係をあるべき人倫秩序とし,家族組織から政治体制まで貫く具体規定を備える。この人間関係を支える必要な道徳が,五常(仁・義・礼・智・信)であり,その修得のための人間論・意識論がくりかえされた。(2)修己治人 五常を修養し(修己),五倫秩序の実現につとめる(治人)不断の教化が,統治層士人(君子)の任務である。…

【春秋戦国時代】より

…このように戦国末には異なった思想がいくつもみられるが,その源流は春秋末に出た孔子である。西周王朝滅亡後,春秋時代を通じて,天を中心とする宗教意識が衰え,代わって人間が生得にもつ徳=仁(人間相互の親愛観念であり,その根本は親や上長に対する孝悌であるとされた)を完成するために修養が大切であると説いたのが孔子である。彼は個人で多くの弟子を教育した最初の人物であり,その流れをくむ思想家を儒家とよぶ。…

【善】より

…【吉沢 伝三郎】
[中国]
 儒教では具体的な徳目が論ぜられることが多く,善の定義(孟子の〈欲す可きを善という〉などは恰好の定義であったと思える)をめぐって議論が展開することはなかった。〈善とは何か〉に当たるものはむしろ〈仁とは何か〉であった。しばしば,儒教では礼(外的な規範)に合致することが善である。…

【中国】より

…儒教の政治原理は徳である。徳は聖人の経典や先人の事跡,言語を読書して,の心を涵養し,すなわち正しい習俗を実践するところに養成される。儒教は政治主義であると同時に文化主義である。…

【程顥】より

…この評語は人格と学風の双方にかかわるが,程頤が事物の分析と論理化に鋭いさえをみせたのに対し,程顥は融合的,直覚的であった。その〈万物一体の仁〉の思想は,まさしくこの〈春風和気〉の具現にほかならない。そこでいう〈仁〉とは,天地万物を一体とみなし,すべての存在をわが身の一部と考えることであり,その意味で,手足のしびれを〈不仁〉と医学書が表現するのは,みごとな仁の定義だと程顥は言う。…

※「仁」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

仕事納

〘 名詞 〙 年の暮れに、その年の仕事を終えること。また、その日。《 季語・冬 》[初出の実例]「けふは大晦日(つごもり)一年中の仕事納(オサ)め」(出典:浄瑠璃・新版歌祭文(お染久松)(1780)油...

仕事納の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android