郷(漢字)

普及版 字通 「郷(漢字)」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 11画

(旧字)
13画

[字音] キョウ(キャウ)
[字訓] むかう・さと

[説文解字]
[甲骨文]
[金文]

[字形] 会意
(き)+卯(ぼう)。卯は人の対坐する形。宴のときの盛食の器である)を中にして左右に相対坐する形。すなわちがその初形。卜辞の意に用い、金文に「北」のように「(むか)ふ」意や、「事寮」「正」「大夫」のように相の意に用い、また「(さき)に」の意に用いることがある。すなわちの初文。〔説文〕六下に「國の離邑、民の封ぜらるるなり。嗇夫(しよくふ)の別治なり。封圻(ほうき)のの六は、六之れを治む」と郷里郷遂の意とする。両旁を邑の相対う形と解するのである。また別に九下を録し「(あき)らかなり」と訓し、卯を「事の制なり」とするが、を挟(さしはさ)んで左右対坐する形で、の初文。その宴に与(あずか)るものを、そのの領する采地を郷という。のちその采地の意を含めて、両邑相対する形に作るが、それは卜文・金文にみえず、後起の字である。

[訓義]
1. もと、宴のとき対坐する人の形で、むかう、宴の意。
2. 采邑を郷という。さと、むら、ふるさと、くに、いなか。
3. さとの人、とも、なかま。
4. ・響・と通用し、それぞれ字義に用いる。

[古辞書の訓]
名義抄 サト 〔字鏡集 サト・サカヒ・ムカフ

[語系]
(響)・・享xiangは同声。また、khyangはその転音とみられるが、もと礼に与かる人をいう。・享は、また獻(献)xianと関係のある語である。

[熟語]
郷飲・郷園郷往・郷学・郷官・郷貫・郷関郷耆・郷旧・郷挙・郷曲・郷兄・郷原・郷元郷愿・郷戸・郷語・郷貢郷黌・郷校・郷・郷使・郷思・郷試・郷梓・郷射郷愁郷聚・郷塾・郷書・郷親・郷心・郷信郷紳・郷進・郷人・郷遂・郷井・郷選郷薦・郷葬・郷村郷儺・郷亭郷耋・郷土・郷党・郷導・郷農・郷背郷鄙・郷風・郷物・郷兵・郷壁・郷保郷慕・郷望・郷夢・郷問・郷約・郷友・郷勇・郷邑・郷落・郷里郷吏・郷閭・郷隣・郷涙・郷老・郷論
[下接語]
異郷・憶郷・家郷・懐郷・帰郷・旧郷・窮郷・近郷・故郷・在郷・思郷・辞郷・水郷・酔郷・仙郷・他郷・帝郷・同郷・比郷・慕郷・望郷・夢郷

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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